ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

STRATOVARIUS 『Visions』 (1997)

f:id:Show_hitorigoto:20200620143032j:plain

  • 澄んだメロディーとアレンジが疾駆するメロスピ代表盤
  • スピード一辺倒にならないバラエティの豊かさも美味しい
  • 楽曲の充実度の高さは界隈トップレベ

 

日本のメロディックメタル愛好家であればもはや語るまでもない存在であるSTRATOVARIUS。このブログでは今まで全然扱ってこなかったので、ここで代表作とされる本作の感想を書いてみます。

 

彼らの音楽性はHELLOWEENが生み出したメロディックスピードメタルという音楽形式に、北欧出身ならではの冷気が浮き彫りになったメロディー、様式美な香りのするキーボードとプログレッシヴな要素を塗したもの。あまりヘヴィな音には慣れていない人でも非常に聴きやすい、ヘヴィメタルバンドとしてはトップクラスに聴き手を選ばない音だと思います。

 

個人的に彼らのようなキラキラ北欧メロスピって、ギターリフの馬力がやや足りなく感じることもあり、必ずしも大好きな音というわけではなかったりします。

 

しかし美しいメロディーがまとまりのある演奏で疾走するパワーメタル、というスタイルは当然嫌いになれるはずもなく(笑)、過去作をちょいちょい聴いたりするんですが、やっぱりこのバンドにはジャンルの代表格として相応しいクオリティーがあると感じるんです。

 

初期はかなり野暮ったさ、ダサさがあったものの、本作にはそういった要素は皆無。完全にメロディックスピードメタルの代表格としてのオーラを身に着けたと言っていいでしょう。

 

数々のバンドで叩いてきたため渡り鳥と揶揄される(?)ドラマーのヨルグ・マイケル、ネオクラシカルキーボーディストのイェンス・ヨハンソンという、実力派のメンバーを入れたことも功を奏したのでしょうか。本作にはA級メロスピとしての風格があります。

 

実際僕が本作で一番耳を引かれるのがこの二人のプレイで、ネオクラシンセでバリバリ速弾きを披露するイェンスのプレイは壮絶の一語ですし、パワフルな疾走感に満ちたヨルグのドラムは、スパァーン!と抜けが良くも軽さを感じさせない理想的な音で迫りくる。

 

ティモ・コティペルトによる澄み渡るハイトーンヴォーカルも音によくマッチしていて、良く練られたメロディーがしっかりと染みます。高音域になると危なっかしいと言われがちらしく、実際僕もそう思わないではありませんが特にネックに感じることはないな。

 

印象的なキーボードのインストから青く冴えわたる疾走感を見せる哀愁スピードナンバーM1「Black Diamond」は"THE・STRATOVARIUS"な一曲。ホントはM2「The Kiss Of Judas」と曲順が逆らしいですが、この曲がオープニングであることは正解だと思う。

 

M5「Legions」のような疾走曲はもちろん、リズミカルなリフ重視のキャッチーな歌モノナンバーM8「Paradise」、儚く繊細な叙情性を完璧に表現したバラードM9「Coming Home」、10分を超える大作ながら、途中で飽きさせることのない構成の妙技が味わえるM10「Visions」など、バラエティを持たせつつ多くの楽曲に美しい旋律が活きています。

 

最も好きな楽曲はM3「Forever Free」で、前のめりな勢いに溢れるヨルグのドラムに引っ張られながら、攻撃的なリフとキャッチーなリードを弾き倒すギター、合唱必至のサビが炸裂するメロスピの王道名曲!

 

こういった充実の楽曲群を量産できていたティモ・トルキってやっぱりすごいクリエイターだったんだな...と思わずにはいられませんね。人間的にはかなりアレらしいですが(笑)全盛期の作曲能力は疑う余地のないもの。

 

何でも僕があまり好きではない某雑誌とレビュー文に関して色々と揉めた曰く付きのアルバムらしいですが、後から聴いた僕には一切関係なく、優れたメロディックメタルの宝庫と呼ぶべき作品で楽しめました。

 

 

個人的に本作は

"北欧情緒満載の優れたメロディーセンスと優れた演奏が融合した、メロディックメタルの金看板と言うべき名盤"

という感じです。