メロスピというのは元来ナード臭いというか、全体的にオシャレではないヘヴィメタルというジャンルの中でも、ひと際イケてないイメージが強いと思います(もちろんバンドによりけりですけどね)
そんなジャンルでも、自ら"ナードメタル"を標榜する頼もしき(？)メロスピバンドが、イタリアのSKELETOON。前作『They Never Say Die』において、HELLOWEEN直系の明朗なメロスピを高い次元で表現して見せた彼らが、早くも次の作品を出してくれました。
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前作から大きな路線変更はなく、本作もまたキャッチー極まりない良質なメロスピをプレイ。メロスピというジャンルを愛する人、前作を気に入った人であれば、大きく期待を外されるということはないでしょう。新世代メロスピバンドにおいて、信頼と実績のあるバンドになりつつありそう。
ただ本作は"多元宇宙を股に掛ける戦隊ヒーロー"というさらにナード臭くなった近未来的なコンセプトを下敷きにしているためか、よりアレンジが近代的になった印象があるかも。GLORYHAMMERやVICTORIUSに近づいたような感じ？まあそこまで大きく変わったわけではなく、雰囲気レベルの話ですが。
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ブックレットに載っているメンバー写真もどことなくGLORYHAMMER風ですが、上記二組ほど振り切っているわけではないので、「あまりにネタ臭いのはちょっと...」な人はこのバンドが一番ちょうどいいかもしれませんね。
M4「Nemesis」のみ近未来感の強いモダンなミドルチューンになっており面食らいますが(サビはキャッチーなので決して捨て曲ではない)、あとは大筋は変わらず。実に親しみやすいメロディーで覆われたスピードチューンを主軸にした充実の仕上がり。
ド頭からお約束のごとく"ヤァァーーーーーッ！！"とハイトーンが飛び出すM2「Brighter Than 1000 Suns」に、前作に引き続きアレッサンドロ・コンティをゲストに迎えた、ポジティヴクサメロ満載のM3「Will You Save Us All?」と、メロスピマナーに則った王道のファストチューンでメロスパーの心をガッチリ掴む。やっぱりヴォーカルのハイトーンは線こそ細いものの、そこまでヘナチョコにならずにスッと通るのがいいですね。
バラードのM6「Cold The Night」を挟んでからの後半に、劇的なメロディーを奏でるツインリードで幕を開ける王道メロスピM7「Follow Me Name」、珍しくクールな雰囲気を漂わせたアップテンポメタルM8「Wake Up The Fire」、STRATOVARIUSを思わせる哀愁を漂わせたイントロから始まるも、サビではやっぱりポップなクサメロで弾けるM9「Il Tramonto Delle Ere」と、集中力が削がれることのない良曲をしっかり並べている構成も好ポイント。
クライマックスのM10「Arcana Opera」、M11「The Nerdmetal Superheroes」(スゲエ曲名/笑)という二連発も実に質の高いメロスピナンバー。ただM10は8分を超える大作でややダレを感じるかも。中盤のストリングスパート自体は美麗でイイ感じですが。
M11は文句なしのポジティヴな飛翔感溢れるメロスピです！どこか切なさを秘めたBメロから煌めくサビに突入する様が良い！
その後国内盤ボートラが収録されるのですが、なんとANGRAの超名曲「Carry On」のカバー。クソ高い音域が求められる高難度の楽曲ですが、意外にもソツなく歌いこなしており驚かされます。ハイトーンをしっかり出せるヴォーカルがいれば様になりますね。演奏もなかなか健闘しています。
ラストはTOBIAS SAMMET's AVANTASIAの「The Seven Angels」のカバー。たくさんのゲストシンガーを迎えて壮大かつ豪勢にプレイしていますが、さすがにアルバム一枚聴き終えた後に12分の大作は胃もたれがします(笑)
個人的に本作は
"前作直系の作風にちょっぴりモダンな要素も交えた、メロディックスピードメタルの王道良作。明るいクサメロ好きならマスト"
という感じです。
SKELETOON - Nemesis (Official Video)
