- 国内メタルシーン代表格のメジャーデビュー作
- 演奏と楽曲のクオリティーはこの時点で完成形
- 今ほどのスケール感は無いが熱量むき出しの力強さは最高峰
2021年、改めまして今後とも当ブログをよろしくお願いします。
新年一発目のCD感想はGALNERYUS。そういえば記念すべきメジャーデビュー作に一切触れていなかったので、今更になって取り上げてみます。
もともとヴィジュアル系バンドに所属していたギタリストのSYUさんが、本物のメタルバンドを作るために、同人音楽シーンで活動していたYAMA-Bさんをヴォーカリストに迎えて制作した1stフルアルバム。本作以前にシングルやEPを出していたようですが、フルアルバムである本作はいきなりのメジャーレーベルからリリースです。
この時点ではまだバンドというよりは、SYUさんとYAMA-Bさんによるプロジェクトとしての側面が強かったのか、この2人以外のメンバーはブックレットに写真が載っておらず、リードトラックのMVにも出演していません。
そんなSYUさんと並ぶバンドの看板といえるYAMA-Bさんですが、ご存知の通り現在はバンドから脱退。自身のプロジェクトであるGUNBRIDGEや、昨年最新作を出したタイのMelodius Deiteで活動しています。
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そのMelodius Deiteの感想文でも触れたのですが、個人的に彼のヴォーカルは正直言うと好きなタイプとは言い難く、彼が在籍していた時のオリジナルアルバムを聴く頻度は決して高くはないです。
それでもたまに「あ、今日は1st聴きたいな」という気分になってしまうのは、昔の音源には昔の音源なりの味というか、魅力みたいなものがあるんでしょうね。現在の彼らが天高く飛びゆくようなスケールがあるとしたら、かつての彼らは地を這うような力強さがある。基本的に「GALNERYUSは小野さん加入後派」な自分でも、この暑苦しいむき出しの熱量は薄れてしまっている点に関しては認めざるを得ないところ。
この頃からSYUさんのクサメロのセンス、他を圧倒せんとする超絶テク、速弾きだけでない強烈な泣きのプレイは完成の域に達しており、その次々飛び出す鮮やかなプレイは、18年経った今聴いても全く古色を帯びることがない。
劇的なイントロから続くM2「Struggle for the freedom flag」は現在でもプレイされる彼らの代表曲。クサく劇的なメロディーと泣きとテクニックを両立したギター、ROYAL HUNTやSTRATOVARIUSあたりに通じる様式美を携えたキーボードがド派手に舞う。どこか硬派で土臭い雰囲気もあり、それが楽曲の力強さを強めている感じです。
同じく哀愁を盛り込んだ劇的疾走チューンであるM5「Rebel flag」、M11「United flag」の素晴らしさはもちろんのこと、ポップと言えるほどに歌がキャッチーなM4「In the delight」、彼らの様式センスが全開になったM7「Holding the broken wings」、ミドルチューンで淡々と進むが、途中で楽器隊の演奏家魂に火がついたように超絶ソロが展開されるM9「Final resolution」など、どんなタイプの楽曲でも聴きどころを設けさせている。
ただ「今聴いても古色を帯びることはない」とは書いたものの、やっぱり今のGALNERYUSのアルバムに耳が慣れてしまっているためでしょうか。これほど見事な演奏を繰り出しているにも関わらず、どこか垢抜けない印象も抱いてしまうのは事実... もちろんB級などという言葉とは一切無縁ではあるのですが。
ただシリアスな様式美色は現在よりも濃い形で表現されているし、熱さに関して言えば彼らの全アルバムの中でも一際強いので、本作が最高傑作であるという人もいるかもしれませんね。J-METALに旋風を巻き起こすのも納得の熱量を秘めた名盤です。
まあやっぱり僕としては『RESURRECTION』で聴けたような圧倒的高揚感をこのバンドには求めちゃいますけど。
個人的に本作は
"圧倒的なテクニックと力強い熱量、さらに劇的な哀愁のメロディーも持ち合わせた、新世代ジャパニーズ・メタルの幕開けに相応しい力作"
という感じです。
GALNERYUS - Struggle for the freedom flag［OFFICIAL MUSIC VIDEO］
