ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BRAHMAN 『A FORLORN HOPE』 (2001)

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  • メジャー初のフルアルバム
  • 胸を打つ哀愁と激情の見事な交錯
  • 静と動の巧みさの頂点

 

1998年にインディーズからリリースした1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』が、当時のバンドブームの隆盛、AIR JAM 98のライヴも影響してか60万枚にも及ぶ好セールスを記録。周囲からの注目度も飛躍的に増した中でリリースされた、BRAHMANのメジャーデビュー後初のフルアルバム。

 

前作はギタリストのKOHKIさん加入前に作られた曲や、BRAHMAN結成以前からあった曲も含まれており、また当時勢いのあったバンドシーンに合わせにいった意図もあったようです。翻って本作は初めてメンバー4人でゼロからアイディアを持ち寄り、「自分たちらしさは何か」を追い求め作り上げた作品。つまりこのアルバムによってBRAHMANというバンドの本質を、現在のメンバーの手で100%表現することができた、ということになります。

 

ハードコアパンク民族音楽の融合」という基本線は前作から大きく変化はしていませんが、「TONGFARR」や「時の鐘」にあった直接的な民謡っぽさは減退。その分叙情的なアルペジオクリーントーン、落ち着いたパートの割合も多くなり、より哀愁の表現度が増している。

 

何といっても本作は内に秘めた熱情がグワッとあふれ出し、そのまま聴き手にダイレクトにぶつかってくるような楽曲の数々。これが魅力なんですよ。怒りや悲しみといった人間の感情を愚直に表現したメロディーラインが切なく、熱い。

 

切なさ全開のギターから解き放たれたかのように疾走するM1「FOR ONE'S LIFE」、そして内に籠る静けさと、鬼気迫る壮烈なサビの対比が見事なM2「BASIS」という名曲の並びでたちまちアルバムの世界観に飲み込まれてしまう。

 

ラストのシンガロングとヴォーカルメロディーで強烈な哀愁を放つM4「LAST WAR」に、ハードコアとしてのアグレッションが際立つM5「DEEP」、民謡風のメロディーを奏でるリードで疾走する、これぞBRAHMAN流のハードコアM8「BOX」など、どこを切っても心を貫く名フレーズの宝庫。

 

チャランゴ奏者のアレハンドロ・カマラが所属するGRUPO SEMILLAのカバー(どうやってこんなバンド発掘したんだろ)M9「MIS 16」は、完全なる異国の民族音楽であったはずの原曲の雰囲気を壊さず、それでいて完全にBRAHMANの楽曲として成立させているのが見事。暗いベースとアコギの音色が良いアクセントになってます。

 

そしてM11「ARRIVAL TIME」。この曲は彼らの静と動の巧みさ、胸を打つ激情が完璧に表現された名曲で、いつ何時聴いても泣き叫ぶようなエモーショナルなヴォーカル、突如として襲い掛かる怒号のようなコーラスに打ちのめされてしまう。普通に聴けば良曲であるはずのラストのM12「BED SPACE REQUIEM」でさえこの曲の前では霞んでしまいます。

 

本作を最高傑作とするファンも多いようですが、それも頷けるドラマチックでエモーショナルなパンク界の名盤。個人的に初めて買ったBRAHMANのアルバムなだけに、思い入れも強い作品です。

 

 

個人的に本作は

"BRAHMANというバンドの魅力を濃縮した名盤。彼らの激情・衝動を感じたいならこれを聴け!"

という感じです。

 

M2「BASIS」 MV



M10「PLASTIC SMILE」 MV

 

M9「MIS 16」の原曲