- エクストリームメタルの歴史を変えた名作
- 負の感情を表現した泣き叫ぶ激烈ヴォーカル
- ブルータルさと泣きを両立したリフの洪水
スウェーデンのデスラッシュバンド・At The Gatesの代表作『Slaughter Of The Soul』が発表されて、本日で25周年なのだとか。
【25th Anniversary】北欧メロディック・デスメタルの超名盤、AT THE GATES の4thアルバム『Slaughter of the Soul』は、今から25年前の1995年11月14日にリリースされました(日本盤は11月21日)。https://t.co/HzdyuvdBIV pic.twitter.com/GBJhrCfaqz
— HMV_Metal (@HMV_Metal) November 13, 2020
メロデスやデスラッシュ、ひいてはエクストリームメタルの歴史の中での最重要作品であり、本作をきっかけにメタルコアというジャンルが一大勢力を持つまでに至った、偉大なアルバムです。
このツイートを見て、改めてCDラックから取り出して聴いてみましたが、いや~~やっぱりすごいですね。この音の緊迫感、攻撃性、そして哀しみに彩られた慟哭の旋律!これほどの完成度を持つエクストリーム・アルバムが25年も前に存在していたとは...。
ヘヴィさをあまり持たず、SLAYERのようなシャープで鋭利なギターリフが全編を覆い、ツインギターによる哀しくメロディアスなソロ、トーマス・リンドバーグによる怒りや悲しみといった負の感情を見事に乗せたデスヴォイス、これらが奇跡のバランスで融合を果たし、無慈悲な疾走感でリスナーに襲い掛かる様は圧倒的。
ノイジーなSEから急に熾烈なリフで幕を開けるM1「Blinded By Fear」から息をつかせぬノンストップの哀愁の連続。この曲が最高の名曲だと言われることが多いですが、個人的にはその他の曲も負けず劣らずの名曲ぞろいだと思っています。
"Go!"の叫びから爆発したように疾走するM2「Slaughter Of The Soul」に、タイトル通りの冷徹なリフで押しまくるM3「Cold」と鼓膜をリフで切り刻みながら、叙情性もたっぷりで胸を締め続けられる感覚。たまらん...。
中盤にアコースティックによるインストのM5「Into The Dead Sky」が鎮座しており、これがまた極上の哀愁を描くメロディーに満ちているんですよね。先ほどまでの激烈過激な音から、フッと美しい世界に投げ出される不思議な感覚が味わえる。
そしてそれが終わった後の後半戦の展開がまた容赦のない凄まじい物。休める瞬間は無く、嘆きと絶望に満ちたエクストリームな疾走に次ぐ疾走!M8「Unto Others」の悲痛なエモーションに満ちた叫びに、轟音リフと絡む美しいアコギ、クライマックスに半音上がってさらに泣きを増強する展開だけでめまいがしますが、そこからさらにM9「Nausea」というサビでの絶叫が耳について離れないキラーチューンの畳みかけ...!
25年も前の作品でありますが、今聴いても古色を帯びることのない熾烈さと繊細さが融合した泣きの決定盤ですね。改めて本作の持つ激情を存分に味わえました。なかなか他のバンドでは聴けませんよね、この感情の激流は。
個人的に本作は
"哀しみの感情とブルータルな疾走感の完璧に融合させた歴史的悲痛作"
という感じです。