ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Last Alliance 『UNDERGROUND BLUE』

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  • 疾走感減退、ポップさ増強
  • 明るさの中に滲む切ない哀愁が気持ちいい
  • アルバムを代表するキラーチューンが強い

 

1st『TEARS LIBRARY』にて、早速ジャパニーズ・エモコアの名盤を生み出せることを証明したLast Allianceの、そこから1年半ぶりとなる2ndフルアルバム。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

本作においてもまた、彼らの大きな武器である叙情性あふれるメロディーを主軸とし、良質な楽曲を多く収録している力作になっていますが、前作とはやや趣が異なる。

 

前作は1〜2分程度で終わるショートチューンも目立つ、エモと同時にパンキッシュな印象も強い作風でしたが、本作はそんな勢いをだいぶ削ぎ落とし、歌を聴かせる叙情日本語エモ路線をかなり強化しています。

 

何しろ収録された14曲中、メロコア的爆走を見せる楽曲はM12「TRUTH IN MY ARMS」のみ。残りは多少テンションの振れ幅はあれど、ミドルテンポの曲が大多数を占めるアルバムになっているのです。

 

Last Allianceといえば哀愁度抜群のメロディーと、スピーディーな楽曲の高揚感の折衷具合が魅力のバンド。その魅力のうちの一つである疾走感がほぼほぼ失われてしまった本作は、彼らのアルバム群の中で見るとやや地味な位置にあると言えるかもしれません。14曲60分という収録時間の長さも相まって、少しダレを覚えてしまうのも確か。

 

しかしそうは言っても、そこはさすがにLast Alliance。やはりそのメロディーの良さには非凡なものがあり、スピード面の起伏が小さくても、しっかりと聴かせ通せる良質なメロディーが溢れています。聴いていて気持ちが晴れ渡るような、ポップな楽曲の応酬がとっても心地よく響きます。

 

全体的に明るさ重視と思われる本作のメロディーの質ですが、前身バンドのS☆CREATERSとBERMUDAの時点で、『哀愁メロコア』というド直球なタイトルのスプリットを出していただけに(笑)、メロディーの哀愁という要素には一際のこだわりがあるのでしょう。決してただ能天気に明るいだけでない、湿った叙情性を常に湛えている。

 

M1「South Wind Knows」は本作のポップで切なく爽やか、という本作の方向性をまさに象徴しているし、M3「ソリチュード」やM9「GREENS SUNLIGHT」のサビなどは、これぞポップなラスアラの真骨頂と言いたくなる珠玉のメロディー、Aメロの時点から非常にキャッチーな歌で展開するM5「One Hot Second」、アコギの美しい調べと強烈に泣いた歌メロの相乗効果で哀愁バリバリのM10「置き去りエース」など、メロディー方面に妥協は一切なし。

 

そして本作を代表するキラーチューンが、アップテンポでハード寄りのロックチューンでありながら、マイナーキーのキャッチーさが実に強烈なM11「ラッキー・ルチアーノに射たれる前に」、前述の唯一の疾走曲であり、シンガロングとサビの熱く切ないメロがカッコいいM12、そしてラストを締め括るにふさわしい劇的なメロで彩るM14「Letter」ですね。特にM14は彼らのアップテンポなエモコアチューンの中でもトップクラスの出来だと思うのです。美しく悲しいサビの入りは鳥肌モノですよ。

 

1stに比べると疾走感と悲哀さが薄れ、明るめのミドルテンポエモが大半を占める作風となり、バンドサウンドの勢いや泣きに泣いた激情を求めると、若干肩透かしを喰らうかもしれないアルバム。しかし前述したようにメロディーの質自体は変わらず高く、目立ったキラーチューンも内包しているため、アルバムの完成度はやはり並じゃない。

 

パンク的な派手さは無くとも、バンドの強みをしっかりと発揮できる味わい深いアルバムと言えるかも。ポップで美しいメロが聴きたいならばぜひ。

 

何故かは分かりませんが本作はサブスク配信されてないっぽいので(少なくともSpotifyにはなかった)、聴きたかったらみんなCD買おうね(笑)

 

 

個人的に本作は

"疾走感はほぼ消失するも叙情性抜群のメロディーで聴きごたえを生み出す、歌メロ重視のポップエモコア"

という感じです。