ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ANNIHILATOR 『Ballistic, Sadistic』

ANNIHILATOR 『Ballistic, Sadistic』

アグレッシヴでエネルギッシュで超カッコいい。

本作を聴いた後の素直な感想です。こりゃかなりの力作に仕上げてくれたなと。

 

カナダ出身のテクニカルスラッシュメタルバンド・ANNIHILATORの17枚目となるフルアルバム。昔っからANNIHILATORはギタリストであるジェフ・ウォーターズのソロプロジェクトみたいな趣がありましたが、本作においてもドラムをファビオ・アレッサンドリーニが叩いている以外はほぼすべてのパートをジェフが一人で担っているようです。

 

正直僕はこのバンドの音源は名盤とされる『Never, Never Land』『Set The World On Fire』くらいしか聴いたことがなく、近年の作品はすべてスルーしていました。

 

本作も当初買う予定はありませんでしたが、タワーレコードに陳列された商品とポップを見て、「へ~、このバンドアルバムデビューしてもう30年も経つんだ。未だに現役でアルバム出すってすごいな~」なんて思いながら、何とはなしに試聴機と正対する。

 

そしたらカッコいいの何の!ジェフのリフ作りのセンスが全曲において発揮されつつ、スラッシュらしい疾走感も、どこか聴きやすさすら漂うキャッチーさも含んだ強烈なスラッシュチューンの雨あられ!これは文句なしのカッコよさ。

 

全10曲とコンパクトにまとまっている中、とにかくどの曲においてもリフというリフが詰まりまくっているのです。まさにカッコいいリフの宝庫。リフの洪水。次から次へと襲い掛かる切れ味抜群の鋭利なリフがたまらなくカッコよくて、そのテンポの速さと合わせて頭を振らざるを得ないし、右手の高速の上下運動を止められない(エアギターのピッキングのこと。決して卑猥な意味ではない)

 

そしてザックザクでテクニカルなリフをひたすら刻みまくったあと、ここぞといったところでスリリングなギターソロが飛び出すのですが、このソロがまた輪をかけてカッコいいんですよ。メロディックなリードも随所に交えながら聴き手のアドレナリンをどんどん分泌させるが如く高速化していく。

 

名曲「Stonewall」を思わせるM3「Psycho Ward」と、ガンガンに叩きつけられるかのような熾烈なリズムを持つM4「I Am Warfare」の二連発が特に強烈ですね。前者はアップテンポかつメロディアスでノリの良さは文句なし。リフはもちろんのこと中盤の浮遊感あるクリーントーンのギターから流れるギターソロがまた最高だし、後者の複雑怪奇にねじ切れるリフと、突如として唸りを上げる高速ソロのコンビネーションはあまりのカッコよさに膝から崩れ落ちそうになる!素晴らしいギターワーク!!M6「Dressed Up For Evil」のツインリードを含むソロもとびきりクール!

 

どの曲にもギターが冴えわたり捨て曲は無い!どの曲にも練りに練られたリフが渦巻き、一切ダレを覚えることなく聴き通せてしまいます。これは下手にテンポを落としたり、バラード寄りの曲を作ったりせず、徹頭徹尾テクニカルスラッシュにこだわり抜いた結果でしょうね。

 

基本的にこのバンドってMEGADETHのフォロワーという立ち位置だと思うんですね。疾走感ももちろんあるけれど、2ビートの勢い以上にリフの巧みさが印象に残るタイプで。

 

ただ本作はMEGADETHほど無機質、冷徹なムードは強くなく、ほどよいキャッチーさがある種の正統派のメタルにも通じる生々しさを醸し出している印象があります。それがメロディアスなメタルを好む僕にとっては好ポイント。決してリフの攻撃性と緊張感を損なわない中で、アグレッシヴなメタルとしての普遍的なカッコよさと魅力にもつながっているように思えます。

 

30年の歳月を経てもなお、彼らは(というかジェフ・ウォーターズは)いまだに刺々しく攻撃的で、カッコいい存在であることを堂々と証明してみせる名盤。カッコいいギタープレイが聴きたいメタルヘッズは是が非でも!文句なしにオススメです。

 

M1「Armed To The Teeth」 MV

 

M6「Dressed Up For Evil」 MV