ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ARCH ENEMY 『Rise Of The Tyrant』 (2007)

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  • アモット兄弟によるギターの布陣は最強
  • メロディーもブルータリティーも過去最高水準に
  • エクストリームメタルバンド・ARCH ENEMYの完全体

 

特に良いタイミングというわけではないですが、ARCH ENEMYの旧譜感想を。2007年に発表された7枚目のフルアルバム。個人的にアンジェラ・ゴソウがヴォーカルをとっていた時期の最高傑作であると思っています。

 

1st~3rdにかけてヴォーカルを担当していたヨハン・リーヴァが抜け、代わりにアンジェラが加入してからは、このバンドの音からデスメタルらしいアングラ臭が一掃され、一気に整合感を増したことは周知のとおり。

 

真正のデスメタラーからするとこの音の変化は望まぬ方向なのかもしれませんが、基本的には音のクオリティーは高いに越したことはないと考えている僕としては、アンジェラ加入後の音の方が馴染みがあるのです(いかにもデスメタルって感じの初期もそれはそれで良いですけどね)

 

本作は前作『Doomsday Machine』制作後に「人生を見つめ直す」と言って脱退したクリストファー・アモットが「ARCH ENEMYでギターを弾くことが自分にとっていかに大事なことかを悟った」として、あっさり舞い戻ってきたアルバムとしても知られています。だいぶ自分勝手な異動だと思うんですが、代わりにギターを弾いていたフレドリック・オーケンソンがなんだかかわいそうですね(笑)

 

これを前向きに受け止めてくれたとは、懐の深い人なんでしょうなあ...。まあ結局クリスはこの後また抜けるんですが(笑)

 

それはともかく本作。何といってもマイケル・アモット節炸裂のエモーショナルなリードギターが大幅に増量されているのが最大のポイント。

 

前々作『Anthems Of Rebellion』はアメリカ進出を意識したモダンな作風、前作は「Nemesis」という大名曲こそあれど、全体的に無機質寄りなアルバムだったのに対し、本作は開き直ったかのように"アグレッシヴ&メロディアス"というバンドの本分が前面に押し出されているのです。

 

けたたましいサイレンからうねるヘヴィリフで疾走するM1「Blood On Your Hands」から、本作の獰猛さとメロディアスさを両立させた路線を象徴する名曲。アンジェラの人間離れした野獣のごときヴォーカルパフォーマンスも迫力満点です。間奏のリードギターが本当に印象に残るんですよね。

 

インタールードとなるM8「Intermezzo Liberte」を除けば、テンポの違いこそあれ、マイケル・アモット十八番のリードギターが満載、かつヘヴィメタルとしてのアグレッションも最高潮。デスメタルという非人間的な音楽を奏でながら、音楽的にも充実しており、破壊力も申し分ないという奇跡のバランスを実現させることに成功しています。

 

作中でも屈指の攻撃性を誇るM6「Rise Of The Tyrant」と、ひと際メランコリックで悲しいM7「The Day You Died」の二連発という、ハイライトとなり得る瞬間もしっかりと用意しているあたり隙が無いです。

 

もはやギターアルバムと言っても良いくらいにギターが充実しているせいか、ベースの存在感がほとんどないとか、曲の方向性とテンションの高さの振れ幅が小さいため、後半に若干の効き疲れ感が出てくるといった点はマイナスかもしれません。

 

しかしそれを補って余りあるメロディックかつエクストリームなヘヴィメタルとしての魅力を備えた名盤。「Enemy Within」「Nemesis」といった頭一つ抜きんでたキラーこそありませんが、この作品でアンジェラ加入後に推し進めたバンドのスタイルが頂点へと到達したと考えています。一度でいいから当時の編成でこの楽曲をプレイするライヴを観てみたかったです。

 

 

個人的に本作は

"アモット兄弟のギターの魅力が完全開花したアグレッシヴかつメロディアスな名盤。アンジェラ期の最高傑作"

という感じです。

 

M3「I Will Live Again」 MV

 

M5「Revolution Begins」 MV