ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9mm Parabellum Bullet 『Dawning』

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  • 本分である歌謡風味のダサさが大幅UP!
  • 疾走メタル、インスト、ミドルチューンと幅広い
  • 1st~4thの集大成ともいえる作風

 

歌謡オルタナティヴロックバンド・9mm Parabellum Bulletの、前作『Movement』より2年ぶりとなる5thフルアルバム。

 

前作は感想文にも書いた通り、「新しい光」「Endless Game」といった飛び抜けたキラーチューンがあるものの、アルバム全体としては、彼らに期待される歌謡曲的なダサさがかなり減退しており、従来の作品と比べるとやや満足度に劣る一枚でした。

 

しかし、本作はその反動があったのか、3rd以降のバンドサウンドのまとまりの良さは維持しつつ、お得意の昭和歌謡から影響を受けたような、芳醇で垢抜けないメロディーがかなり存在感を増しています。

 

1stで提示したカオティックで激しい演奏、2ndで花開いた歌謡クサメロのセンス、そして3rd~4thの整合感をうまい具合に融合させることに成功。そういう意味では、この時点での彼らの集大成といってもいい充実の作品に仕上がっています。

 

若干気になる点としては、滝さんのギターの歪み方が高音主体のシャリシャリした音になっていて、そのためかサウンド全体がやや軽めに感じることでしょうか。まあ彼らにはそこまで重厚さ、ヘヴィさを期待している訳ではないので、大きなマイナスになることではありませんが。派手なギターソロに、ハチャメチャでカオスな攻撃性はしっかり健在ですからね。

 

M1「The Lightning」から早速特徴的な歪みのギターがメロディアスに唸りを上げ、キャッチー極まりないメロディーが歌い上げられる、9mmらしいダイナミックなロックナンバー。ストレートでクールさを増したサビとシンガロングで勢いづくM2「Grasshopper」、そして和の空気感を感じさせるギターと、アグレッシヴに暴れまわるドラムが強烈なインパクトを放ち、ヴォーカルメロディーもダサく、そしてメチャクチャキャッチーなキラーチューンM3「Answer And Answer」へと続く。この前半の勢いがアルバムの印象を底上げしてくれていますね。

 

彼らの真骨頂である歌謡メロのセンスが爆発したM5「シベリアンバード ~涙の渡り鳥~」、M6「Scarlet Shoes」に、まるで西部劇のBGMかと思わせるメロが特徴のインストM8「Wild West Mustang」、スカのリズムに乗る小気味よいギター、弾むベース、そして恐ろしくダサい(もちろん誉め言葉)メロディーで彩るM10「ハートに火をつけて」など楽曲はどれも粒ぞろい。

 

ラストを飾るM13「The Silence」は、本作最速のドラムにスラッシーなギターリフが絡む、随一のパワーを誇るスピードメタルナンバー。どこか焦燥感、絶望感を感じさせる哀しいメロディーも素晴らしく、エクストリームなリフとシャウトが織りなすクライマックスもカッコいい。

 

ストレートなロックから、フック満載のダサいメロディー、強烈に印象に残るインストに、一撃必殺の疾走メタルと、これまでの彼らが生み出してきた楽曲の魅力をバランス良く配合した、「これぞ9mm!」な名盤。7thアルバム『BABEL』が出るまで、本作が彼らの最高傑作だと思ってました。

 

 

個人的に本作は

"歌謡曲直系のダサいメロディーを大幅増量し、従来の9mmらしさも高いレベルで安定させた名盤"

という感じです。

 


9mm Parabellum Bullet - Answer And Answer

 


9mm Parabellum Bullet - ハートに火をつけて