2021年にもなってコレ!?とか思わんでください(笑)
先日日記でも書きましたが、最近になって部屋の掃除と模様替えを行いましてですね。CDの整理とかもガッツリやってみたんですよ。
もう聴かなくなって久しいアルバムや、聴いたけどさほど心が動かなかったものをまとめてディスクユニオンに預けて、多少なりともスッキリはしたのです。それでもまだまだ量は多いんですけどね。
その作業を通して「ああ~~!昔買ったけど最近聴けてなかったヤツだ!これ良かったよな~~!」と改めて目に留まった旧譜が結構な数にのぼりました。新譜を買うにつれて奥へ奥へと追い込まれてしまったかわいそうなヤツらなのです。
部屋に余裕が生まれたことによって、ゆったりと音楽に浸ることがしやすくなった今現在、せっかくだから長い間積んだままになっていた過去作も積極的に聴いて、なんだったらこのブログに感想文でも書いてみよっかな~と思い立ったわけです。
その第一弾として、知る人ぞ知るクサメタルの名盤をここで取り上げます。イタリアが生んだプログレッシヴ/メロディックスピードメタルバンド・ATHENAの3rdフルアルバムです。
イタリアのヘヴィメタルといえば、世界にも名を轟かすLACUNA COILが有名ですが(僕はあまり馴染みがないのですが...)、日本のメロディックメタルファンが「イタリアン・メタル」という言葉を聞いて、真っ先に想起するのはやはりクサメタルスタイルだと思うんですよ。そうですよね?違います?そうでしょ?
キング・オブ・シンフォニックメタルであるRhapsody Of Fireに、ヴォーカルが出戻りしたSECRET SPHERE、現代のメタルシーンで最もクサいとされるDerdian、聖闘士星矢やドラゴンボールなどの日本のアニメのテーマソングをカバーしまくるHIGHLORD、そしてクサメタルというジャンルをこれ以上ないほどわかりやすく体現したSKYLARKなどですね。
今回取り上げるATHENAも、そんなクサメタル一派の一つとして数えられるバンド。
元々はイタリアの至宝であるファビオ・リオーネをヴォーカリストに迎え、プログレッシヴメタルの要素の強いパワーメタルをプレイしていたんだとか(僕は未聴)
しかしファビオは2ndアルバムのみ参加して脱退。後続としてフランチェスコ・ネレッティという人物(今はDEEP PURPLEのカバーバンドやってるらしい)を加えて、何を思ったか、これまでの作品で強かったプログレッシヴメタル的要素を減退させて、一気にメロディックスピードメタル路線に舵を切ったのが本作。
以前のアルバムは国内盤が出ていたようですが、本作は輸入盤のみ。まず何よりも音質がかなり悪めで、かなり隙間の多い印象のスカスカ加減になっている。必ずしもヘヴィで攻撃的な音を求められるジャンルではないとはいえ、いかにも辺境の国のB級バンドですってな感じのサウンドに。演奏自体はしっかりしているんですが。
そしてファビオの後任というキツいポジションを任せられたフランチェスコは、まさにクサメタル的といえるヘナチョコハイトーン型。か細く、もうちょっと力んだらひっくり返ってしまいそうなハイトーンシャウトは、これまた音質に輪をかけてB級の空気を演出しています。歌えていないわけではないし、アルバムの雰囲気にはマッチしていると思うので個人的には嫌いじゃないけどね(笑)
しかしタイトルトラックのM1「Twilight Of Days」を聴いた瞬間、そんなショボい要素はどこ吹く風。一気に彼らの放つ劇的なメロディーの前に心を奪われてしまうのです。
そう、このM1こそクサメタル史に名を残す超名曲として、クサメタラーから愛され続ける至高のメロスピナンバー。イントロのツインリードから、Aメロ、Bメロ、サビ、ギターソロ、ラストに至るまですべてが劇メロに彩られていてクサすぎる!!必死に振り絞るようなフルパワーのヴォーカルが細くも熱い!!
強烈な泣きに満ちたサビ!ツインリードで大仰に盛り上げるツインギターソロ!
その名曲M1にも匹敵するであろうキラーチューンがM6「Falling Ghost」。どこまでも高く伸びゆく飛翔系メロスピのサビも素晴らしいのですが、キャッチーなキーボードと共に、ハイトーンの限界へ挑戦しようとするラストのヴォーカルパフォーマンスが圧巻!!
この2曲が圧倒的な名曲オーラを放っているためか、どうしても他の曲が見劣りしてしまう感があるのですが、キーボードとギターのソロタイムが非常にメロディアスで、サビも文句なしのクサさを誇るM3「The Way To Heaven's Gates」や、ヴァイキングメタルっぽく勇壮に進み行き、突如として疾走するパートのキーボードソロが熱いM4「Hymn」、バスドラ連打の激走でストレートな勢いを見せつつ、サビ終わりではシンフォニックなクサメロで優雅に魅了するM9「Lord Of Evil」など、クサメロ乱舞の名曲・佳曲で、メロディックメタルファンのツボを容赦なく刺激してくれます。ラストのM12「Making The History」もポジティヴなクサさが溢れたサビで疾走する名曲!
中にはM2「Till The End」やM10「Take My Life Away」のように、以前やってたプログレッシヴメタルの面影を残す楽曲も配されていますが、個人的には疾走曲でここまでクサメロスピを突き通す作風にしたのなら、潔く100%パワーメタルスタイルにシフトしても良かったんじゃないかとは思うかも。
前述の通り音質のせいでどうもショボいメタルに聴こえてしまうものの、クサメロリスナーの秘部を執拗に撫で回すツインリード、ときにシンフォニックな味付けをしながら、確かなクサさを彩ってくれるキーボード、限界ギリギリになりながら、魂の叫びで熱量を沸点まで持っていくヴォーカルと、まさにクサメタルというジャンルに求められる要素を濃縮した楽曲の嵐。
あと今回感想書く際に、The Metal Archivesの彼らのページを見てみたんですが、なんと2019年になって再結成してるではないですか!ヴォーカルは違う人みたいですが、これからアルバム作ったりとかすんのかな?
個人的に本作は
"スカスカな音質というハンデを負いながら、クサメタラーを悶絶死させる超キラーを携えた「THE クサメタル」"
という感じです。