ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BRAHMAN『grope our way』 (1996)

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  • 記念すべき初全国流通音源
  • 独自の世界観はこの頃から既に存在
  • ぶっちゃけアマバンレベル

 

はてなブログへ移行して生まれ変わってから最初のCD感想文。記念すべき1枚目はやはりこのバンドの作品ですね。

 

FC2ブログの時期にも彼らの作品の感想も書いているのでよろしければこちらもぜひ。

 

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日本が誇るハードコアパンクの雄、ひたすらにひたむきに自身の音楽へ向き合い続けるBRAHMANの初全国流通音源。全5曲入りのミニアルバム。

 

ハードコアパンク民族音楽の融合」というコンセプトを決定付けたベーシストのNABEさんはこのアルバムのレコーディングには参加していないようで、ギターのDAISUKEさん以外は現在と同じメンバーで落ち着いている。

 

BRAHMANの生みの親とも言える(ちょっと違うか?)彼のベースも聴いてみたかったですね。まあ今更言ってもですけど。

 

1996年というパンク系統のバンドブーム全盛期に生み落とされた本作は、ぶっちゃけて言うと、演奏、ヴォーカル、音質全てにおいてプロミュージシャンの域に届いていないと言わざるを得ない。

 

ノイジーとすら表現できそうな音質に、のっぺりした歌声の乗る音は、ファンである僕でも擁護できない程度にはレベルが低いもの。この内容でデビュー出来るとは、20年以上前という年月の差を実感できますね…

 

しかし!しかしです。だからといって本作が聴く価値のない駄盤かといえば、単純にそうとも言い切れない。彼らならではの世界観、独自性極まる音世界はこの頃から存在しているのです。

 

当時はHi-STANDARDを中心としたメロコアバンドが溢れていたらしいのですが、彼らはそういった十把一絡げのバンドには陥らなかった。パンクらしい衝動がありながらマイナー調で彩られたメロディー、呪術的で不穏なムードを醸し出す民族音楽調の曲たちは、他のどのバンドとも似ていない異質さがあった。

 

コンセプトを決めたばかりということもあるのか、民族音楽要素は現在の彼らよりも濃い。M3「晴眼アルウチニなどはその際たるもので、もはやパンクバンドの音なのかも疑わしいほど。

 

スカコアっぽいリズムを持つM5「The SAME」も、明るいノーテンキさは皆無。クセになるラインを刻むベースと民謡風のギターが絡む様は不思議な中毒性を感じさせる。終盤の語りも怪しさ満載。

 

静と動を組み合わせたBRAHMANの曲の大枠をなぞるM1「ARTMAN」、現在でもライヴで欠かせないM2「Beyond The Mountain」、本作中最もパンキッシュな勢いとシンガロングが聴けるM4「The Result of The Next」と、どれもがバンドの色を持ったバラエティ豊かな全5曲。未熟ながらもバンドの目指すべき方向性を確立させた記念碑となる一枚です。

 

客観的な音そのもののクオリティーの低さは聴き手をだいぶ選んでしまいますが、BRAHMANというバンドの個性がある意味一番濃ゆ〜い形で表現されてるので、遡って聴く価値のある作品だと思います。

 

ただ「The SAME」が曲の途中、恐ろしく中途半端なところで突如終了するのはどうかと思うよ(笑) これ明らかに録音時のミスだよね…?

 

 

個人的に本作は

"バンドの方向性を決めた重要作!…だけどクオリティー自体は劣悪なファン向けアイテム"

という感じです。