ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BULLET FOR MY VALENTINE 『Fever』

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前作、前々作と良作をリリースし、新世代メタルバンドの旗手としての地位を確立したBULLET FOR MY VALENTINEの3rdフルアルバム。

 

本作は全米チャート3位、全英で5位という高いセールスを記録した作品で、実際にその売り上げに見合ったクオリティーを有していると言えます。

 

前作『Scream Aim Fire』の時点で、既に1stのメタルコアスタイルから脱却し、よりメロディアスで正統的なエモメタル路線に踏み出していましたが、本作はさらにその方向性を押し進めています。シャウト以上に耳を引くクリーンヴォイス、キャッチーな歌メロ、活きの良いメタリックなサウンドを軸に力強く進んでいく。

 

従来通りメロディーの質感自体はエモのそれで、基本線には何ら変化はありませんが、そのキャッチーさ、フックがさらに一段階上のレベルになっているように感じられるのがポイント。全ての曲において、ブリティッシュらしい憂いを秘めたメロディーが堪能できます。もともと歌とギターのメロディアスさが武器のバンドでしたが、ここにきてさらに磨きをかけてきました。

 

もちろんよりメロディーが豊かになったからといって、メタルとしてのカッコよさはしっかり担保されているのが強いですね。リフの鋭さやスラッシーな勢いはだいぶ落ちたようには感じますが、ここぞというところで飛び出すシャウトに、よりドラマチックに、流麗に駆け抜けるギターソロは相変わらずの存在感。

 

まずなんと言ってもタイトル曲のM2「Fever」、それに続くM3「The Last Fight」という本作を代表するキラーチューンの2連発が強力。ライヴで盛り上がりそうなシンガロングを適度に絡めて、非常にキャッチーで聴きやすく、クールなメロディーでガシガシと進む。幅広いロックリスナーに受けそうな普遍性を持ちながら、メロディックヘヴィメタルとして成立している、本作を象徴する名曲です。

 

ロディアスでドラマチックなギターソロが目立ったM5「Pleasure And Pain」やM9「Dignity」、出自であるメタルコアの要素が残った疾走曲のM10「Begging For Mercy」、歌メロに磨きをかけたことにより格段に染み入りやすくなったバラードのM4「A Place Where You Belong」にM8「Bittersweet Memories」と、どの楽曲もビルドアップされています。

 

バラード以外はどの曲も似たようなタイプであり、M2, M3に匹敵するインパクトを持つ曲は後半に無いのが弱点といえば弱点かな(しいて言えばM10か)。まあそれは方向性が絞れていて、楽曲のクオリティーが安定している証拠ですね。

 

LINKIN PARKGood Charlotteといった大物バンドを手掛けたドン・ギルモアをプロデューサーに迎えたのも影響しているのか、全体を通して前作からさらに大衆性を高めた、普遍的なロックの魅力が打ち出されている感じ。高い次元で非常によくまとまっています。シンプルに良いアルバム。

 

 

個人的に本作は

"アグレッションを少し弱めて、普遍的なメロディックメタルとしての魅力を大幅に高めた会心作"

という感じです。

 


Bullet For My Valentine - Your Betrayal

 


Bullet For My Valentine - The Last Fight