ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

WINGS OF DESTINY 『Ballads』

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  • STARTOVARIUSフォロワーの透明感あるメロディックメタル
  • スピードチューンの完成度はなかなか高い
  • ゆっくりした展開が多く全体的なテンションはやや低め

 

中米はコスタリカ出身のメロディックスピードメタルバンドの5thフルアルバム。

 

コスタリカなんて個人的にはレッド吉田の5文字ネタでしか馴染みがないんですが(笑)、こういう辺境国にも、こういったメタルバンドが存在するもんなんですね。まあインターネットで全世界がつながる時代、いてもなんらおかしくはないですが。

 

2013年の終わりに前身バンドがスタートしたという、かなり若いバンドだそうですが、そんなキャリアでもうフルアルバム5枚とはかなりの多作バンドですね。何年もダンマリを決め込んでいる大御所バンドには見習ってほしいもんです。

 

ラテンアメリカの出身となると、どうしても陽気で暑苦しく、良くも悪くも個性的で濃厚な楽曲をプレイするバンドというイメージがついてしまうのですが、彼らはそういった熱くて濃ゆい曲はプレイしていない。

 

キラキラしたキーボードとヘヴィさは押し出さないギター、スッキリしたメロディーを歌い上げるヴォーカル、そしてSTRATOVARIUSの「Forever」と「Speed Of Light」をカバーしているという事実からわかる通り、STRATOVARIUSフォロワーと言える北欧メロディックメタルのフォーマットを踏襲しています。

 

もっともCD付属のヴォーカルのアンソンへのインタビューでは「例えオレ達が彼ら(STRATOVARIUS)からの影響を受けていたとしても、それが中心に在るとは考えていないな」と答えていますが。ホントにィ?

 

楽曲の出来自体はそこそこ高く、辺境国出身バンドの垢抜けなさはほとんど感じられない。オープニングのM1「Live Again」から早速ポジティヴなクサさを秘めたメロディーで疾走する"THE メロスピ"。ラストでキーボードがクラシカルな旋律を絡めてくるあたりも、この手のクサメタル感があって良き。

 

少しギターリフの重厚感を増したアップテンポのM2「Under The Moon」、スピード感とドライブ感溢れるギターソロがカッコいいメロスピM5「Here We Go」などが特に印象に残りやすい楽曲ですね。個人的にはもう少し全体的に歌メロのキャッチーさがほしいところですが、非常に耳には馴染みやすい。

 

ただ前述のM6「Forever」からの後半は、メロスピとしてのスピード感がほぼ消滅し、バラードのように落ち着いた展開が大半を占めるようになってしまうのは、ちょっとマイナス。もちろん北欧っぽいスッキリとしたメロディーのおかげで聴きやすいミディアムナンバーに仕上がってはいますが、さすがにヘヴィメタルとしてのテンションの高さに欠けてしまうな。アルバムの収録時間はさほど長くないのに、ダレのような感覚を覚えてしまう。

 

ただM10「Siren's Song」は終盤の女性ヴォーカルとクワイアにより、ドラマチックに彩られた力作バラードとなっていて、本作のバラードの中では一番印象が良い。その直後にSTRATOVARIUSの名曲であるM11「Speed Of Light」が来てくれるので、聴き終える頃の印象が良くなる構成は良いですね(カバー曲であるボートラに助けられる構成というのもどうかとは思うけど)

 

STRATOVARIUSのようにスピードチューンも歌モノも抜群にキャッチーに仕上げるメロディーセンスは少々物足りず、全体的にゆったりした瞬間が多いため、必ずしも満足感のある作品とは言い難かったです。しかしM1やM5のようなキメの一曲は生み出せているし、北欧メタルらしい(北欧のバンドじゃないけど)世界観はしっかりと描けているので、これからの曲作りには期待をかけられるバンドと言えるかも。

 

 

個人的に本作は

"全体的にややパンチ不足だが、「キレイなメタル」としてのツボはしっかり抑えた一作"

という感じです。

 


Wings of Destiny - "Live Again" feat. Ivan Giannini & Marco Garau (official lyric video)

 


Wings of Destiny - "Under the Moon" Feat. Mike Vescera (official video)