- インディーズ期の楽曲のリレコーディングアルバム
- 過去の音源と比較にならないほどパワーアップ
- 過去曲に触れたいならとりあえずこの一枚
インディーズ期に発表した1stフルアルバム『A MAN OF THE WORLD』の売上金が正当にバンド側に分配されていないことがきっかけで裁判沙汰となり、結果同作は廃盤の道を辿ることに(詳しい経緯は下記リンクに。いろいろ小難しく書いてますが、バンド側の主張は認められたようです)
そんなこんなで楽曲を封じてしまった自己清算の意味も含めて、同作とインディーズ期の2枚のミニアルバム『grope our way』『wait and wait』の楽曲から選ばれた曲を、2009年時の彼らの音で再録されたのが本作。
作品誕生の経緯はネガティヴなものとはいえ、未熟な面が隠しきれないどころかあけっぴろげだった初期作品が、強固なアンサンブルときれいな音質、力強いヴォーカルで生まれ変わることになりました。
10年以上の時を経たバンドの成長は著しく、もう見違えるほど、比べ物にならないほど楽曲がパワーアップしている。劣悪な音質もクリアに!ヘロヘロだったヴォーカルが別人のごとく強靭に!それでいて楽曲の持つ独自性極まる魅力は一切不変!
TOSHI-LOWさんの歌いまわしは部分部分で変わっているため、昔からずっと聴き続けてきた人にはやや違和感を覚えるかもしれません。これはリレコーディングものの宿命でしょう。いたしかたなし。
基本的に過去作から劣化した部分はないと言っても過言ではないため、今の彼らが鳴らす(といっても本作も十年以上前ですが)、彼らならではの世界を味わいたいならまず本作がオススメですね。BRAHMANというバンドが初期に取り決めた「ハードコアパンクと民族音楽の融合」という姿が純度の高い形で、高いクオリティーを持ったまま表現されています。
M5「TONGFARR」の宗教的な怪しい魅力を持つイントロが若干短くなっているのと、M7「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」のラストのサビで聴けた"foo!"がカットされてたことくらいかな、本作に対する個人的な不満は。あと選曲に関して言えば「SWAY」はともかく「FLYING SAUCER」は入れてほしかったな。
ファンとしては過去音源も聴いてほしいのですが、これ一枚あれば初期BRAHMANの楽曲を楽しむのに何の支障もないと言っていいでしょう。
個人的に本作は
"バンドの本質が100%体現された作品。初めて触れる人もそうでない人も是非聴きこんでほしい名リメイク!"
という感じです。