ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Northern19 『FROM HERE TO EVERYWHERE』

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  • 表現力に幅を持たせてレベルアップ
  • ガムシャラ加減は良くも悪くも少し落ち着いた
  • イントロ後のオープニング2曲でK.O.!

 

前回3rdアルバム『SMILE』について書いたため、ノーザンのフルアルバムで触れてないのが2ndだけになりました。それだけ抜けてるのもなんか気持ち悪いので、さっさと取り上げてしまおう。

 

1stアルバムの段階で高クオリティーの哀愁爆走メロコアを提示し、インディーズシーンでスマッシュヒットを飛ばしたNorthern19

 

なまじヒットしたがために、次作へのプレッシャーは少なからずあったと思うんですが、最初に出した作品は注目されたけど、その後は大した楽曲を作れずに尻すぼみ…なんてハイプみたいなことには陥っていません。彼らの実力の高さをしっかりと証明してみせる充実作といっていいでしょう。

 

前作は若さ、青さに任せた勢いが迸り、ストレートに駆け抜ける印象の強い作品でした。本作はその大筋はそのままに、楽曲における表現力が増している。バリエーションが(良くも悪くも)豊かになっています。

 

後発のアルバムでも頻繁にプレイされる、キャッチーなロックンロールタイプのM8「ALIVE」、長編バラードのM10「SLOW」といった曲は前作には無かった要素だし、M7「HOLIDAY OF THE SUMMER VACATION」の郷愁とも呼べるような風趣に富むメロディーは、哀愁爆走一辺倒路線では生まれ得なかったはず。

 

 ただその代償として(そんな大げさなモンでもないけど)、前作にあった「初期衝動」とでも呼べるような、ガムシャラな勢いは全体的にやや減退。サウンドの横幅が広がったと言えば聞こえはいいけど、メロコアというジャンルの音楽においては、勢いを抑えてまで幅を広げることが必ずしも良いこととは言えないだけに、ここは若干評価が分かれやすいかもです。

 

また音質もあまり良好とは言い難いです。前作も良いとは言えなかったのですが、良くないなりにギターの音が割れんばかりにデカく目立ってて、それが迫力として作用してた分、本作の攻撃力は相対的に弱めに感じられる。そんなわけで僕は本作より1stの方が好きかな。

 

とまあ、ちょっとネガティヴなことも感じつつ、上述の通り彼らの楽曲の基本線は大筋ではブレていません。切ないメロディーの質は変わらず良いまま、疾走チューンのカッコよさはさすがとしか言いようがない。

 

特に弾き語りによるイントロM1「THE DEPARTURE」からノンストップで続くM2「HEARTBREAKER」、そこからまたさらに間髪入れずに爆走するM3「TRYOUT」の流れは極上モノ。M2の速弾きギターソロはメタルの息吹を感じさせるほど熱く、サビの爆発力は一級品。M3の叙情性抜群のヴォーカルメロディーが、バカッ速いドラムに乗せられて突き進む様には嫌でもエキサイトさせられる。ド頭からアルバムを代表するキラーチューンが続けざまに投下されるのは、最高の聴きごたえですよ。

 

1分未満の短さの中で怒涛の疾走感とノーザンらしいメロを詰め込んだM5「I'M SORRY」、ポップなのにどこか切ない憂いを帯びたサビの歌メロ、熱く弾き倒されるギターソロが気持ちいいM9「DRAW MY WORLD」、本作中最も哀しさに満ちたエモーショナルなメロが聴けるM12「REMAINING FALL」など、やっぱり彼らの爆走チューンにハズレ無し。

 

少し音楽性に拡散志向を見せ出し、前作で聴かせた哀愁のメロディーセンスにはさらに磨きがかけた充実の一作。キラーチューンの破壊力は前作以上とすら思えますね。

 

 

個人的に本作は

"表現力の幅を広げつつも、得意の疾走感はちゃんと据え置き。疾走キラーの完成度もさらに高めることに成功した一作。

という感じです。

 


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