STRATOVARIUSにSONATA ARCTICAとフィンランド勢が続き、今回もまたフィンランド出身のバンドのアルバムを。
昨年メンバー間の関係性にヒビが入り、長きに渡って活動してきたメンバーが脱退、事実上の解散を余儀なくされてしまったChildren Of Bodom。そんな彼らが1998年(本国リリースは1997年)、彗星のごとく現れ、エクストリームメタル界に革命を起こした1stアルバム。
彼らが出てくる前のメロディックデスメタルといえば、IN FLAMESに代表されるような、泣きに泣いたリードギターがメロディーを主導していくスタイルが主だったようですが、彼らはそれとは一線を画するスタイルを1stにて提示。
ネオクラシカルな様式美のエッセンスを隠そうともしないキーボードが全面に押し出され、ギターと共にド派手に舞う。オーケストラルヒットがバンバン飛び出し、単にメロディアスという域を超越した演奏が展開される。
僕は世代的に完全に後追いで聴いたのですが、当時リアルタイムで本作に触れた人は、従来のメロディックデスメタルとは似ても似つかぬサウンドにさぞかし衝撃を受けたんじゃないでしょうか。後にNORTHERやKalmah、DESTROY DESTROY DESTROYに初期BLOOD STAIN CHILDなど、数々のフォロワーを生んだスタイルを彼らは最初のアルバム一枚にて打ち立ててしまったのです(日本ではこのチルボド風メタルを「キラデス」と称しているようですが、「クサメタル」と違ってあまり普及している感じではなさそう)
後のアルバムに比べるとまだ楽曲のクオリティーはB級っぽさがある感じで、世紀の名盤『Hate Crew Deathroll』で聴けるようなメジャー感は無い。アレキシ・ライホのデスヴォイスがかなり弱めな喚き立てるタイプなのもあり、良くも悪くもアンダーグラウンド臭が色濃いです。
しかしヤンネ・ウィルマンによるクッサクサなキラキラキーボードが舞い踊り、超絶テクのギターソロとバトルを繰り広げる様は壮絶で、B級色を補って余りある。M5「Lake Bodom」、M6「The Nail」は本作の路線を象徴するネオクラシカル・メロディックデスメタルの名曲。様式美の香り満載のフレーズをギターがこれでもかと弾き倒し、そこに絡み合うようにキーボードが煌めく音色で美しくも不気味に装飾していく。
オープニングトラックのM1「Deadnight Warrior」は、オーケストラルヒットの迫力に、不気味さと美しさを兼ね備えたアレンジ、疾走パートのえげつないまでのカッコよさが詰まりに詰まったベストチューン。
曲のラストがやや唐突な感じで楽曲構成に未熟な部分があったり、音質も軽めだったりと、前述のB級っぽい部分も含めて完璧なアルバムとは言い難いのですが、ネオクラシカル要素は彼らのアルバムの中でも最高峰と言えるだけに、本作をベストに挙げるクサメタラーもいるかもしれません。
個人的にはメロディアスであればネオクラ要素にこだわっているわけではないので、演奏や楽曲の造りが底上げされた2nd〜5thの方が好きですが、全編に過剰なまでの派手なサウンドとクサさを入れ込んだ本作のインパクトは、他のアルバムにはないものだと思います。
個人的に本作は
"ダイナミックな演奏と様式美のクサさを強引に混ぜ込み、B級ながらも高次元のクサさを秘めたメロデス界の記念碑"
という感じです。
Children Of Bodom - Deadnight Warrior (OFFICIAL MUSIC VIDEO)
ヤンネのファッションだけ激しく浮いてるのは何故なのだろう