ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ARCH ENEMY 『Burning Bridges』 (1999)

 f:id:Show_hitorigoto:20200827213249j:plain

  • ヨハン・リーヴァ在籍時の最高傑作
  • デスメタルの暴虐性と泣きの叙情性の完璧な融合
  • アモット兄弟による感情表現の極み

 

前回・前々回と1999年に発売されたメロデス至高の名盤を二枚続けて取り上げたので、もちろん本作についても書かなきゃならんでしょう。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

日本において一際高い人気を誇るメロディックデスメタルバンド・ARCH ENEMYの、ヨハン・リーヴァ在籍時における名盤3rdです。

 

4th以降はドイツ人女性ヴォーカルのアンジェラ・ゴソウを迎え、飛躍的に世界からの注目度が増したARCH ENEMYですが、ヨハンがヴォーカルをとっていたこの時期は、まだ日本くらいでしか、さして注目されていなかったそうです。

 

しかしその分日本での初期ARCH ENEMYの人気は高く、本作製作時のメンバー構成で初期のアルバム3枚に収録された楽曲のみをプレイするプロジェクト・BLACK EARTHが始動し、日本ツアーとLOUD PARKのシークレットアクト出演が実現したのは皆さんご存知のとおりです。

 

僕はARCH ENEMYは特にヨハン期にこだわってはおらず、どちらかというとアンジェラ加入後の方が好きな曲は多いんですが、この時期にあったドロドロとして禍々しいデスメタルらしさは、今のARCH ENEMYには無い要素だというのは認めざるをえないところです。

 

そんなビッグ・イン・ジャパン気味な初期ARCH ENEMYのアルバムにおいて、トップクラスの人気を誇るのが本作『Burning Bridges』。以前感想文を書いたIN FLAMESの『Colony』、Children Of Bodomの『Hatebreeder』と並び称される、メロディックデスメタルというジャンルを代表する名盤です。

 

1stアルバムから、というかCARCASSの頃から存在感を放っていたマイケル・アモットの叙情的に咽び泣くリードギターの旋律が、ここにきてさらに泣きの臨界点を突破。弟のクリストファー・アモットとの流麗なギターソロのコンビネーションの妙が、全ての曲において堪能できる。

 

暴虐的なデスメタルにメロディアスなギターワークを組み合わせるという手法は、1stアルバムから一切変わっていないのですが、本作ではそのギターの活躍の場面が大幅増量。ツインギターが表現できる哀しみの感情の極みといえるほどに、泣きのリードが唸るのです。

 

剛直なリフによるイントロから爆走し、ヨハンのダークな咆哮とマイケル兄弟の劇的リードが絡み、強靭なリズム隊の演奏により骨組みがさらに強化されたM1「The Immortal」から早速本作の強みが剥き出しになったキラーチューン。

 

その後もダイナミックなリフとリードの嵐が舞うM2「Dead Inside」、突如として切り込まれるポップともいえるほどに爽やかなギターがインパクト抜群のM4「Silverwing」、より切れ味を増しつつ、キャッチーさも十二分に保持したギターが実に心地よいM6「Seed Of Hate(クリーンギターとつぶやくようなヴォーカルが重なる様はどことなくIN FLAMESっぽい?)など、捨て曲は一切なし。ブルータルな演奏と哀しい旋律が一切の違和感なく共存しているのが素晴らしい。

 

個人的なベストチューンはM7「Angelclaw」ですね。ライヴで生で聴いたこともありますが、この曲における流れるようなスピーディーなリードギターはマジで極上。後半スローパートの尋常ではない泣きっぷりから、一気にパッと視界が開けたように解き放たれるギターソロも言葉にできない素晴らしさ。アモット兄弟のギター、ここに極まれり。

 

収録時間が短いのも、長い曲・アルバムが苦手な僕には助かりますし(それでもあともう1〜2曲くらいあってもいい気がしますが)デスメタルとして語るのが憚られるほど、メロディアスさが際立った至高の一枚。音楽としてのクオリティーは次作『Wages Of Sin』以降の方が上ですが、哀しみに満ちた激情は本作が最高峰かも。

 

あとどうでもいいことですが、2015年あたりから本作以前の楽曲をARCH ENEMY本隊でまったくやらなくなった現在、アリッサヴォーカルの「Silverwing」を生で、しかもかなり前の方で聴けたという事実はちょっとした自慢になりそうです(笑)

 

 

個人的に本作は

"アモット兄弟の神がかった慟哭ギターが全方位的に暴れ倒す、メロディアス&ブルータルなメロデスの傑作"

という感じです。

 


ARCH ENEMY - The Immortal (OFFICIAL VIDEO)

 


Angelclaw