ウクライナという、個人的にあまりメタルのイメージの湧かない、もっと言うならどういう国かもいまいちピンとこない(スイマセン)辺境国出身の、5人組メロディックスピードメタルバンドの4thフルアルバム。
前作『Absolute Clarity』は国内盤が出ていましたが、本作は今のところ無し。遅れて発表される可能性もありますが、よっぽどボーナストラックに魅力がない限りは特に国内盤/輸入盤のどちらを買うかにあまり拘らないので、待たずにさっさとゲットしました。
音楽性としては、まさにSTRATOVARIUSや初期SONATA ARCTICAが打ち出してきた、北欧風味の哀愁・透明感あふれるサウンドで疾走する、メロディックスピードメタルのそれ。日本人が「北欧メロスピ」と聞いてイメージする音像そのものズバリ、と言ってもいいかもしれません。
STRATOVARIUSのようなネオクラシカル風のメロディーはあまり聴かれないので、どちらかというと初期SONATA ARCTICAの要素の方が強いかな。
そう思わせる最大の要因が、ヴォーカルの声質ですね。聴いてみればわかるんですが、本当にトニー・カッコに似てるんですよ。マジで未聴の人は聴いてみてください。
特にメロスピナンバーであるM3「We Are The Fire」のサビで、ハイトーンを張り上げた時なんかそっくり!初期トニー・カッコの声を100カッコとした時、この曲は90カッコぐらいいってる気がする。
M1「Wings Of The Dreamer」は、早速そんなソナタ節と言ってしまえるような、透き通る音色とハイトーンが冴え渡り、哀愁のあるヴォーカルメロディーで疾走するメロスピ。ラストでテンポがゆったりとなり、大団円感を演出するのもベタですが良いですね。
サビのクールなメロディーによる突進と、中盤の壮麗なキーボードとのコンビネーションが効いたM7「Life Is A Journey」も、前述の二曲に負けない魅力を持ったナイスメロスピ!(間奏の裏で鳴ってる"ポンポンポン"って音は何?) 疾走曲の出来は文句なしと言っていいでしょう!
疾走曲以外の曲も全体的に悪くはない(これはキーボードだけに頼らず、ギターがしっかりメタルらしいリフを刻んでいるからかも)のですが、やっぱりどうしても疾走曲に感じられる高揚感は不足していると言わざるを得ないかな...。アグレッシヴなリフ運びで進むM6「Unbroken Dreams」や、エモーショナルな歌メロが響くバラードのM8「The Only Reason」とか結構良い感じですけど。
せっかく初期SONATA ARCTICAの路線を進んでいるのだし、疾走曲のクオリティーは申し分ないので、それこそ『Ecliptica』みたいに、アルバム全編通して疾走感バリバリの内容にしても良かったんじゃないかなと思いました。そうでなければミドル曲のフックをもう少し強化してほしい。
とはいえ、昔のSONATA ARCTICAに思いを馳せるメロスパーであれば、チェックして損のないアルバムではあります。
個人的に本作は
"初期SONATA ARCTICAの音楽性を受け継ぐメロスピ。疾走曲は非常に魅力的"
という感じです。