ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Dark Moor 『The Hall Of The Olden Dreams』 (2001)

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  • 全クサメタラーのマストアイテム
  • キラキラネオクラ様式美ド真ん中
  • 大仰なクサさだけなら全世界トップクラス

 

前回INSANIAというマニアしか見向きもされないようなクサメタルアルバムについて書いたので、それに続けとばかりに今回もクサメタルをば。

 

以前Derdianの感想でも書きましたが、僕はメロディーがキャッチーであれば、必ずしも音楽にクサさは求めていないリスナーです。日々クサい音を求めてCD屋さんを徘徊する重度のクサメタラーではありません(笑)

 

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とはいえ、とはいえです。「クサメタルは好きか嫌いか?」と聞かれれば、やっぱり「好き」と言わざるを得ないわけで(笑) 哀愁に満ちたダサさと紙一重(ダサさとイコールと言うべきか)の美旋律!日本人のメタルヘッズとしては有名所はチェックしないわけにはいきません。

 

今回のアルバムはそんなクサメタル界を代表する名盤。スペイン出身のシンフォニックメタルバンド・Dark Moorの、クサメタラーの間で伝説とされている2ndフルアルバム。クサメタルの話題になれば必ずと言っていいほど名前があがる、世界屈指の異臭を放つアルバムです。

 

Dark Moorは今でこそ脱ヘヴィメタルして、かなりソフトな路線に進んでしまったようですが(最近の音源聴いてないの)、この頃はまさに様式美メロスピ/シンフォニックメタルド真ん中と言うべき音。ネオクラシカルなギターワークにキラキラした様式美シンセを纏わせ、クサメロにまみれたヴォーカルとクワイアと共に突進する。

 

もうとにかくメロディーのすべてがクサい。クサすぎる。国産バンドのような歌謡的クサさ、ジャーマンメロスピ勢のポジティヴ飛翔系ではなく(それはそれで好き)、仄暗い荘厳なネオクラ様式美の旋律。これがシンフォアレンジをまぶしたメロスピサウンドで止まること無く溢れ続ける様は圧巻の一言。

 

イントロから続くM2「Somewhere In Dreams」はミドルテンポの曲で、この手のアルバムのトップバッターは疾走曲でくるのがお作法のはずですが、そんなことがどうでもよくなるほど歌メロに臭いが染み付いている。エリサ・C・マルティンの女性ながら勇壮な雰囲気を持ったヴォーカルが実に映える。決して上手いとは言えませんが、音楽のスタイルにはビシッとハマっている気がします。

 

そしてそのクサさにやられたリスナーをいきなり仕留めにかかるのがM3「Maid Of Orleans」!イントロの壮麗なシンフォサウンドによる極上のメロディーから素晴らしく、サビでそのメロをなぞりながら疾走するのだからたまらん!

 

キラキラシンセとピロピロギターで爆走するインストパートが恐ろしいほど緊迫感に満ちたM5「Silver Lake」もブッ飛んだキラーチューンですね。クワイアが上品に、かつ劇的に盛り上げるサビも文句無しだ!個人的にはM3と双璧をなすベストチューンです。

 

本作の中ではポジティヴ寄りな歌メロが目立つも、クワイアとシンフォニックなシンセにより神聖なるクサさはバッチリ担保された疾走曲M9「Quest For The Eternal Fame」、ネオクラシンセとオーケストラルヒットの絡みがインパクト抜群のM10「Hand In Hand」など、終盤にいたるまでマジでクサくない瞬間がないほどのクサメロの雨アラレ。ここまで徹底されてしまえばもう何も言えませんわい。

 

ただ全楽曲に特濃メロディーが詰め込まれているクドさがあり、さらに最後の最後で10分以上の大作がくる構成は、個人的にはやや濃厚すぎて聴き疲れてしまうかも。純然たるクサメタラーであれば「クサメロ大豊作だ!」と大喜びするかもしれませんが。

 

多くのクサメロ大好きメタラーがこのアルバムを聴いて、あまりの臭いに窒息死したという噂をネット上で目にしましたが、それも頷けるまさにクサメタル界の金字塔。優美でクラシカルなクサさを求める人は必ず通る門ですね。

 

 

個人的に本作は

"嗅覚を破壊せしめんとする異臭レベルを誇る、ネオクラシカル・様式美・シンフォニッククサメタルの決定盤"

という感じです。