ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

CYHRA 『No Halos In Hell』

CYHRA 『No Halos In Hell』

ヴォーカルに元AMARANTHEの男性クリーン担当のジェイク・E、ギターに元IN FLAMESとして激情のメロディーを量産し続けたイエスパー・ストロムブラードを有するモダンメロディックメタルバンドの2ndフルアルバム。

 

ヴォーカルのジェイクは確かな歌唱力を持つ優れたヴォーカリストであるのに、AMARANTHEではエリゼの存在感が大きすぎてどうもいらない子ポジションに収まってしまっていた感がありましたが、このCYHRAで力量にふさわしい役目を果たすことができているようですね。実力ある人がしっかり評価されるようになるのは喜ばしいことです。

 

そしてメロディックメタル好きとして無視できないのがイエスパーの存在。彼の天性のメロディーセンスは絶対に世に出るべきもののはずなので、こうして新たな作品を生み出してくれるのはうれしい。

 

本作はAMARANTHEのようにエレクトロ要素が突出しているわけではないものの、モダンな質感を強く感じさせるメタルに、非常にポップでとっつきやすく、かつどこかメランコリックに響く哀愁を帯びだメロディーを兼ね備えたもの。前作が気に入った人ならば満足のいく作品になっているのではないでしょうか。

 

ジェイクのクリーンに歌い上げられるヴォーカルを全面に押し出し、時にポップスにすら通じそうなメロディーを武器とした歌重視の楽曲。ただバックの演奏がしっかりハードなリフとメロディアスに唸るリードギターで盛り立てているため、どれだけキャッチーであろうとちゃんと"メタル"として成立している。"メロハー"でも"ハードポップ"でもなく"メタル"です。

 

前作『Letters To Myself』の「Karma」のような一発で「イエスパーのギターだ!」とわかる瞬間が少ない(少なくとも僕はそう感じた)のは少し残念ではありますが、M2「No Halos In Hell」やM9「I Had Your Back」におけるイントロのギターリフ、M8「Kings Tonight」のリードギター、M5「Bye Bye Forever」の間奏で聴ける切なさ満載のアコギなど、そこかしこでIN FLAMESイムズというか、イエスパーのセンスと思われるサウンドが炸裂しているのがわかります。

 

M7「Lost In Time」なんかは、もはや完全にメタルバラードの域を超えた普遍的な魅力を持つ曲に仕上がっていて、彼らがいかにメロディーメーカーとして優れた手腕を持っているのかがうかがい知れますね。サビのエモーショナルさなんかまさに絶品。

 

個人的に一番気に入ったのはM11「Hit Me」ですね。ツーバス連打の疾走による出だしから、ピアノをバックにしたジェイクの見事な歌いまわし、そして一度聴いたら耳から離れないキャッチー極まりないサビ、テクニックには一切走らずひたすらに泣きの旋律を奏でる絶品ギターソロと、彼らのメロディックメタルバンドとしての美点が濃縮された名曲です。

 

ジェイクの魅力が際立つヴォーカル中心の歌モノでありながらイエスパーのギターの旨味もしかと閉じ込め、モダンなアレンジによって磨かれたバッキングのサウンドも一級品のナイスアルバム。哀愁・叙情・メロディアスなサウンドが聴ける人ならきっと外されないと思われます。

 

エスパーの精神的な問題により、あまり積極的にツアーに出たりすることはできないようですが、これだけキャッチーな楽曲はやはりライヴで聴いてみたいですよね~。ここでLOUD PARKがあればこういったバンドにも来日の可能性が高くなっただろうに...

 

M1「Out Of My Life」 MV

 

M3「Battle From Within」 MV