今から10年前の2011年3月23日、この日は僕にとって忘れられない記念すべき日になります。
どういうことかというと、僕が初めてライヴを観た日なんです。
幼稚園の行事か何かで、コンサートホールに連れてってもらったことは何となく記憶していますが、自分のお金でチケットを買い、ライヴハウスというところに足を運んだのはこの日が最初。場所は札幌琴似にあるPENNY LANE 24。BESSIE HALLや先日新しく生まれ変わったKLUB COUNTER ACTIONと並んで、札幌のライヴハウスといえばココ!というくらい有名なハコです。
この日のためにソフトコンタクトレンズデビューし、大通りの地下にあるチケットぴあのカウンターでなけなしの小遣いをはたいてチケットを買い、当日のバスケ部の練習を「コンタクトレンズの調子が合わなくて眼科に行く」と大嘘をついてサボり(顧問のK先生すいません。もう時効とさせてください)、地下鉄に乗って琴似へ。
モッシュピットに備えて早い段階でTシャツ1枚の恰好になったのが災いし、雪の降りしきる中Tシャツ姿で震えながら待たされるという地獄を見るハメに。あれはなかなかの試練でした。
そしてフロアに入ってみると、眼前にドラムセットが鎮座したステージがお出迎え。フロア前方の真ん中あたりに陣取って、期待に胸を膨らませながら開演を待っていました。
いざライヴがスタートすると、後方から今まで感じたことのないほどの圧迫感。さらにはクラウドサーファーが頭上を通り過ぎて、首が思いっきり折れ曲がる。爆音を浴びて耳がおかしくなりそうで、そしてメチャクチャに楽しかった。
忘れっぽい僕としてはかなり鮮明に覚えている記憶。そんな記念すべき日から、今日でちょうど10年!あの日以来いろんなライヴに行ったな~。
部活の練習試合終わりに自転車を爆速で漕いで、AIR JAM 2011と同日に行われたLast Allianceのライヴを観ました。KLUB COUNTER ACTIONは非常に小さいハコだったので、ANZAIさんがすぐ目の前にいたんですよね。
ROTTENGRAFTTYのレコ発で、対バンのEGG BRAINのジョーイさんが僕のすぐ横にいる状態で、そっちをチラチラ気にしながらNOISEMAKERのライヴを観たこともありました。トリのROTTENGRAFFTYのライヴではNOBUYAさんがステージから降りてきて、一緒に向かい合ってヘッドバンギングしたんですよ。
POWER STOCK 2011ではlocofrank、マキシマム ザ ホルモン、dustboxと好きなバンドがそろい踏みで、メチャクチャ興奮したもんです。しかし時間的な都合でトリのBRAHMANを観ないで帰るという、今となっては考えられない失態を犯しました(もし過去に戻って人生やり直せるならこの日に戻りたい)
今はたくさんのライヴを経験したがために、かつてのような何もかもが新鮮で、ドキドキワクワクの連続というような体験はできないでしょうね。少し寂しく感じてしまいますね...
その10年前の今日に観たライヴというのが、本日取り上げる国産メロディックハードコアバンド・dustboxの6thフルアルバム『starbow』のレコ発ツアーだったのです。僕の最初のライヴ体験が本作の楽曲群だったんですね(正確には対バンのROTTENGRAFFTYの「IMPOSSIBLE IZ NOTHING」が最初ですが)
とまあ前置きが長くなりましたが、ライヴ体験10周年のこの日に合わせて、本作についてツラツラ文章を書き綴ってみようと思ったわけであります。
2006年発表の『13 Brilliant Leaves』から年一のペースでアルバムを発表してきた彼ら。本作は少し期間を開けて(といっても2年ほどですが)リリースした2010年作。
それまでの彼らの作品は、SUGAさんの優れた哀愁のメロディーセンスを活かした叙情性抜群の歌メロ、それをクリアに歌い上げるハイトーンヴォーカル、3ピースとしては異様なほど密度の濃い演奏と、国産パンクシーンにおいてもトップクラスといえる完成度を誇っていました。
そんな彼らのことですから、もちろんこの作品においても、全体を通して極めてハイレベルな、極上メロコアのオンパレードであることは一切の揺るぎがない。
ただ過去三作と比較すると、やや歌メロの叙情性、哀愁が薄れて、良くも悪くも普通のメロコアに落ち着いた印象があるのは否めない所ですね。過去作にあったハードコア/メタル要素の濃いナンバーが無く、全編メロディックチューンでまとめられているのもその印象に拍車をかけている感じ。
やはりdustboxといえば、類型的なメロコアの枠に収まらない美メロが何よりも大きな武器。それが多少とはいえ削がれてしまっているのは、どうしても聴き劣りしてしまう要因になってしまいます。メロディーの豊潤さと引き換えに、何かがプラスアルファとして機能しているというわけでもないので、嫌な言い方をしてしまうと単に魅力が減ってしまったともいえるアルバム。
...と、ちょっとマイナスなことを書いてしまいましたが、誤解のないように念押ししますと、前述の通りクオリティーの低い作品ということでは決してありません。むしろトータルとしてのまとまりの良さ、各曲のクオリティーの安定感という点では、従来作の中でもトップクラスといってもいい出来です。
ほとんどの曲でREIJIさんのド迫力のドラミングで爆走し、メロコアらしく歪みを効かせたギターリフは非常に気持ちよく、その土台となるベースラインも心地よくブンブン唸る。3ピースメロコアとして理想的な音圧が実現してます。
イントロから続くM2「Break Through」は、これぞ爆走メロコアの真骨頂!とも言うべき強烈な破壊力を持つキラーチューンだし、M4「You'll Never Be All Alone」、M5「Thrill」、M7「Runaway Train」あたりは、実にdustboxらしい憂いを秘めたメロディーに酔える軽快なメロコア。特に哀しくメロディーが響くM8「Hiding Place」は、SUGAさんのクリアなヴォーカルと相まって、とても美しいミディアムナンバーに仕上がっています。
メロディーの質、個性は薄くなった感があるも、捨て曲は一切存在せず、長いキャリアに裏打ちされたハイクオリティーなメロコアの宝庫とも言うべきアルバム。良くも悪くも純度100%、不純物の無い"THE メロコア"なので、メロコアキッズならマストで押さえておくべき1枚かも。
個人的に本作は
"ダスト特有の美メロは少し控えめ。その分純度を増した、オーソドックス疾走メロディック"
という感じです。