ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

LOCAL SOUND STYLE 『All That Remains』

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LOCAL SOUND STYLEが8年ぶりに同じメンバーで復活を遂げるというニュースはまさに青天の霹靂でした。

 

00年代後半~10年代前半あたりは僕が日本のパンク・メロコアバンドにどっぷりとハマっていた時期。その時期にメロディーの良い音楽を求めていたのであれば、彼らに手が伸びるのは必然。僕にとってジャパニーズ・エモのデフォルトとなっていたのが彼ら、LOCAL SOUND STYLEでした。

 

バンドがまだまだ上り調子というときに突然の活動休止、そしてヴォーカル荒関さんの脱退。本当に惜しいバンドを亡くしたものだ...と悔やんだものです。なぜこうも才能あるバンドが先に潰れていってしまうのかと。

 

そんなこんなで約8年。奇跡の復活を果たし、過去の名曲たちをリレコーディングですよ。そんなもん聴くに決まってますでしょ。

 

ただこの手のリレコーディングベストというものは往々にして「前の方が良かった」という結論になりがち。というか8~9割方そう。かつてlocofrankのリレコーディングベストを聴いて「なんかちょっと落ち着いたな...」と違和感を感じた経験もあるだけに、どんな仕上がりになるか、少々不安視もしていました。

 

アルバム通して聴いてみて、確かに事前の不安通りかつての勢いは確実に、目に見えて落ちている。単純に音量が小さくなっているというのもありますし、ギターの歪み方も軽くなって奥に引っ込んだように聴こえる。その分ベースは前に出ているように感じますが、まあそれも相対的なもの。音の隙間が広くなったような、密度が薄くなったような聴こえ方。

 

そして荒関さんのヴォーカルもさすがに8年のブランクは大きいのか、昔の音源と比べ通りが悪くなっているような。まあ音楽活動はしてなかっただろうし、年齢も重ねたし、致し方ないのかなあ。

 

ロックとしての衝動は過去とは比べるべくもない。やはり単純な勢いで若いころの自分に勝つというのは難しいのでしょう。

 

ただ彼らはメロディーを何よりも重視したバンドであり、パンク/コアとしての攻撃性を売りにしていたバンドではない。音の厚みが減退したものの、これは見方(聴き方)を変えればよりクリアな音像になったということ。ギターのクリーントーンの比重が増したことにより、ジャケットのような蒼く透き通るような印象はしっかりと感じ取れる。

 

コーラスの響きがより綺麗になっているのもあり、元々の叙情性を活かすという意味では、このクリアになった今の音は必ずしも否定されるべきものではないでしょう。

 

そして何といってもこのメロディーですよ。心の奥底まで響き渡る、染み渡る哀愁の心地よさは何ら変わっていない。演奏がスッキリしたことで、単純に哀愁度だけなら曲によってはむしろ強くなっているかもしれません。

 

過去の音源と比べて良い!とは僕も言えませんし、だいぶマイルドになってしまった音作りには寂しさを感じるのも事実。ただ、僕らが大好きだったLOCAL SOUND STYLEというバンドが持つ魅力はしかと感じ取れる。この爽やかで悲しい叙情美こそが彼ら最大の武器であることを再認識させてくれる作品です。

 

ただこのアルバムのみを聴いてバンドの音を決めつけてしまわれたくはないな。メロディーにビビッときた人はぜひオリジナルの方も味わってください。

 

M1「Carry On」 Official Audio

 

M4「Take Me To The Place」 Official Audio