ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

OUTRAGE 『OUTRAGE』 (2009)

OUTRAGE 『OUTRAGE』

今年発売予定のOUTRAGEのアルバムの発売が、3ヶ月遅れの4月15日に延期になってしまっています。う~~む、仕方のないこととは言え残念... まあ前作がかなりの力作だったので、今回も期待しておとなしく待ちましょう。

 

日本を代表するスラッシュメタルバンドとして、その地位を不動のものとしているOUTRAGE。一時期はヴォーカルの橋本さんが脱退し、楽器陣3人だけの活動を余儀なくされていたそうで、インディーズにドロップアウトしかなり厳しい状況だったそう。

 

そんなバンドに橋本さんが復帰し、フレデリック・ノルドストロームをプロデューサーに迎え、起死回生の一枚として作り上げたのがこのセルフタイトル作。

 

とにかく本作は込められた音の塊の迫力がスゴイ。ぶっちゃけて言ってしまえば過去の名作『THE FINAL DAY』の焼き直しのようにも聴こえてしまうアルバムなのですが、音から漲る攻撃性と緊張感、獰猛さがもうハンパではないのです。

 

スラッシュメタルというとキレあるリフで爆走するのがお決まりであり、本作の音もその系列に属するものですが、他と圧倒的に違うのがバッキバキのヘヴィさ。速さだけでないズッシリとした重厚感あるギターが刻まれまくり、その音圧の前には閉口して頭を振るしか選択肢が無くなる。

 

M1「RISEからして、"Die! Hard!"のシンガロングからの橋本さんの叫びで問答無用でノックアウト。「MY FINAL DAY」にも劣らない文句なしのオープニング。

 

その後のM2「YOU CARE? IDON'T CARE」はハードコアっぽさを携えつつ、暴力的なリフとヴォーカルで疾走。"I hate you – motherfuckin' die!"のシャウトで熱くならないヤロウはいないでしょう!数秒のブレイクを挟んでのギターソロもカッコよすぎるし、個人的にはOUTRAGEのナンバーの中で一番好きな危険度MAXの名曲です。

 

疾走していない曲の完成度も高く、特にノリの良さ重視のリズミカルな(とはいえ軽やかな印象はなく、かなりゴリゴリしているのが頼もしい)リフを中心に、バビロンバビロン言いまくるサビが強烈に印象に残るM5「FISTS FULL OF SAND」は強烈な出来です。

 

一部ではスローになったり、アップテンポでハードロックより曲調になったり、歌メロに若干のキャッチーさを持たせたりと幅はありつつ、共通しているのは武骨で甘さの無いヘヴィさで統一されているのが実に頼もしい(M8「SHINE ON」は除く。まあ後半はバンドサウンド入るけど)

 

ただ基本的には暴力的な疾走感に陶酔できるタイプの曲がほとんど。ゴリゴリしたヘヴィさと合わせて勢いで聴けてしまうのが良い所。もちろん演奏の妙に浸ることもできなくはないですが、やはり無心で頭を振りたい音です。最後の最後で前述のM2にも負けない爆走チューンM10「TERRORIZER」で無慈悲に終わらす構成もナイス。

 

このアルバムを機にOUTRAGEは長い冬の時代を乗り越え、全盛期にも劣ることのない完全復活を果たしたと言えるでしょう。速く激しく、やかましくうるさく、暴力的で危険なヘヴィメタル・アルバムです。

 

M1「RISE」 MV