ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

RAVEN 『Metal City』

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  • 大ベテランらしい男のメタルサウンド
  • 洗練されていないゴツゴツしたやかまし
  • 新ドラマー・マイクの見事なプレイが聴きどころ

 

このジャケットにこのタイトル、「メタラー以外は買わなくていいぜ!」という叫びが聞こえるかのようで、実に清々しいではないですか。

 

70年代後半から80年代前半にかけて勃興したNWOBHM期にデビューした大ベテランバンド・RAVENの14枚目のフルアルバム。

 

これだけの年月を重ねているバンドにも関わらず、僕は彼らの音源にはさして触れてこなかったのですが(NWOBHMのバンドはとりあえずIRON MAIDEN聴いとけばいいんじゃないかな~とか思っていたので...)ディスクユニオンのストアプレイで流れていた本作の楽曲がなかなかにカッコよく興味をそそられてしまいまして。

 

そして現在の彼らの編成に、FEAR FACTORYのドラマーであるマイク・ヘラーが加入していたということを知ってちょっとビックリ。活動歴40年のベテラン正統派メタルバンドに、FEAR FACTORYのメンバー......ちゃんとコミュニケーションできるのだろうか...

 

しかもマイクは他の二人から20歳ほども離れているし、何よりフロントの二人は兄弟。ジェネレーションギャップの問題もあるし、共通の話題も圧倒的に少ないだろうし、ちゃんと長続きすればいいんですが。

 

まあそんなことはともかく本作。FEAR FACTORYのメンバーが入ったとはいえ、音楽性がインダストリアル志向、テクニカル志向になるはずもなく、一点の曇りもないスピーディーなヘヴィメタルをプレイしている。むさ苦しいまでに男らしい世界観もバッチリで、「ヘヴィメタルといえばやっぱこういう音だよ!」と豪語するオジサマも多いはず。

 

かなり不器用でまっすぐ、かつゴツゴツしたやかましい音像は、「しなやか」「美麗」「哀愁」といったワードとは無縁なもの。基本的に哀愁あるメロディーを聴かせるバンドが好きな僕としては、この音は必ずしも琴線に響くというわけではありません。武骨なリフは良いのですが、全体的にキャッチーさがもう少し欲しいかな。ギターソロもあんまりおもしろくないし。

 

しかし仮にもヘヴィメタルファンを自認する身、とうてい嫌いにはなれませんよね、こういう音。ところどころひっくり返りそうなハイトーンや、徹頭徹尾アグレッシヴに刻まれるリフ、ヘヴィな音質を地味ながらしっかりと支えるベース。一つ一つがヘヴィメタルらしいやかましさを演出するのに働いている。

 

そして数多くのテクニカルバンドで鍛え上げられたマイクのドラムプレイはさすがの一言。凄まじい手数で猛烈に叩きつける様は、速さが売りの彼らの楽曲をより一層スリリングなものへと昇華しています。

 

ラフで荒っぽい演奏に対して、ちょっとうますぎるというか、スマートな印象が強いのではという意見もあるかもしれませんけどね。この流れるような高速のスネア連打音が気持ちいいのです。

 

楽曲はどれもこれもアグレッシヴでメタルらしいパッション溢れるものですが、特にサビのコーラスがキャッチーな響きを持つM2「Top Of The Mountain」、鋭さを増したリフとタイトなドラムで疾走し、ひと際メロディアスなギターフレーズとサビが登場するM7「Motorheadin'」が特に好き。

 

あと国内盤ボーナストラックであるM11「Rock This Town」は、ノリの良いリフがヘッドバンギングを誘発し、"Rock, rock, rock this town!"のコーラスが熱い、文句なしのカッコよさを誇るアップテンポメタルの秀曲に仕上がっています。何でこれを本編に入れなかったんでしょうね。

 

 

個人的に本作は

"男臭くてむさ苦しくてエネルギッシュな、古き良きスピードメタルの王道"

という感じです。

 


RAVEN "Top Of The Mountain" (Official Lyric Video)

 


RAVEN "Metal City" (Official Video)