ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

摩天楼オペラ 『Chronos』

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  • モダンメタル直径の要素が色濃く
  • シンフォニックメタルを期待するとだいぶ肩透かしか
  • ジワジワと彼ららしい歌メロが染みてくる

 

相変わらず音源のリリースペースがハンパではない、V系シンフォニックメタルバンド・摩天楼オペラの最新EP。去年フルアルバム出したばっかりなのに、このバンドってツアーとリハーサル以外ずっと曲作りしてんじゃないのと思うレベルです。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com
本作は5曲入りのEPで、各曲それほど長くなく20分程度で聴き終えてしまう。正規メンバー5人が揃った今のバンドの魅力をサクッと味わうには丁度いい作品ですね。

 

最初に一通り聴いてみた感想としては......正直なところイマイチだと思いました。なんかパッとしないなと。

 

ANZIさん脱退後の彼らの音は大仰なシンフォニックメタル要素を減退させ、よりシンプルでモダンなサウンドに近づいた印象なのですが、本作はそれに輪をかけてこざっぱりしている。冒頭に書いた「シンフォニックメタルバンド」という肩書は、今の彼らにはふさわしくないのかもしれません。

 

メタルコア出身の響さんが加入したのも影響したのか、モダンメタルに通じるギターリフが目立ち、シンフォニックサウンドを支えていたキーボードの存在感が全体的に薄くなっているように感じるのです。表題曲のM1「Chronos」のリフなんてモロにそれ系。

 

ギターが骨太なメタルサウンドって、本来は僕の好みの音であるはずなんですが、彼らにそういった要素はあまり合わないんじゃないかなとも思ったり。リフ自体は普通にカッコいいし、気合を入れて作ったのだろうとは伝わってきますけど。

 

ただやはりV系らしいしなやかなメロディーを武器とする彼らのこと。最初はピンとこなかった楽曲たちも、何度も聴き返すうちに徐々に胸にしみてくるようになってくるのはさすが。

 

ヘヴィ寄りのギターが目立っていたとしても、根底にあるのは昨今の摩天楼オペラらしい歌重視のオルタナティヴメタル。苑さんの澄んだハイトーン歌われるメロディーはなかなか美しくキャッチーで、きらびやかなバンドの印象を損なうことはない。

 

シンプルなファストチューンのM2「Kiss」、哀感のあるサビの歌メロが印象的なM3「Silence」、重厚で陰鬱なイメージが湧くダークバラードM4「Reminiscence」、ヘヴィなリフから始まるも、明朗なスピードチューンに切り替わるM5「Anemone」と、各楽曲のバラエティは充分。収録時間の短さもあって非常に聴きやすい。

 

今の摩天楼オペラらしさ・らしくなさがいい具合で混ざりあった、なかなか面白い曲を取り揃えたなと思いましたね。正直可もなく不可もなしという印象はあるし、メロディックメタルとしてはもう少し即効性のある曲も欲しいですが、最終的な満足度は悪くなかったです(5曲入り2200円という強気な値段はもうV系バンドだからと割り切るしかない)

 

ただM1のような曲が「これが今の摩天楼オペラだと言える1曲」というのであれば、もう彼らは「GLORIA」「アポトーシス」のようなメロスピ、「天国の在る場所」のような劇的なシンフォニックチューンはあまり志向していないと思われ、なんだか寂しい気もします...

 

 

個人的に本作は

"新メンバーのモダンな素養と従来のメロディアスさを良いバランスで融合させた意欲作"

という感じです。

 


摩天楼オペラ / Chronos 【Music Video】

 


摩天楼オペラ / Chronos 【MV SPOT & 全曲試聴トレーラー】