ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

NOCTURNAL BLOODLUST 『ZēTēS』 (2016)

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  • ドラマチックでシネマティックでバイオレンス
  • ロディアスかつテクニカルなリードギターが大活躍
  • ガチのデスコアファンからは不評かもね

 

先日V系デスコアバンド・NOCTURNAL BLOODLUSTが、新曲「Life is Once」を公開しました。

 


NOCTURNAL BLOODLUST - Life is Once (Official Visualizer)

 

レーベルスタッフの不正な金銭利用をきっかけにメインソングライターが脱退、さらにその穴を埋めるべく新規加入したギタリストが、よりにもよって新体制後初のライヴ直前という段階でやらかしていたことが発覚しパクられるという悲劇に見舞われた彼ら。

 

普通であればもうバンドにかけるモチベーションすら潰えてしまいそうなほど打ちのめされる事態な訳ですが、それでも彼らはバンドにかける気持ちを失わずメンバー募集を実施。そして長きに渡る沈黙を破り、とうとう復活までこぎつけました。これを不屈と言わずしてなんと言いましょうか。

 

4人体制になってリリースされたミニアルバム『UNLEASH』は、視聴してみた限り「誰もこのバンドにこの路線望んでないんじゃないの?」と思わざるを得ない迷走作でしたが(笑)、公開された新曲はダイナミックなギターが舞い、デスコア/メタルコアの素養をガッツリ見せつつもキャッチーなサビを聴かせる、CazquiさんDaichiさん在籍時のような音に回帰していてイイ感じ。

 

ギタリストは現時点では公開されていませんが、わざわざもったいぶってるってことは、CazquiさんとDaichiさんが戻ってくるとか、すでにかなりの知名度を持っている人だとか、何かしらのサプライズがあるのかもしれません。

 

そんな彼らの今後の動きに期待しつつ、2016年発表したミニアルバムの感想を書いてみたいと思います。

 

 本作はデスコアというスタンスを下敷きにしつつも、楽曲のバラエティの豊かさやシネマティックな要素を織り交ぜ、単純なエクストリームミュージックとは一味違った作風になっています。

 

これはやはりV系というバンドとしての強さですかね。ヘヴィなサウンドデスヴォイスもアリ、キャッチーな歌メロやチャラめなラップもアリにしてしまえる、V系という音楽の懐の深さを感じます(ファンはメタルファンと同じくらい排他的な人が多い印象ですが/笑)

 

こういう歌モノとしてもイケるスタイルは、ホンマモンのデスコアファンからしたら「中途半端にキャッチーにしてリスナーに媚びるな!グロウル一本で攻め立てろや!」と言いたくなるかもしれませんが、徹頭徹尾エクストリームな音にはあまり慣れてない僕からすれば、明確な歌、サビが存在する彼らの音は非常に聴きやすくて助かります。

 

またCazquiさんが中心となり弾き倒すギターが非常にカッコよく舞っており、思いっきりヘヴィなリフを刻みつつ、ここぞというところでダイナミックなリードが飛び出す。この派手さがまた彼らの楽曲の魅力を形成していますね。

 

シアトリカルなイントロから続くM2「Malice against」は彼らの代表曲と言っても良い、エクストリームな疾走感にSLAYERばりのギターソロ、キャッチーなサビという彼らの美点がそろった一曲。ハードコアモッシュが発生しそうなヘヴィパートも迫力充分。

 

タカが外れたかのような爆走っぷりに、気が狂ったヴォーカルパフォーマンスが載るM3「EXCEED」、超ド級のヘヴィサウンドに大胆にもサックスを入れ込んで、曲展開にかなり色味を加えたM4「NG+」、ドラマチックなギターで幕を開け、広義のヘヴィ・ラウドロックといえる曲調で疾走するM5「Deep Inside」と、単純なデスコアにはハマらないながら、攻撃性はバッチリな楽曲群で押し通してくる。

 

これだとちょっと勢いが強すぎるからか、最後にはバラードであるM6「the strength I need」で綺麗に締めてくれます。ヴォーカルメロディーにはもう少しフックが欲しいところですが、エモーショナルに響くリードギターはなかなか良い。

 

初回盤にはM2のインストバージョンに、過去曲「Rebellion」「A Bullet of Skyline」のリレコーディングを収録。ちょっとメロディーがとっつきやすすぎると感じるものの、らしさ全開でカッコいい。この3曲のためにCD替えるのはメンドクサイので、普通に一枚に収めてほしかったけど(笑)

 

ひたすらエクストリームな音を求める人からすればポップな要素、メロディアスに泣くギター、V系らしいクリーンなどが邪魔になり、ポジティヴな評価にはなりにくいかもしれませんが、このバンドらしい個性が短くも濃密に詰まったナイスなミニアルバムだと思います。

 

新生ノクブラもまたこんな感じの楽曲を生み出してくれるんでしょうか。今後の彼らの動きは要チェックですね。

 

 

個人的に本作は

"エクストリームミュージックのマナーを基本的には守りつつ、V系らしい毒々しいメロウさをバランスよくブレンドした個性的な作品"

という感じです。

 


NOCTURNAL BLOODLUST - Malice against (MV FULL)

 


NOCTURNAL BLOODLUST - 3rd Mini Album "ZeTeS" (Teaser)