ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

POWERWOLF 『Call Of The Wild』

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  • 従来作と何も変わらぬ世界観
  • パワーメタル的な勢いはいつにも増して控えめ
  • タイトルトラックの爆発力は要注目!

 

宗教風のムードとクワイアによる豪華なサウンドコープスペイントを施し、見た目のインパクトも抜群な、ドイツのメロディックパワーメタルバンド・POWERWOLFの最新作。ベストアルバムのリリースも挟んでいますが、フルアルバムとしては前作『The Sacrament Of Sin』以来2年ぶり。

 

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前作は彼ら特有の濃厚で重厚、荘厳な雰囲気をまとった良質のパワーメタルとなっていましたが、本作もその方向性が一切ブレることなく、これまでのPOWERWOLF流メタルを踏襲する形になっています。

 

パワーメタルにありがちなハイトーンタイプではなく、低音主体のヴォーカルワークに、オルガンとクワイアにより宗教風というか、シアトリカルなムードをこれ以上なく強めた演奏、そこに織り交ぜられる耳に残りやすいキャッチーなメロディーと、過去作から何一つ変わらない安定の内容。

 

この神聖なムードというのは、宗教というものにどちらかというとネガティヴなイメージを持ちやすい日本人にとってはとっつきづらくなりそうですが、しっかりと聴ける良質なヘヴィメタルへと昇華されているのは、やはりわかりやすいキャッチーさがどの曲にも配されているからなのかも。全11曲、トータルで40分ほどという長さも、濃密な割に聴き疲れを起こさないように作用しています。

 

ただ本作はスロー〜ミドルテンポの楽曲がアルバム中盤に固まっている構成のため、パワーメタルに疾走感を求めている層(僕もそうです)にとっては、ちょっとインパクトに欠ける印象をもたらしてしまうかな。良くも悪くも勢いに頼らず聴かせるタイプの曲が集中している。

 

荘厳な雰囲気をキープしつつ、ヘッドバンギングを促すノリの良さを持ったM3「Dancing With The Dead」、哀愁に満ちたヴォーカルメロディーとギターソロを持つバラードM5「Alive Or Undead」、どこかトラッド/フォーク的なアレンジを特徴としたM6「Blood For Blood (Faoladh)」など、聴きどころをしっかりと持ったばかりの楽曲に仕上げているのはさすがで、テンションがダウンするようなことはありませんが。

 

しかし、そんなミドル中心の流れが続く後半、待ってましたと言わんばかりに本作随一のキラーチューンM8「Call Of The Wild」が出てくるところが、アルバム構成のうまいところ!イントロのキャッチーなギターの音色から早速リスナーの心を掴み、そのままアップテンポなAメロへと展開、堂々たるヴォーカルと一層の盛り上がりを見せるバッキングで、爆発力を演出するサビが最高にカッコいい。メロディー重視のギターソロも、その後のシンガロングパートもたまらん!文句なしに本作のハイライトとなる名曲!

 

それに続くM9「Sermon Of Sword」も、タイトルトラックに負けず劣らずの勢いを持ち、それでいて耳に残るキャッチーさを残した名曲ですね。分厚いクワイアと共に歌い上げるサビの力強さがイイ!美しく逞しいギターソロの存在もあり、神聖さを保ったまま見事にパワフルなメタルチューンに仕上がっています。

 

その後に続くM10「Undress To Confess」、M11「Reverent Of Rats」の2曲が、クライマックスを彩るにしてはやや普通な印象を抱かせる曲なのは、ちょっとマイナスポイントかな。もちろんつまらない捨て曲などでは決してありませんが、その前のM8〜M9の流れが強烈なだけに。

 

前作と比べると、相対的にややパワフルな印象は控えめに映ってしまいましたが、さすがはパワーメタル大国ドイツのチャートでNo.1を取ったバンドなだけに、楽曲はどれもハイクオリティー。楽曲の方向性は何ら変わっていないので、過去作が気に入っていた人なら同様に楽しめるはず。

 

 

個人的に本作は

"従来作通りのPOWERWOLF流メタルサウンドに変化なし。勢いの減退とクライマックスのトーンダウンだけやや惜しい"

という感じです。

 


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