何となくコテコテのパワーメタルが聴きたくなったので、本作をリピートしていました。
スウェーデンはストックホルム出身のメロディックパワーメタルバンドINSANIAの2ndフルアルバム。2001年という日本でクサメタルがもてはやされた時代に国内盤がリリースされたパワーメタル、そしてドラゴンが飛び交うジャケット...とくればどんなサウンドなのかは推して知るべし。
クサいメロディーをプンプン撒き散らしながら疾走し、ヴォーカルはハイトーン型、まさにクサメロパワの王道をまっすぐに行くパワーメタルが濃縮されています。というかこのジャケットで中身がそういうメロパワスタイルでなかったら立派な詐欺罪ですからね。
北欧出身らしく専任のキーボーディストがいるのですが、STRATOVARIUS、SONATA ARCTICAのような北欧出身ならではの冷たい透明感はほとんど無く、音楽性は完全にHELLOWEENやGAMMA RAY直系のジャーマンスタイルと言えましょう。
正直収録されている音自体は紛れもなくB級です。ヴォーカルはヘロヘロというわけではないものの、全体的に線が細く垢抜けない(この手のバンドとしては充分に歌えているとも思うが)。ギターがやけにモッサリしていて音もチープなため、洗練された音とは完全に無縁。どう聴いても本作からA級の輝き、オーラを感じ取るのはムリです(笑)
しかしメロディーセンスには光るものが感じられ、ここぞというところでこの上ないほどクサいメロを奏でてくれるし、武器である疾走感を支えるドラムの勢いはなかなか。クサいもの好きな疾走野郎の欲求はしっかりと満たしてくれそうです。
M1「Finlandia」はギターとキーボードがメロディアスな旋律をなぞるイントロなのですが、もうこの時点で恐ろしいほどクサい。チープでダサい、そしてクサい。
そうして繋がるM2「The Land Of The Wintersun」は冒頭のハイトーンに、ポジティヴなクサさMAXのサビ、死ぬほどクサいツインリードのギターソロと、クサメタルマナーに100%則ったクサメタルアンセムと呼ぶべき曲。この曲が本作のNo.1ですね。ラストの壮大なコーラスに"ドォォォン!"という爆発音も良い!(笑)
やけに長いバラードであるM5「Angels In The Sky」を除けば、アップテンポ~疾走ナンバーで固められているのは、メロスパーにはアピールポイントになりますね。
そして本作を語る上で何よりも欠かせないのがM7「Heading For Tomorrow」でしょう。ぶっちゃけ僕が本作に興味を持ったのはこの曲があったからに他ならない。
ライナーノーツでキャプテン和田さんから「"Eagle Fly Free 2001"とでも言うべきトリビュートソング」という言葉をいただいた楽曲で、あろうことかサビがまんま「Eagle Fly Free」というパクリソングなのです!タイトルはGAMMA RAYなのにね(笑)
僕は長年にわたってメタルを聴き続けてきたメタルヘッズと比べてイマイチ聴きこみが足りないのか、パクリだと言われない限り気づかないことが結構多いのですが、この曲に関してはあまりにもそのまんま過ぎるため、前情報なしでも100%気づく自信があります。
そして続くM8「Sunrise In Riverland」のサビはGAMMA RAYの「Man On A Mission」にクリソツです(笑) 凄いぞ!このバンド節操なさすぎるぞ!!
カイ・ハンセンを愛してやまず、疾走感たっぷりでメロパワ/メロスピの基本をまったく逸脱しない曲展開、音は思いっきりB級と、とことんクサメロスパーの琴線に響く要素を携えたようなアルバムです。パクリに目くじらを立てず、とにかくクサメロが聴きてえんだ!というリスナーなら結構満足度が高いかもしれない...?
個人的にはちとB級過ぎるし、疾走してない曲のメロディーがあまり面白くないことと、後半似たような疾走曲がぶっ続けで垂れ流され、ちょっと飽きがきてしまうことにより、ハマりきれない部分があるのは確か。でもメロパワ大好き人間としてはキライになることはできませんね。
ただまあアレですね、今だったら確実に国内盤は出ないであろうこんなアルバムを、2020年になって新たに聴きだすヤツは僕だけで充分ではないでしょうか(笑)
個人的に本作は
"ジャーマン系クサメロパワの超王道を突っ走る憎めないアルバム。B級もいいところだけど、メロディーセンスは決してバカにはできない"
という感じです。
Insania @ klubben 2001 - The land of the wintersun - Rare footage
いちおう公式のアカウントから公開されている2001年のライヴ映像。サビのヴォーカルのキーはガッツリ下がっていますが、声自体は良く出ているような気がする。