ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

NOCTURNAL BLOODLUST 『The Wasteland』

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  • 今度こそ本当の心機一転
  • 新規メンバーが楽曲づくりに関わり、よりモダンなサウンド
  • ヴィジュアル系らしいダイナミックさはかなり薄め

 

レーベルスタッフとの金銭トラブルというイヤ~な理由で、メインコンポーザーの脱退という窮地に立たされるものの、新たなギタリストを加入させ復活。しかし新体制となった初ライヴ直前という最悪のタイミングで、その新ギタリストがマリファナで逮捕され、ライヴの予定がすべてキャンセルになるという、普通であれば心が根本から折れてしまってもおかしくない事態に襲われたNOCTURNAL BLOODLUST。

 

しかし残されたメンバーはバンド活動を諦めることなく新ギタリストを探し出す。既にバンドマンとしてキャリアがあり、古くからの付き合いであるという、Yu-taroさんとValtzさんという二人のギタリストを新規メンバーに加え、今度こそ本当の心機一転といった形で配信限定シングルを3曲発表する形で、再度復活を果たしました。

 

これほどまでのイバラの道を歩み、ここに来て完全復活を遂げた彼らの不屈の魂には本当に頭が下がる思いですね。ただでさえ今は新型コロナウイルスの影響で、ミュージシャンには厳しい時期だというのに。よくぞここまで立ち直ってくれたもんです。

 

本作は新ギタリストの2人がガッツリと作曲に携わったミニアルバム。前回4人体制になったときに発表したミニアルバム『UNLEASH』は、「生まれ変わったんだ!恐れるものは何も無いぜ!やりたい放題やろうぜ!」と開放的な気持ちになったのかなんなのか、今までの彼らとは似ても似つかぬ、ちょっと擁護するのが厳しい迷走作に仕上がっていました(まあそれでもコレにくらべれば全然マシだと思いますが)

 

しかし前述の配信シングルでは、悪い意味での拡散志向は鳴りを潜め、よりモダンでストロングなリフが主体となった叙情メタルコアを披露。ファンに対して復活を高らかに宣言した訳ですが、本作においてもそのスタイルを徹底しています。

 

新たな2人のギタリストが、モダンヘヴィなリフとメロウなリードを奏でるストレートなM2「FACELESS」、そこにさらに疾走感とわかりやすい歌メロを追加したようなM3「Propaganda」、Djentっぽい小刻みなリフと以前までのチャラ目なメロディーラインが加わるM4「REM」、本作中特にクリーンによる歌唱に比重が置かれたM5「Left behind」、感傷に訴えかけるヴォーカルとリードギターのソロが響くバラードナンバーM6「Feel myself alive」と、一本化したスタイルの中でも各曲の個性は充分に光っています。

 

ただヘヴィでシリアスなスタイルに戻ったとはいえ、やはりコンポーザーが変わっているため当然ですが、かつての彼らの音とはだいぶ趣が異なっていますね。有り体に言えばヴィジュアル系っぽさがほとんど消滅している。

 

かつての彼らはデスコアというエクストリームなサウンドに、ヴィジュアル系らしい毒々しさや華を備えたキャッチーなメロディーを取り込んでおり、鈍重なリフとのコンビネーションにて個性を発揮していました。

 

しかし本作ではそんなヴィジュアル風味のキャッチーさがかなり希薄になり、まっとうなメタルコア路線に舵を切っています。Djentの素養も感じさせる無機質なヘヴィリフが全編を支配し、メロディアスさもそこまでド派手に目立つことはない。ヴィジュアル系デスコアから、モダンメタルコアへと転換したような感じ。

 

ヴィジュアル系の要素が気に入らないヘヴィ志向の人にとっては、「こういう甘さのないヘヴィ・ラウドな楽曲を待ってた!」と好意的に捉えると思います。その分ヴィジュアル系らしい毒気のあるキャッチーさを憎からず思っていた人(僕もどっちかっていうとそっち寄り)からすれば、「個性や面白みが無くなった」と思われても仕方ないかもしれません。

 

かつてほどのダイナミックさが無いのは残念ではあるものの、まあとりあえず迷走していたようにしか思えなかった前作から一転、ヘヴィでシリアス、攻撃的なスタイルに復帰してくれたことは喜ぶべきですね。楽曲の質自体は文句なしに高いので、このラインナップには期待を寄せていきたいです。

 

あとついでにもう一つ、せっかくイントロを入れるんなら、もっと期待感を煽る面白みのあるものにしてほしかった(笑)

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィでモダンなメタルコアへと転換した復活作。ヴィジュアル系ならではの要素は希薄化し、良くも悪くも真っ当なメタルへ"

という感じです。

 


NOCTURNAL BLOODLUST - "FACELESS" (MUSIC VIDEO)