ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

2/12 OAU / Hall Tour 2020 -A Better Life- at LINE CUBE SHIBUYA

BRAHMANのメンバーを中心としたアコースティックバンド・OAUのライヴを観に行きました。

 

OAUは一度は観てみたいと思いつつなかなか機会に恵まれませんでした。今回のホールツアーも気がついた時には東京公演はソールドアウト。去年話題になったドラマ『きのう何食べた?』の主題歌を担当して注目度が高まった影響なのでしょう。

 

そんなわけでこの日も行く予定はなかったのですが、機材スペースの確定により席が空いたため、急遽当日券が出ることを知る。

定時後すぐに出れば何とか間に合いそうだったため、仕事が忙しくない状況を利用しさっさと退勤。見事チケットをゲットした次第です。

 

今回の会場は渋谷公会堂改め、去年オープンしたばかりのLINE CUBE SHIBUYA。赤坂BLITZと同様、間違いなく旧名の方が良いと思うのですが(笑)、まあこれはスポンサーやら何やらの関係だから仕方ない。

 

ソールド後の当日券ということで当然ながら席は最後方。3回席からステージを斜め下に見下ろす形で、距離は遠いもののステージ全体をしっかりと見渡せる。しかも僕の隣に空席が連なっているためかなり広々スペースが使える。これは当日券で正解だったかも。

 

SEもなく静かにメンバーが登場し、最初にプレイされたのは聴き覚えのない新曲。暗い会場内をじっくりと染み渡るようにMARTINさんのヴォーカルが響き渡る。

 

やはり新装したばかりのホールということもあってか、音がすごく良いですね!各楽器の音が非常にバランスよく、かつハッキリと聴こえ、ヴォーカルの通りもバッチリ。MARTINさんの柔らかくも芯があって太い声が実に心地よい。

 

そして音の良さと同時にヴォーカル二人の単純な歌唱力の高さも驚きでした。TOSHI-LOWさんも昔はかなり平坦だったのですが、ここで聴けるのは柔らかなサウンドにマッチした実に味わい深い歌声。BRAHMANのライヴだとモッシュに必死で歌を味わうことはできないので、ここで存分に彼の表現力あふれる声に聴き惚れる。

 

「いきなり新曲から始まったからシーンとなったかもしれないけど、次はちゃんとあらかじめ種を蒔いているから、皆さんも『歌って』くれると思います」と語り、アルバムのリードトラック「こころの花」へ。「帰り道」と並んで最新作で心に響くメロディーを持つこの曲。隣の人に聴こえないくらいの小さな声で共に歌う。

 

しなやかなヴァイオリンに繊細なアコギ、あたたかなコントラバスの音色がとても綺麗に響き渡るのですが、なかでも印象的なのはKAKUEIさんのパーカッションでした。RONZIさんのドラムと比べて幾分柔らかく奥行きのある打音に、余韻を残すウィンドチャイムが目と耳をよく引く。ず~っと聴き浸っていたいなあ...

 

「以前は『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND PARADISE ORCHESTRA PARABELLUM BULLET』っていう長い名前だったんだけどね」

「普段は地下のカビ臭いライヴハウスに行く人たちだから、こんな綺麗な会場ではどう反応すれば良いかわからないんでしょ?」

東日本大震災で被災した姉妹からバレンタインにチョコもらったけど、それがかもめの玉子のチョコ味。(ELLEGARDENの)細美にもこれあげたの?って聞いたら、『それは手作り』って言われた」

MCでは彼の気さくな人柄が見え隠れし会場もほっこりした笑いに包まれましたが、中でも子供たちからの「トシローーッ!!」の声援に反応した時が一番温かかくなった瞬間でした。

 

そんな細美さんがゲストとして登場した「Where have you gone」ではサビのMARTINさんと細美さんの伸びのある歌声に息を飲み、「夢の跡」はこの日演奏されたどの曲よりも美しい音色が響き渡る。音自体は非常に静かでもBRAHMANにも劣らないほど圧倒されましたね。

 

ライヴの後半「静かに聴いてるのもいいけど、立って身体動かしてみてもいいよ」と声をかけたことをキッカケに、それまで座席に座って聴き入っていたオーディエンスが続々と立ち上がり(もちろん僕も)、一気に会場の熱量が上がる。牧歌的ながらアップテンポで小気味よくテンションが上がる「Thank you」「Again」の流れからはほぼノンストップで駆け抜けることに。

 

歓声も拍手も熱量もピークに達したクライマックス、TOSHI-LOWさんから「なぜ最初からその反応をしない!?」とダメ出しを喰らった後(笑)、最後の曲に入る前のMCへ。

 

「年末によく知っている人が亡くなり、心に隙間風が吹きさらすような寂しい気持ちになった。もう死期が近いことを知っている人でさえ、亡くなったらこんなにも心が寂しくなるなら、突然に居なくなってしまったときはいったいどんな気持ちになるだろう?」

「人が死んだとき後悔するのはどうして最後に何も言ってあげられなかったのかということだと思う。だからそんな思いをしないためにも、隣にいる愛する人には「いってらっしゃい」のことばを必ず言ってあげてほしい」

 

最後に語った願いを込めた「帰り道」。目頭が熱くなるもステージから目を離さず、切なくも温かなメロディーを口ずさみながら聴き入りました。

 

そしてBRAHMANではやらないアンコールでもOAUでは一曲だけプレイ。テレビでも披露された井上陽水のカバー曲「最後のニュース」。静かに語るような出だしから徐々に感情を高ぶらせ、叫びを上げていく展開に目を奪われる。混沌とした今の世の中で、過去に書かれた地球上の様々な問題を提示する歌詞、会場にいた人たちには少なからず響くものがあったのではないでしょうか。

 

BRAHMANとはまったく異なる音楽性ながら、それに負けず劣らずの心震える2時間でした。カビ臭いライヴハウスで汗水流すのももちろん最高ですけど、こういう鑑賞の仕方も充分ありなんだな。アコースティックだからこそダイレクトに伝わる言葉の重みと、美しい楽器の響きを実感できました。