ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Dark Tranquillity 『Moment』

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  • 新体制になって初のスタジオアルバム
  • 北欧由来のメランコリックなギターが活躍
  • 地味ながらも味わい深さはアリ

 

2016年頃からライヴ活動には参加しなくなり、とうとう今年に入ってバンドを脱退したギタリストのニクラス・スンディンに代わり、新たに元ARCH ENEMYのクリストファー・アモットと、ヨハン・レインホルツ(こっちはよく知らない)が加入したDark Tranquillity。そんな新体制となった彼らの前作より4年ぶりとなるニューアルバム。

 

もう結成31年目という大ベテランであり、キャリアと知名度で言えばメロディックデスメタルというジャンルを代表するビッグネームといっても過言ではないのかもしれません......が、今の彼らの音楽性は必ずしも「メロデスド真ん中」とは言い切れないもの。

 

前作『Atoma』を聴いたときの感覚と本作はだいたい似ている感じですね。北欧出身ならではのメロディーセンスを活かした、冷徹な哀愁を放つギターが楽曲を引っ張っていくものの、ゴシックメタルのような仄暗さ、耽美的要素も強く前に出てきているスタンス。

 

クリーンヴォイスのパートもかなり多めに配されており、そこでの怪しく、淡々と進んでいく様は、正直ちょっとタルく感じる瞬間も多い。そこだけ聴けばとてもエクストリームメタルと言う名のシロモノとは思えません。

 

特に中盤から後半にかけて、そういったクリーンの要素が強い楽曲が続くので、「やや地味なアルバム」という印象が強くなってしまっているような。

 

まあかつてLOUD PARK 15で彼らのライヴを観たときも、比較的前の方で観ていたのにも関わらず、後ろからの圧はさほどでもなかった記憶があるので(5年も前のことだから詳細な記憶はありませんが...)、今の彼らにエクストリーム要素を強く望むのはお門違いなのかも。

 

とはいえ完全にメロデスを離れオルタナティヴメタルのスタイルに移行した(それはそれで悪くはないが)IN FLAMESとは異なり、あくまで楽曲の基本的な骨格はメロディックデスメタルなのは頼もしいところ。ギターリフには常に北欧由来の哀愁・情緒が含みながらザクザク刻まれるので、気持ちよく哀愁に浸ることができる。もちろんヴォーカル裏のリードフレーズもメロウに泣いています。

 

オープニングのM1「Phantom Days」は叙情性の強いギターが終始鳴り響き、ギターソロも鮮やかに、かつメランコリック泣いているナンバーで、M3「Identical To None」はさらにそこに疾走感を加味した、本作中特に突進力のある曲。こういった味わい深い北欧メロデス路線を決して外さないのは嬉しい。

 

ただアグレッシヴなメロデス曲においても、リスナーのテンションを上げるというよりは、哀愁微旋律に酔わす方に重きが置かれているように感じるので、やっぱりデスメタルとしてはちょっと地味かな(笑) 前作で聴けたようなメロウな楽曲が好きな人であれば、期待を外されることはないかと。

 

なお本作はボーナスディスクがついており、「Silence As A Force」「Time In Relativity」という二曲が収録されているのですが、これが本作中特に叙情性の強いギターリフでアップテンポに展開する良質なメロデスとなっており、なんでこれをディスク分けなんかしたのか。普通に本編に入れて一枚にまとめてくれよ。CD入れ替えんのメンドイぞ。

 

 

個人的に本作は

"前作の流れを踏襲した、淡々としたゴシック風味の強い叙情メロデス。暴れさせるより浸らせるタイプ"

という感じです。

 


DARK TRANQUILLITY - Phantom Days (OFFICIAL VIDEO)