先日ディスクユニオンで「初期IN FLAMESに通じるメロデス」という触れ込みで紹介されていた、ドイツ出身のメロディックデスメタルバンドの自主制作2ndアルバム。
このバンドについては存在すら全く知らなかったのですが、なんでも10年ぶりとなる新作なうえに、300枚限定の生産しかされないアルバムなのだとか(裏にもわざわざ「limited to 300」って記載している)
初期IN FLAMES型のメロデスはもちろん大好きだし、限定300枚とあれば貴重な作品になるかもしれないという期待感(まったく注目されないまま終わる可能性もありますが)が生まれ、値段もそんなに高くないこともあり手を出してみることに。
こうやって全然知らんバンドの音源に手を出して「あんま面白くないね」とさほど聴きこまない、という経験を何度もしてきているのに、僕に反省はできないのだろうか...。
しかし本作はなかなか悪くない。むしろ普通にメロデスとしてイイ感じ。煽り文句通りIN FLAMESライクのリードギターが楽曲を引っ張っていくタイプのメロデス。
疾走感はかなり控えめで、基本はギター主軸のシンプルさ。派手さもヘヴィさもほとんど無く、本当に今年出たアルバムなんだよな...?と思ってしまうほど、だいぶ地味な印象の作風ではあります。
しかしこのギターが奏でるメロディーがなかなかツボなんです。かなりキャッチーかつ確かな泣きを感じさせるリードギターの旋律は、90年代後半のメロディックデス全盛期に胸を熱くしたリスナーであれば、確実に響くものがあるはず(僕はリアルタイムで経験してませんが)
イントロを挟んだM2「Purified」から早速お約束通りのリードギターによる疾走。キャッチーなギターソロを存分に弾き切ってから、ラストのサビで半音上がるところなんか、ベタであざといのはわかっているのにグッときてしまいます(笑)
抜きん出たキラーチューンは無く(しいて言えば前述のM2になるのかな?)、大体似たような"メロデスofメロデス"がずっと続いていくため、アルバム通して良くも悪くも代わり映えのしない出来。起伏も少なく、この手のジャンルとしての及第点は十分にクリアしていますが、彼らならではの個性や突き抜けた美点はあまり無いかも。
まあメロデスバンドは時が経つにつれ、野暮ったさ皆無の洗練されたエクストリームメタルになったり、方向性を大きく変えモダンなポストメタル的な音になったりするのが大筋ですからね。2020年にもなってこういう叙情的リフとリードを撒き散らす、メロデスらしいメロデスは、それだけである種貴重な存在かもしれません。
僕は近年のIN FLAMESも憎からず思っているタチですが、やっぱりこういう音は良いもんですね。90年代メロデスに思いを馳せたい人は300枚限定なのでお早めに。ギターとともに咽び泣くべし。
個人的に本作は
"テクやモダンさには目もくれず、ギターで哀愁の泣きメロを奏でることに専念したメロデスの超王道スタイル"
という感じです。
ZERO DEGREE - RESURRECTION (LYRIC VIDEO)