ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

1/26 Twilight Force / JAPAN TOUR 2020 at 新宿BLAZE

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今年をもってライヴ招聘事業を休止することが決定しているEvoken de Vallhall Productionが最後の力を振り絞って実現してくれた、トワイライトキングダムの使者達による来日公演に足を運びました。

 

前回の来日は時間に限りのあるEVOKEN FEST 2017で、しかもその時ちょうど風邪を引いておりコンディションの悪い中でのライヴだったので、このライヴを見逃すわけにはいきませんでした。

 

しかもカップリングとして、だいぶ前にある意味絶大なインパクトを誇るMVで一部で大層話題となったGrailknightsが来るとなっては行かない理由が一切見つからない。初めてこのMVを見たときは、まさかこのバンドのライヴを日本で観ることができるとは想像すらできなかったな~。EVPじゃないと絶対無理でしょう。

 

道中で飲んだオロナミンCの蓋で切ってしまったのか、いつのまにか出血していた左手人差し指をバンソーコーで抑えながら新宿歌舞伎町を練り歩く。やはりこの街の猥雑な空気は肌に合わんし怖い(笑)

 

もうとっくに開場時間は過ぎていたので悠々と入場。ドリンクカウンターはかなり混雑してたので、ドリンクチケットの交換は後回しにし、先にオープニングアクトであるChaos O Sanctuaryのライヴを観にフロアへ入ることにしました。

 

 

Chaos O Sanctuary

 

去年発表した1stEPがなかなかの力作だった新進気鋭のシンフォニックメタルバンド。何でも今日が初めてのライヴなんだそうです。

 

まんまヴィジュアル系のルックスのギタリストと、どこかの国とのハーフと思しき顔立ちのヴォーカルがインパクトを放ちながら「Kingdom of the Glorified」でスタート。ベーシストとキーボーディストが長い髪を振り乱しながら終始ヘドバンしているので、下手側の見栄えがスゴイ。

 

楽曲はどれも煌びやかで非常にキャッチーかつ哀愁を含んだものであり、その魅力を充分発揮できれば、今回の客層にはかなり受けやすいのではないかと思いました。

 

ただ残念ながら曲の魅力が100%伝わるステージだったかというと、やや微妙だったように思われます。

 

とにもかくにもヴォーカルの声が聴こえにくいことこの上ない。出だしから終始左耳を抑えて自分の声を聴きとろうと必死、さらに終始顔をしかめながらの歌唱だったため、とにかく歌いづらいことが如実に伝わってきました。

 

声質自体はなかなか良い物があるし、部分的には伸びのあるハイトーンを繰り出したりはできていたのですが、やはりどうも不安定さが前面に出てきている。せっかく歌メロが良質なバンドなのに同期音源や演奏に埋もれがちで、非常にもったいなかったかなと。ヴォーカルの人にとってはなかなか苦しい時間帯だったと思われます。

 

ただ演奏陣のパフォーマンスは初ライヴとは思えないほど堂々としていて、特に高めに構えてブリブリとラインを刻み、アグレッシヴに動き回るベーシストはひと際ライヴ慣れしているように見えました。なんか以前もバンドやってたりしたのでしょうか。

 

ラストに飛翔系シンフォメロスピのお手本のような「Song for Salvation」で締めてくれたのは良かったですが、やはりこの曲においてもヴォーカルの声が聴こえず(特にサビはかなり厳しかった...)つくづく惜しまれますね。とりあえず良いイヤモニを用意してほしかった。

 

 

Grailknights

 

そのあまりのインパクトゆえ存在自体はかなり前から知っていたものの、実を言うと音源にはほぼ触れていないバンド。国内盤デビューをした当初はチェックしてみようと思っていたのですが、試聴した限りあまり僕の琴線には響かずスルーしてしまっていたのです。

 

しかしライヴは違いました。楽しい。とにかく楽しすぎる。

 

ド真ん中に金色の聖杯が鎮座している様に会場から笑いが漏れつつ、まるで5色のキャプテン・アメリカとでも呼べるようなスパーヒーロー然としたいで立ちのメンバーが登場。フロントの4人がビシッと決めポーズをとり会場の期待を上げるだけ上げてからスタート。

 

曲自体はそこまで突飛なものではなく、なかなかリフがパワフルに研ぎ澄まされたメロディアスなアップテンポメタル。デス声っぽい叫びもふんだんに取り入れながら、雄々しく疾走するのが基本です。

 

しかしこのバンドを特別たらしめているのは何といってもライヴパフォーマンス。茶目っ気たっぷりに変顔を決めるのはもちろん、随時はさまれるユーモア満載のやり取りに、終始頬が緩みっぱなしになってしまいます。

 

MC中急に黒いボロボロのオーブをまとった死神(?)がやってきて、メンバーと対峙する中、堂々とステージ中央に置かれた聖杯を奪ってしまったり(メンバーはブーイングをするだけで戦おうとする素振りを見せない/笑)、突如「みんなで筋肉体操をしよう!」という流れになり、オーディエンスにマッスルポーズを強制させてスクワットさせたり、さらにはライヴ後半に聖杯を持ってきた死神とチープな小刀でスローモーションでチャンバラを繰り広げたり(死神は何故かビニール傘を武器としており、当然ながら刀には勝てず、無事聖杯を取り戻すことに成功)......

