- 母国の先輩・SERENITY直系の良質パワーメタル
- 大仰に盛り上がるシンフォニックサウンドが劇的
- バンドの強みを活かしたキーとなるキラーチューンが強い
今週は仕事が忙しく残業続きで、さらに『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にハマってしまい音楽を聴く時間が減ってしまったため、ブログ更新が思うように進みませんでした...
気を取り直して新譜の感想文を書くことにしましょう。今日取り上げるのは、オーストリアのシンフォニック/メロディックパワーメタルバンド・DRAGONYの4thフルアルバム。もうこのジャケットの時点で買いですね(笑)
TwitterのディスクユニオンかHMVのツイートで今回初めて知ったバンドで、2007年にオーストリアのウィーンで結成し、2011年にアルバムデビューを飾った比較的若めのバンドらしいです。
オーストリアのシンフォニックパワーメタルというと、真っ先に挙がるのはSERENITYだと思いますが、過去にSERENITYがヘッドライナーとなったライヴでサポートアクトを務め、今作収録曲M6「A.E.I.O.U」には、そのSERENITYのヴォーカルのゲオルグ・ノイハウザーが参加しているなど、ある程度のパイプがあるようです。
ブックレットに載っているメンバーの写真は、とてもじゃないけどヘヴィメタルミュージシャンとは思えぬお上品さで、さらに音楽の都として名高いウィーン出身ということもあってか、音楽自体もパワーメタルとして芯は通っていますが、非常に優雅で気品あるタイプのもの。麗しきメロディックメタルとしてのクオリティーはなかなか高い。
Rhapsody Of Fireほどシンフォニックサウンドに傾倒しておらず、あくまで骨格はメロディックパワーメタル。そこにシンフォサウンドのみならず、曲によってはキラキラチェンバロ、モダンなシンセも導入している。やっぱり基本的な音楽性は母国の先輩SERENITYに通じていますね。
イントロの美しく青きドナウから続くM2「Gods Of War」は、なかなか骨太なギターリフから力強く疾走し、キャッチーで勇壮なヴォーカルメロディーでスケールの大きなサビに繋がっていく、典型的かつ高品質なパワーメタル。出だしで意識を持っていくナイスなオープニング。
勇壮なメインメロディーを奏でるシンフォニックサウンドが目立ったM3「Love You To Death」に、哀愁に満ちたクサいキーボードとギターソロ、大仰に盛り上がるサビを据えたM4「Magic」という強力な楽曲を連投。
先述したゲオルグ参加のM6は、中盤の山場たり得る名曲で、Aメロでいったんおとなしくなるのがちょっと歯がゆいものの、クワイアで怒涛の如く駆け抜けるサビのパワーは、かなりのドラマチックさを誇ります。ラスト半音上がるサビもお約束ですがニクい!これはかなりの名曲なのでは?
その後のタイトルトラックM7「Viribus Unitis」も、仰々しく盛り立てるシンフォニックサウンドが耳を引き、RPGゲームを彷彿させるメロディーをクワイアで荘厳に歌い上げる様が美しい一曲。クライマックスの盛り上がり方がかなり劇的でこれまたイイ!
ここまでの前半から中盤に良曲・佳曲がズラっと並んでいるためか、後半のパンチが少し弱くなってしまっているのはマイナスかな(つまらん捨て曲は無い)。ラスト付近にM4、M6クラスの楽曲がもう一曲あればさらに良かったかも。
とはいえ、全然知らなかったバンドのアルバムとしては、十分すぎるほどに満足度の高かった良作でした。正直SERENITYの最新作よりとっつきやすくて良い感じかもしれない。
個人的に本作は
"シンフォニックサウンドとクワイアをうまく用い、オーソドックスでありつつドラマチックな、鉄板の欧州パワーメタル"
という感じです。
DRAGONY - Gods of War (Official Video) | Napalm Records
DRAGONY - Legends Never Die (Official Video) | Napalm Records