ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ELVENKING 『Reader Of The Runes - Divination』 (2019)

ELVENKING 『Reader Of The Tunes - Divination』

去年のベストアルバム・ベストソングの時にちょっとだけ名前は出していましたが、感想書くの忘れてました...

 

過去には来日経験もあるヴァイオリン奏者を含んだイタリア出身のフォーク/ペイガンメタルバンドの10枚目のフルアルバム。なかなかハイペースでのリリースをしているバンドのようです。

 

前々から名前は知っていたものの、フォークメタルというジャンル自体あまり自分にはなじんでいなかったこともあってか、音源に触れる機会はなかったのですが、今作をたまたま試聴してみて、その音楽の魅力に気づきました。頻繁にCD屋さんをプラプラしているとこういう出会いがあるから良いですよね。

 

イタリア出身のメロディックメタルというと、やはりコッテコテのクサメロを連想してしまいますが、彼らは(僕の感覚では)それほど劇臭を放っている訳ではなく、あくまでキャッチーな民謡メロを押し出した感じです。個人的なツボにはまればそこまでクサさにはこだわりが無いのでこれはこれで良い。

 

そしてイタリアに数多いたクサメタルバンドのようなしょーもないB級っぷり(それはそれで嫌いじゃないけどね/笑)も無く、非常に本格派なトラッドサウンドが聴ける。

 

専任のヴァイオリニストがいるためか、その柔らかく優雅な音を活かした流麗なメロディーが全編で目立っているのですが、そのキャッチーさが心地よく響く。あまりフォーキッシュなメロに慣れ親しんでいない僕の感性にもしっかりとフィットする、メロディックメタルとしての普遍的な魅力があるのが素晴らしいところです。

 

オープニングのM2「Heathen Divineからして美しいアコギの調べ、合唱を誘う勇壮なサビを持つ疾走曲ですが、そこから続くM2「Divination」がこれまた一緒に叫びたくなる、勢いに満ちたアップテンポナンバーですこぶるカッコいいキラーチューン!!メロディーも変わらず非常にキャッチーで良いですね!軽やかなヴァイオリンのプレイもまた印象的。

 

ヴァイキングメタルにも通じるような、戦地に赴く男の哀愁を演出するエピカルなM3「Silverseal」だったり、アコギとヴァイオリンの音色を存分に活かし、まるで映画のBGMばりにミステリアスなムードを醸し出すM6「Eternal Eleanor」、ブラストにバスドラ連打、クワイアとデス声を用いてブラックメタルにも似た緊張感を見事に表現したM9「Malefica Doctrine」(セルフライナーノーツ曰く「ブラックメタルデスメタルの両方のエクストリームなバックグラウンドと90年代のシーンに対する愛情を示している」)などを抑えていて聴き飽きない。そういった曲全てにおいて、フォーキッシュでメロディアスな面が目立つ。

 

そしてラストを飾るのが10分を超える大作のM12「Reader Of The Runes - Book Ⅰ」。イントロから極上の美しさを誇る旋律を奏で(ホントこのバンドはアコギの使い方が上手い)、フォーク調のヴァイオリンとズシリと重たいサビ、中盤からのヘヴィな疾走パートまで、隙無く進んでいく劇的な一曲。最後を締めくくるに相応しいドラマを描いてくれます。

 

メタルとしての高い完成度と目立ったキラーチューンをしっかりと保持し、そのうえで民謡色、トラッドサウンドというアイデンティティーを一切ブレることなくアルバム通して貫く、実に質の高い作品でした。これだけの実力があるバンドだとわかってればもっと早く手をつけてればよかったな。

 

korpiklaaniやFALCONERといったフォークメタル好きはもちろんのこと、民謡臭関係なくともメロディアスで劇的なメタルを好む人であれば聴いて損なし。10作目という記念に相応しい力作です。

 

ちなみに国内盤ボートラはM7「Diamonds In The Night」の日本語バージョン。日本へのサービス精神はありがたいし発音も頑張っているのですが、この曲調で"約束ゥ...闇ィ...罪ィ...運命ィ..."とか言われてもね(笑)

 

M3「Divination」 MV

まずはこの曲を。カッコいい!

 

M4「Silverseal」 MV