9月の間、毎週末渋谷CYCLONEにて行われる、NOCTURNAL BLOODLUSTの対バンイベント・6DAYS OF CHAOSに行ってきました。僕が参加したのは4日目となり、対バンはHOTVOXとSerenity In Murderの日。
今年また力作を発表してくれたSerenity In Murderですが、新ヴォーカルを加えてからはまだこの日までライヴをやっていなかったらしく、バンドの好みという意味でも、新体制のお披露目に立ち会うという意味でも、6日間のうちこの日がベストだなと。
当日は早めに渋谷に着き、改装のため売り場面積が半分になり人も少なく、すっかり寂しくなってしまっているタワーレコードの洋楽フロア、ディスクユニオンを物色したあと、よくわからん萌えキャラとコラボして居心地が悪くなった(笑)ウェンディーズでバーガーセットを食し、頃合いを見計らって会場へ。
程近いGARRETではTHOUSAND EYESのライヴが行われていたようで、そちらにも興味は惹かれましたが、まあ彼らのライヴはまた観られる機会があるので、今回はノクブラに注力!
普段は通路が狭く、フロアに人がたくさんいるとステージを正面から観ることも難しいサイクロンですが、今回は人数制限のため余裕があり、特に観るのに支障はきたしませんでした。足元に番号が貼っており整理番号順に並んで観る形式で、自分はフロア中央より少し前くらいだったかな。
HOTVOX
本日唯一、一切の予備知識がなかったバンドです。
音楽性としてはラップコア、ヘヴィミクスチャーと呼べるもので、モダンなヘヴィリフとバキバキのベースで主導し、ヴォーカルがラップを繰り出しながら、フロアを縦ノリで揺らす。
メンバーの出立ちもガチガチに衣装を決め込むようなものではなく、ストリート系のラフな感じで、山嵐とかBACK DROP BOMBとか、ミクスチャー系のバンドが人気を博していた頃はこういうバンドがたくさんいたのかな〜などと想像しながら観ていました。世に出るのがあと20年くらい早かったらもっとシーンで活躍できていたかもしれない。
当然メロディアスさだったりキャッチーさだったりとは無縁で、家でCD聴くタイプのバンドではないんですが、ライヴで観る分にはかなりテンションが上がる。ドラムのリズムがタイトで(最後の方で若干トラブってましたが)疾走パートからズンズンとしたリズム落ちパートまで、非常に心地よく、かつ攻撃的に展開されるのがライヴ映えポイント。
個人的には予想以上に楽しめましたけど、会場のメインの客層であるV系好きの女性陣には絶対ウケなさそうなバンドだと思うんですが(笑)、実際どう映ったんでしょうかね。結構手が上がっていたので悪い印象はなかったと思いますけど。
Serenity In Muder
本日のお目当てであるシンフォニックメロデスバンド。以前ライヴを観た時は、Within The RuinsとERRAの日本ツアーで観た時のはずなのでもう6年前か。あの日が初サイクロンだった気がする。
新作の流れ通り「Anthem」からのスタート。音響はあまり良いとは言えず、僕が上手側に寄っていたために、Ryujiさんのギターがなかなか聴こえづらい。さらに言うと全体的に音がゴチャつき気味で、同期音源であるシンフォニックサウンドが埋もれてしまっているために、曲の判別がつきにくい...
どの楽曲も抜群にメロディアスなんですが、この音響ではその良さが完璧に伝わるものではなかったのが惜しいところでしたね。
それでもやはり時折切り込むメロディアスなリードギターは素晴らしいものがあり、「A Torch Of Avengers」「The Titans」の狂おしく悲しい美旋律には惚れ惚れしますね。特に前者のギターソロは大好きなので感動モノ。
そして本日が初ライヴとなったAyumuさんですが、パフォーマンスは凶悪なデスメタルらしさを発揮するもので(テンプレとも言えるが)、歌のクオリティー自体も楽曲の完成度を壊さないものをきっちり提示できていたと思います。これまた音のバランスのせいか、やや聴こえにくい瞬間が多かったのはありますが。
ただMCの煽りになると一転して女性らしさ全開の可愛らしい声になるのは「ギャップがあって良い」と捉えるか、「デスメタルらしい緊張感が削がれる」と捉えるかは微妙なところかもしれませんね...。親しみやすさがあって悪かないとは思いますが。
あとベースのYu-riさんのルックスが、ノクブラを差し置いて本日一番ヴィジュアル系していました(笑) カッコいいっちゃカッコいいけど、やっぱちょっと浮くな...
NOCTURNAL BLOODLUST
ラストは本日のメインとなるノクブラ。幕が上がると後光に照らされたメンバーが現れ、お立ち台にたったヴォーカルの尋さんが、シンフォニックなSEに合わせ指揮者のような振りで登場。
最初は現メンバーの楽曲ではなく、過去作からの「Malice Against」でスタート。ゴテゴテのヴィジュアル系ルックスだった楽曲を、今のカジュアルな彼らがやるのは何となく面白い違和感がある。
本日の3アクトの中では、明らかにサウンドのヘヴィさ、タイトさ、安定感はトップクラスで、今月毎週のようにライヴをやり続けてきた経験が活きているのかもしれない。ヴォーカルの狂気的な高音シャウトは、マジで耳がキンキンして痛くなりかけるレベル。
リスタート後の新曲で一番好きな「Life is Once」が聴けなかったものの、ストレートな疾走チューン「PROPAGANDA」、跳ねるリズムにややチャラ目な要素をドッキングした「REM」でフロアを狂騒の渦に巻き込む。バンギャの人たちは皆ここで頭振らなきゃいつ振るんだと言わんばかりに、長い髪をバッサバサ乱す。幸いお客さんどうしの間隔を開けているので、僕の顔面にバシバシ当たるということはありませんでした(笑)
ただメンバーのルックス、特に新加入のギタリストのYu-taroさんとValtzさんにはヴィジュアル系の要素はカケラも無く、パフォーマンスもノーマルなヘヴィ系バンド、ラストに演奏された最新作の「THE ONE」は完全なメタルコアで、毒々しいデスコアの要素は皆無のため、今のノクブラを果たしてバンギャの人たちは心底気に入っているのかはちょっと疑問。
僕としては変に型にハマることなく、フラットに音楽ができるようになると思うので、今のノクブラを肯定していきたいのですが(デスコアよりメタルコアの方が好きだし)、やはり真っ白な衣装でド派手に動くCazuquiさんがいなくなった影響で、良くも悪くも見栄えは普通になったしなぁ。 バンギャの人にとっては「もっと舞ってちょうだい!」という欲求があるかもしれません(?)
3組合わせて2時間半弱という短い演奏時間だったので(トリのアンコールもなし)、各バンドのライヴを堪能するという意味では、ボリューム的には若干物足りなかったかなあと。まあそのおかげで身体的な疲れはさほどでもありませんでしたが。
ただどのバンドもタイプが違うサウンドながら、ライヴで魅せることのできるパフォーマンス、楽曲の良さは十分に示しており、充実の3マンだったのではないかと思います。声は出せずともエクストリームな音を狭小なライヴハウスで聴けて満足です!