 

すっごくチープでイロモノ感満載の寸劇ではあるのですが、バンドが本気でオーディエンスを楽しませようとする意思が伝わってくるようで、場内の空気は常に温かく楽し気でした。彼らのライヴのお約束とされる"Grailknights battlechoir!" "Yes, sire!"の掛け合いもハマり、大盛り上がりのまま終了しました。

 

 

Twilight Force

 

Grailknightsの予想以上の好パフォーマンスによる興奮も冷めやらぬ中、いよいよトワイライトキングダムからの使者が登場。当然ながら今までで一番大きな歓声が会場中に轟く。初っ端から熱気は最高潮でした。

 

キーボーディストによる厳かなナレーションに導かれて、シンフォニックかつメロディアスな疾走メロスピが鳴り響くと、先ほどのGrailknightsでの盛り上がりからさらにレベルアップした歓声が上がる。オープニングの「Dawn Of The Dragonstar」からオーディエンスの士気の高さが浮き彫りに。シンガロングのパートでは方々からどデカい声が上がり、興奮を増長していく。

 

特に2ndからの名曲「To The Stars」からの「There And Back Again」という2連発は凄まじい!「To The Stars」では"Calling your name! Calling your name!"のシンガロングが響きわたり、タイトル通り月まで届かんばかりに飛翔するサビで悶絶。その後「There And Back Again」は10分超の展開にジックリと聴き浸る。この曲はサビももちろんですが、中盤の静かで優雅なパートのファンタジックな叙情性も素晴らしい、個人的に大好きな曲です。

 

同期音源を含めたバックのシンフォニックサウンドが大きすぎて、ギターとベースのサウンド面での存在感がかなり小さ目(ソロになるとまだマシなギターはともかく、ベースは全然聴こえなかった...)だったのには若干不満がありましたが、楽曲とパフォーマンスの良さ、そしてヴォーカルの存在感により完璧にカバーしていたのが印象的でしたね。

 

前任ヴォーカルのクリレオンも充分以上素晴らしかったのですが、新加入したアリオンも凄まじい実力者。自身の持ち歌はもちろん、過去のアルバムからの楽曲もほぼ完ぺきに歌いこなしており、超人的な長さのハイトーンシャウトも随所で披露。ヴォーカル面での不満はまったくと言っていいほどありません。

 

まあ黒を基調としたルックスは前任のクリレオンほどの華はないのですが、演奏陣の華がスゴイ(特にエルフ)のでさほど気にはならないかな。

 

彼らもまた世界観重視のバンドではありますが、先ほどのGrailknightsのような茶番めいた(褒めてます)演出はほとんどなく、純粋に楽曲で勝負していた感じでした。ただそんな中でも「Dragon Piss」と名付けられた小瓶に入った液体をアリオンが飲み干して、声が急激に高くなったり低くなったりするなど、笑いの演出も取り入れる。ドラゴンってションベンすんの?

 

また「Enchanted Dragon Of Wisdom」「Flight Of The Sappire Dragon」というドラゴンの名を冠した楽曲では、ドラゴン型の浮き輪をオーディエンスに放り投げ、バルーンのごとくドラゴンがポンポンと飛び交う光景が繰り広げられる。楽曲の壮大さには不釣り合いなショボいドラゴンではありましたが(笑)、ライヴのちょっとした演出として楽しめました。

 

ただあまりにドラゴンの滞在時間が長かったためか、後半になると「もうドラゴンいいよ!」というツッコミが入ることに(笑) その後ドラゴンはスタッフに引きずられスゴスゴと下がっていきました。

 

アリオンが西洋の剣だけでなく日本刀まで持ち出した、和の要素を強く感じさせる劇的な大作「Blade Of Immortal Steel」、そしてバンドを代表する名曲であり、否が応でも"Twilight Force!"のコールを呼び起こす「The Power Of The Ancient Force」で締めるラストまで熱気は冷めることなく、異世界の宴は幕を閉じました。

 

ライヴとは常に非日常を味わうことができる空間ですが、その中でも異国のスーパーヒーロー別世界の住人を立て続けに観ることができたこの日はまさにスペシャルな体験でしたね。EVPが招聘事業を止めてしまう以上、もうこんな濃ゆ~いライヴは日本では体験できそうにないだけに、この宴に参加できたことは一生の記念になると思います。