- BULLET FOR MY VALENTINEのDNAを継承
- エモ、ポストハードコアとしてのキャッチーさを強く内包
- 基本スタンスはしっかりとメタル
先日足を運んだタワーレコード秋葉原店のメタルコーナーでやたらプッシュされていて、気になって手に取ってみた作品。
これに限らず、秋葉原店は以前からメタルコア/デスコアをかなり推薦しており、多数のバンドのアルバムをポップを飾って面陳しています。秋葉原はいわゆる「オタクの街」のはずですが、メタルの中でもオタク受けしやすいメロスピではなく、イケてる側のメタルコアをプッシュするのは何故なのでしょうか(笑)
ちなみに秋葉原は、その濃厚なオタク臭で敬遠する人も多いかもしれませんが、個人的にはタワーレコードの品ぞろえがなかなか良かったり、リーズナブルで入りやすいファッションのお店があったり、規模の大きな本屋が多かったり、会社の定期が使える範囲で行きやすかったり、ちょっと足を延ばせば御茶ノ水ディスクユニオンに行けたり......など、かなり利点が多くて割と好印象です。
まあそんなことはどうでもよくて、本作。2016年にBULLET FOR MY VALENTINEを脱退したドラマーのマイケル・トーマスが主体となって結成されたメタルコアバンドのデビュー作。トーマス意外にもキャリアのあるメンバーが集っているようです(恥ずかしながら僕はあまり知らなかった...)
音楽性としてはBFMVの元メンバーが中心人物であり、今年に入って脱退したものの、BFMVフォロワーのGLAMOUR OF THE KILLのメンバーがベーシストとして在籍していたということから想起される通り。エモ、スクリーモ、ポストハードコアのキャッチーな要素を持ったメタルコアです。
アメリカのメタルコアバンドのようなマッシヴなヘヴィさはあまりないものの、ギターリフに鋭い攻撃性が宿り、流麗なプレイのツインギターが絡む。エモっぽい声質のクリアなヴォーカルと粗野なスクリームの交錯具合も含めて、まさにBFMV直系のUKメタルコア。
この手のバンドはえてして「こんなヤワな連中、俺はヘヴィメタルとは認めないぞ!」と声を荒げる連中が湧きがちですが(笑)、このバンドはモッシュ誘発のズンズン響くリズム落ちパートの出番もそこそこあるし、速弾きギターソロの存在感も大きい。エモやポストハードコアよりも、メタルとしての音作りが色濃くなっています。
ヴォーカルもクリーン・シャウト共になかなか安定していて迫力もある。サビのメロディーの豊かさや、キレのあるギタープレーもあって、個人的には結構気に入りました。 可もなく不可もなしな楽曲も多く、突出した点や派手さは無いけど、平均点は何気に高い。
1st~3rdのBULLET FOR MY VALENTINEに匹敵するとまではいかないものの、少なくともガッカリの極みだった最新作より遥かにエキサイトできます(笑)
show-hitorigoto.hatenablog.com
キレたスクリームと同時に疾走し、メタルコアらしいリズム落ちも挟んで、クリーンのサビでキャッチーに展開する王道UKメタルコアのM1「Shed My Skin」と、ツインリードのハモリを響かせる疾走イントロからカッコいいエモメタルナンバーM2「The Faceless」という開幕二連打で、BFMVタイプのメタルが好きな人のハートはガッチリでしょう。
その他だと、これまたツインリードのギターが唸るイントロの疾走がインパクト抜群なM9「Sober」、Oiコーラスからゆっくりと始まり、ソリッドなリフで爆走、非常にキャッチーかつクールなサビで魅せるM11「Unmoved」が特に気に入りました。このバンド、イントロ作りのセンスありますね。
ちょっと気になったのはメタルコアバンドとしてキッズのニーズに応えるためか、疾走感を見せていても途中からテンポが落ちてしまう傾向が強いところ。個人的には最後まで疾走をメインにしたアレンジの楽曲聴いてみたいもんです。
ただ1stでこれだけやってくれれば十分満足ですね。もしBULLET FOR MY VALENTINEが最新作の路線のまま進んでしまうのであれば、ファンが求める音は今後彼らに期待されると言ってもいいかもしれません。まあBFMVには今後も期待はかけていきたいんですけどね。
個人的に本作は
"UKメタルコアの王道を安定した実力とセンスで彩る、新時代メタルのニューホープ"
という感じです。
Kill The Lights - Shed My Skin (Official Music Video)