ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SONATA ARCTICA 『Ecliptica』 (2000)

f:id:Show_hitorigoto:20200621011005j:plain

  • 北欧メロスピの理想郷
  • 若さ青さに任せた疾走感と悲哀のメロディーの融合
  • メロスピというジャンルに求められる音はコレ

 

前回はSTRATOVARIUSの名盤について書いたので、彼らの後継者ともいえる存在であったSONATA ARCTICAについても触れなきゃ!と思った次第です。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

フィンランド出身のメロディックスピードメタルバンド(今は違うけど)SONATA ARCTICAの鮮烈なデビューアルバム。本作もまた、メロスピ名盤の話になれば必ず名前が挙がる作品。

 

ROYAL HUNTアンドレ・アンダーセンが「僕らとSTRATOVARIUSをミックスさせた音だ」と語った通り、彼らの作り出す音は基本線にSTRATOVARIUSがあって、そこに様式美臭漂うキーボードの装飾をまとわせたもの。とはいえSTRATOVARIUSにもイェンス・ヨハンソンによるキーボードの音があるわけですから、まあSTRAOVARIUSフォロワーと言い切ってしまって良いでしょう。

 

本作が日本のメロスパーに支持されたのは、何といっても哀愁激情のヴォーカルメロディーとガムシャラな疾走感。この二つがとにかく強烈。哀しみの叙情性が溢れんばかりに注入されたメロディーが、若さゆえの勢いあるサウンドに乗ってリスナーにダイレクトにぶつかってくるのです。

 

ヴォーカルはいっぱいいっぱいになりながらハイトーンを振り絞り、ギターとキーボードが速弾きでサウンドに勢いをつけ、ドラムはひたすら一直線に突っ走る。熟練の老舗バンドや、オッサンならではの渋みを武器にするバンドには恐らくマネできないであろう衝動がたっぷり。

 

ぶっちゃけ楽器陣は特に難しいことをやっている訳ではなく、何か耳を引くテクニカルなアレンジやらは無い。疾走曲かアップテンポかバラードか。サウンド自体は本当にシンプルなメロディックメタルのそれです。

 

小難しいことはせずに、哀愁の美メロと疾走感、このメロスピというジャンルに求められる二大要素のみを研ぎ澄まし、突き抜けた領域にまで持っていったことが、本作が名盤としての評価を不動なものにしたのでしょう。本作に収められた音は小細工が無く潔い。

 

先輩であるSTRATOVARIUSがバラエティ豊かな楽曲を豊富に取り揃え、プログレッシヴな雰囲気も持ち合わせているのに対し、本作の音はひたすら一直線にメロディックスピードメタルを貫いている。この愚直な勢いが尋常ならざるパワーと説得力をもたらしている感があります。

 

青く澄み渡る極上のメロディーがブッ放されるM1「Blank File」、透き通るキーボードが北欧の寒々しさを演出しつつ、ヴォーカルも哀愁まみれなM2「My Land」、キラキラしたシンセと小刻みなリフの爆走からインパクト絶大のM3「8th Commandment」と、オープニングからメロディーの怒涛の潮流は止まない。

 

疾走曲だけでなくM4「Replica」やM6「Fullmoon」のようなバラードやミドル曲においても、メロディーの充実度は衰えることがない。それどころか切ない美旋律はこういった曲にこそ発揮されていると言えるほど。ヴォーカルのフックが強烈なので、当然ながら「テンポを落とした曲は捨て曲」なんて事態にはなりえません。

 

ボートラを除いたラストのM10「Destruction Preventer」は7分以上の大作ですが、この曲のサビの疾走感こそ本作一なのではと思うほどで、退屈さを感じることはありません。ラストの超ハイトーン(ライヴじゃ絶対ムリだろ/笑)から解き放たれたかのように爆走するサビの高揚感はハンパじゃない!バックで流れる透明感バツグンのキーボードがまた、サウンドにマッチしてメチャクチャ綺麗なんですよ。

 

ロディアス&スピーディーという単純な造り。そんな「単純さの強さ」を見事に体現したメロスピ界屈指の超強烈盤。北欧メロスピを知りたけりゃまずはコレでしょう。

 

 

個人的に本作は

"哀愁叙情美旋律の爆走に特化した、シンプルながらもメロディックスピードメタルというスタイルの頂点に達した作品"

という感じです。

 


Blank File

 


Destruction Preventer