ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ANGRA 『Rebirth』 (2001)

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  • 完全なる再生 これこそがANGRA
  • パワーメタル界最高峰のキラーチューン有り
  • 全メロディックメタルファン必聴の大名盤

 

コロナウイルスの脅威が去ったわけではありませんが、とりあえず都市部の感染者の増加も落ち着き、緊急事態宣言も解除され、少しひと段落ついた状況と言えますね。(まあ緊急事態宣言中も、ぶっちゃけ僕の生活自体は全くと言っていいほど変わらなかったけど)

 

第二波の脅威もあるとはいえ、在りし日常が戻る希望がまた少し見え始めた今、「再生」を意味するタイトルを冠した劇的な復活作を取り上げたいと思います。世界がまた再生する期待を込めてですね。

 

「ブラジルの至宝」とも呼ばれ、日本における支持基盤も確たるものにしていたANGRA。しかし前作『Fireworks』の製作段階からメンバー間に軋轢が生じ始めていたらしく、バンドの看板ともいえる存在だったヴォーカルのアンドレ・マトスがリズム隊の二人と共に脱退。残されたメンバーはギタリストのキコ・ルーレイロ、ラファエル・ビッテンコートの二名のみという状況に立たされました。

 

バンドの崩壊寸前のところまで追い込まれた二人でしたが、曲作りを進めるうちにANGRAを継続させる意思を新たにし、メンバー探しを開始。そして最強の布陣となって再生を果たしたのが本作。

 

本作はクラシカルな要素、彼らの地元のラテン音楽の要素を掛け合わせ、メロディックパワーメタルというスタイルに昇華させた、まさにANGRAというバンドでしか成し得ない作品。キコ曰くANGRAの初期のコンセプトに立ち返る意識が明確にあったらしいです。優雅で、かつ土着的な色合いが濃いメロディーを持ち、そして極上のメロディックパワーメタルという軸に一切のブレがない。

 

M1「In Excelsis」から続くM2「Nova Era」はパワーメタルを愛するすべての人間を鼓舞し、高揚させる、完璧としか言いようがない超名曲。他にも素晴らしい曲は多々ありますが、すべてこの曲の前にかすんでしまうのではないかと思わせるほど。

 

ラストの強烈なツインリードに導かれる"Nova era is the passage to your mind~"のクライマックスなんか、いつ聴いても鳥肌と興奮を覚えてしまいます。

 

日本のメタルヘッズの間では"ANGRAの代表曲は「Carry On」"が共通認識としてあり、僕もそれを否定するつもりは一切ありませんが、やはり個人的にANGRA最強の名曲はこの「Nova Era」かなあ~。

 

ブラジル民謡っぽい間奏と特大スケールのサビが見事に共存したM4「Acid Rain」、ラテン音楽と疾走メタルによる壮大な組曲M6「Unholy Wars」、壮麗なストリングスをふんだんに使い、サビで突き抜けるようなポップさを表現したM8「Judgement Day」など、名曲・佳曲の雨アラレ。どの曲にもジャケットから想起されるような「美しさ」「煌めき」が存在する。

 

バンドが命をつなぎとめるキッカケとなったM9「Running Alone」もまた、クラシカルな芸術性をとことんまで高めた、実に見事な疾走曲となっています。この曲を聴けばANGRAの再生は必然だったとすら思えるな...。ラストの神聖なコーラスが劇的でたまらん!

 

ボーナストラックを含めるとラストでバラードが二曲続くのは、少しダレを感じさせなくもないですが、どちらも出来は非常に良いのでささいな問題でしょう。どんなタイプの楽曲でも感動を与えてくれる。ここまでドラマチックなパワーメタルは後にも先にもいくつ出てくるのか...

 

今でこそヴォーカルも交代し、キコ・ルーレイロもいない状態のANGRAですが、今後どれだけバンドの形が変わろうと、この再生劇は語り継がれていくんでしょうなあ...

 

 

個人的に本作は

"完全なる再生を高らかに宣言したメロディックパワーメタルの金字塔。全メタルヘッズが感動と歓喜に包まれる大名盤"

という感じです。

 


Angra - Rebirth (Official)