- アグレッシヴなパワーメタルにブレはなし
- ヘヴィなギターと突進力で攻め潰す
- 初期Blind Guardianほどのキラーチューンは無し
パワーメタル/エピックメタルというジャンルを代表する存在であるBlind Guardianに影響を受けたと思しき、スウェーデン出身のメロディックパワーメタルバンドの前作より6年ぶりのフルアルバム。
僕は2006年発表の『When Eden Burns』のみ聴いたことがありますが、そのときは「初期Blind Guardianほどの劇的さはないけど、パワーがあっていい感じだなあ」と感じました。そしてその印象は本作においても変化なし。
ハンズィ・キアシュそっくりな雄々しいヴォーカルが存在感をバリバリ放ちつつ、少しモダンなヘヴィさを内包したギターリフも目立つ。時に高音コーラスやデスヴォイスのように歪んだ叫びを入れながら、パワフルにガシガシと突進していく様はパワーメタルとして実に頼もしい。
スピード感を落とした楽曲が中盤から後半に目立つのですが、そういった楽曲でも力入りまくりのヴォーカルとヘヴィなギターのおかげで、攻撃的な印象をまったく損ねることがない。とにかくヘヴィメタルにパワー、馬力を求めている人にとってはどこを切っても美味しい音に満ちているアルバムでしょう。
ただ普通にメロディックではあるのですが、そこまで強烈に胸に響くメロディー...それこそ初期Blind Guardianのようなキャッチーさや劇的な展開というのはやっぱり無く、「なかなか良さげなパワーメタル」の域を出ていないというのが正直なところ。聴き終えたあとの感想は「力強くてすごい」というコウペンちゃんのようなシンプルなものにならざるを得ず、全体的にもう少しフックあるヴォーカルメロディーを聴かせてほしかったですね。
とりあえずオープニングを飾るM1「The Curse Unbound」とM2「Scars」の流れが(キメとなるキラーチューンというほどではないけど)一番ドラマチックで良かったかな。
こんな感じで僕個人の満足度としては、ものすごく高いというわけではないのですが、ヘヴィメタルにパワーを求めている人、「女々しくてヤワな泣きには用はねえ!」という人にとっては、充分に頭の振りがいのある充実のアルバムなのでは。
ちなみに国内盤ボーナストラックはそんなM2のアコースティックバージョン。切ないアコギの音色とのマッチングが意外と良く、彼らの楽曲が単にアグレッシヴなだけで終わるものではないことは証明してくれています。
個人的に本作は
"パワーメタルとしてのアグレッシヴさは文句なし。メロディアスさとドラマチックさは、まあそれなり"
という感じです。
Persuader - "The Curse Unbound" - Lyric Video