ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

GAUZE 『貧乏ゆすりのリズムに乗って』 (2007)

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  • 10曲13分の短き轟音
  • ロディアスさやドラマチックさは皆無
  • 全ての人間が胸に刻むべき言葉がある

 

先日『BRAHMAN 25TH 25HOUR TV』という企画があったんです。日本のハードコアパンクバンド・BRAHMANの結成25周年を記念して、過去のライヴ映像や、RONZIさんが1週間でラーメンを25杯食っていく映像を、YouTubeで25時間ブッ通しで放送するという狂気の沙汰企画です。

 


【予告編】「ブラフマンの25時間テレビ(BRAHMAN 25TH 25HOUR TV)」

 

さすがに全編観ることは叶わなかったものの(そもそも当日休日出勤だったし)、ちょいちょいライヴ映像やMV、ツアーのドキュメンタリーを見て、Twitterに感想を上げたりもしていました。

 

見ていて思ったのが、やっぱりハードコアなパンクスってカッコいいな~と。現代社会の問題から目を逸らさず、ひたむきにストイックに行動し、自分たちの生き様を音と言葉に乗せる。痛烈なメッセージ性を秘めた歌詞を轟音と共に浴びれば、圧倒されると同時にビシッと身が引き締まる思いです。

 

そんなジャパニーズ・ハードコアの代表にして、ひたすらにハードコア道を突き進むバンドこそ、1981年に結成された大ベテラン・GAUZE25時間テレビにおいても、結構な頻度でBRAHMANのメンバーが彼らのTシャツを着ていたのが印象的でした。

 

GAUZEが主催となっている対バンイベントの消毒GIGは以前一度だけ言ったことがありますが、彼らの丁寧さや軟弱さをかなぐり捨てた、アグレッシヴな激音は今でもまざまざと思い出されます。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

本作は彼らが2007年に発表した、現時点での最新作。10曲入りで総収録時間はわずか13分ちょいという破格の短さ!これぞハードコアパンク

 

そして音を聴いても、ハードコアとしか形容できないほどのアグレッシヴ極まりない轟音の嵐。メロディーなんざ知るか!と言わんばかりに、やたら早口でまくし立てるがなりヴォーカル、汚めの音質でノイジーに歪むギター、ブンブンと走りまわるベース、ひたすら爆走しつづける怒涛のドラム。正直これを「音楽」と呼んでいいものかと思ってしまうほどの激音が、スピーカーから鳴り、鼓膜を強引に震わす。

 

ロディアスさや整合感を愛するリスナーからしたら、この衝動100%の音作りはまったくもって理解不能なものに映るのかもしれません。僕だって本作に収録された音をランダムで再生し、「今何曲目でしょうか?」と聞かれても答えられる自信はありません(笑)

 

しかし、ジャパニーズ・ハードコアとは、とにかく熱い日本語によるメッセージをリスナーにぶつけることこそ第一命題。そして本作は(というかGAUZEの楽曲はどれも)そのメッセージ性の強さ、刺さり具合がハンパではないのです。今生きとし生けるもの、全ての人の胸に刻むべき、生き様を問いただす文句がズラリと並んでいます。

 

ぬるま湯は気持ちいいだろ

そろそろ出るか でも

立ち上がれば寒いかもしれぬ

ふやけても今のままでいい

何をやってるんだ おまえは

 

もうすぐ閉まるぞ どうするつもりだ

超えなきゃならねえ てめえの踏切

やっぱり今日も 渡らねえのか

一生逃げるか てめえの踏切

何も言うな もう聞きたくねえ もう沢山だ もううんざりだ

 

時代遅れで 要領悪くて 上等だ

愛しき不器用者

 

精一杯の強がり言うより てめえをさらして恥をかけ

自分が思ってるほど他人は てめえの事など見ちゃいねえ

一度決めたら口に出してみろ 口に出したら意地でも守れ

どうせたいした人間じゃねえ 一つくらい意地でも貫け

 

彼らの楽曲は音楽的にどうこうとか、頭を使ってあーだこーだ考えるのではなく、歌詞カードを手にスピーカーに正対し、魂のリリックと正面からぶつかるのが正しい聴き方なんでしょう。

 

色々と問題の多い現代にこそ、GAUZEの放つ人間として気高く生きるメッセージが必要なんだと思います。

 

 

個人的に本作は

"すべての現代人のケツを蹴り上げ、叱咤激励する本物のハードコアパンク"

という感じです。