ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Sable Hills 『EMBERS』

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東京で結成された若手メタルコアバンドの2019年発表の1stフルアルバム。以前より名前は耳にしていたものの、音源は聴いてこなかったのですが、先日観たライヴの印象が非常に良く、本作に手を出してみました。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

ヴォーカルのTakuyaさんと、ギタリストのRickさんは実の兄弟なのだとか。前回CD感想を書いたILLUSION FORCEもそうでしたけど、兄弟でバンド活動するってどんな感じなんでしょうかね。僕にも兄がいますけど、「一緒にバンド組もうぜ!」なんて口が裂けても言えないぞ(笑)

 

バイオグラフィーによれば"若者にはメタルを、年長者にはメタルコアを証明するサウンド"というのがテーマになっているらしく、音楽的にはメタルコアなんですが、日本で人気を博すタイプのモダンなヘヴィさ、Djent風味を取り入れたサウンドではなく、正統的なメロディックメタルらしさも多く含まれているもの。

 

ライヴを観て「良いバンドだな」と感じていたのである意味予想通りではありますが、これは強力盤ですね。正統派のメロディックメタルコアがなかなかウケない日本の音楽シーンにおいて、よくぞここまでのアルバムを作ってくれたなと。

 

ヘヴィさは充分、スピード感もバッチリあって、ヴォーカルの咆哮は迫力満点、ブレイクダウンも用いながら、何と言ってもメロディックリードギターによる叙情的な旋律の嵐。これが大きいんですよ。

 

インタビューで語っていたところによると、メンバー自身は00年代のメタルコアムーブメント(KILLSWITCH ENGAGEやAS I LAY DYINGが頭角を現していた時期)に間に合う世代だったが、10年代に入り、モダンなアプローチやデジタルサウンドが流行りだしたため、あえて00年代のサウンドに逆行することで、モダンヘヴィが当たり前になった世代にもインパクトを残そうとしたらしいです。そして、この強力な楽曲群を聴く限り、その狙いは良い方向に作用していると思います。

 

ちょいちょいクリーンヴォーカルも出てきて、クリアな歌を聴かせる場面もあり、それもなかなか良い味出してはいるんですが、やはり本作の最大の聴き所はギターかな。メタルコアらしい骨太リフと、ドラマチックに舞うリードギターを見事に共存させたギタープレイはかなり魅力的。

 

もちろん近代的なヘヴィさを押し出したサウンドもカッコいいんですよ。でもやはり僕が「メタルコア」と聞くと、こういう正統的なメタルの影響を受けたメロディアスなサウンドこそだと思ってしまうのです。こういう感覚はどんどん古くなっていくんだろうなぁ...。それこそ彼らのライヴを観た日、27歳だと言ったら驚かれたもんなぁ...。まだまだ気だけは若いつもりだったけど、もうアラサーなんだよな...ってそんな事はどうでもいい。

 

イントロから続くM2「EMBERS」はそんな本作の方向性を象徴する名曲。ずっしりとしたヘヴィリフが支配的ながらメロディアスなフレーズも聴け、リードギターと共に疾走するサビはかなり劇的でキャッチー!さらにラスサビでは半音上がってクライマックスを彩る!初っ端のこの曲でメロディックメタルコア好きはK.O.でしょう。

 

同様にリードギターがメロディアスに嘶き、性急な疾走感に乗るシンガロングがメチャクチャカッコいいM2「RECAPTURE」、クリーンによるコーラスがよりキャッチーな色を出しつつ、メタルコアらしいブレイクダウンも迫力満点なM3「NO LOVE LOST」と、攻撃性とキャッチーさを兼ね備えた楽曲がバリバリ飛び出してきて、捨て曲は一切なし。

 

正統派メタルにも通じるリフワークと、キャッチーな旋律、叫び散らしながら時に低音の極悪デスヴォイスを、時にクリーンヴォイスによるメロウな歌を聴かせるヴォーカル、いかにキャッチーなメロディーを取り入れようと、決して丸くならないヘヴィな攻撃性......こういった要素から、今は亡きHER NAME IN BLOODを彷彿とする瞬間もあり(箇所によってはTakuyaさんのヴォーカルが「Ikepyさんっぽいな」と感じたり。M10「NOT FALLING」とか特に)、あのサウンドを愛した身からすると一層頼もしく聴こえてしまうんですよね。ついでに言うとヴォーカル同士のルックスも同系統だし(笑)

 

"若者にはメタルを、年長者にはメタルコアを証明するサウンド"という文句どおりのアルバムで、どれだけメタルコアサウンドでヘヴィに仕立てようとも、根底にあるのは「カッコいいヘヴィメタル」。ハーネームがいない今、Graupelと共に今最も期待値の高いメタルコアバンドかも。

 

まだ正規メンバーは3人で、ライヴはサポートを入れてやっているようですが、一刻も早くバンド編成を固めて(ご時世的に難しいかもしれませんが)日本のメタルシーンを引っ張って行ってほしいですね。

 

 

個人的に本作は

"メロディアスかつパワフルなギターを武器に、伝統とモダンを絶妙なバランスでブレンドしたメタルコア"

という感じです。

 


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