ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

MARCO GARAU'S MAGIC OPERA 『The Golden Pentacle』

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メタルオペラプロジェクトといえば、真っ先に思い浮かぶTOBIAS SAMMET's AVANTASIAを筆頭に、ティモ・トルキやマグナス・カールソンなど、ちょいちょいアルバムを発表しているのを見かけます。

 

今回アルバム感想として取り上げる、MARCO GARAU'S MAGIC OPERAも、そんなメタルオペラプロジェクトの一派と言えるでしょう。本作がデビューアルバムになるとのこと。

 

プロジェクトの中心人物であるマルコ・ガラウは、日本にも来日経験があり、一部の愛好家からカルト的人気を集めているクサメタルバンド・Derdianのキーボーディストでありソングライター。

 

他メンバーはベースとドラムは同じくDerdianのメンバーで(マルコ曰く本当は別の人選を予定していたけど、新型コロナウイルスの流行により予定を変更せざるを得なくなり、身内からの人選になったそう)、ヴォーカルはWINGS OF DESTINYのアントン・ダルーサ、ギタリストはShadowStrikeのマット・クライスとSEVEN THORNS(このバンドは知らない)のガブリエル・タクセンというラインナップ。

 

あまり豪華というわけではありませんが(すいません)、マニアの筋には知られているメンツを集めた感じでしょうか。

 

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さて、そんなメンバーが集いし本作、メロディックスピードメタルバンドから集めた人選ということで、当然ながら音楽性もメロスピなんですが、やはり中心人物として楽曲制作に携わる人がDerdianのソングライターな訳ですから、そのメロディーの質は皆さんご想像の通りです。

 

そう、めっちゃクサいです(笑) Derdian時代から数多くのクッサ〜いフレーズを生み出してきたかと思うのですが、よくもまあこんな臭いの立ち込めるメロディーを量産し続けることができるもんだなぁと。

 

どこかクラシカルと言えそうな、ヨーロピアンテイストの優雅さに加え、とにかくやりすぎなまでの哀愁のクサクサメロディーラインをキーボードとヴォーカルに注入。本当に全曲にわたってクサいフレーズのオンパレードという出来で、クサメロマニアは泣いて喜びそうな感じ。

 

そうなるとDerdianとどう違うんだ、という話になってきそうですが、このプロジェクトはキーボーディストが中心ということで、かなりシンフォニック風味のキーボードの音色が目立ちまくる。ヴォーカル以外のメロディーはほぼ全てこのキーボードが担っていると言ってもいいくらいです。

 

しかしその代償というべきか、ヘヴィメタルの花形であるギターの存在感がメチャクチャ薄い。ギターソロはあるにはあるもそんなに多くないし(普通のメタルバンドだったらギターがやるであろうリードをキーボードが代行しているパートがかなり多い)、リフに至っては全くと言っていいほど印象に残らない...。ギターリフが目立たないというのはメロスピバンドあるあるだとは思うものの、ここまで聴き取りにくくて良いものなのか。M6「The Secret Of The Sea」とかは結構頑張ってますが。

 

M3「Never-ending Pain」やM11「Until The End Of Time」などでは、デスヴォイスっぽいシャウトと共に、リズムが落ちるパートがあるのですが、ギターリフが全然響いてこない音作りのせいで迫力は皆無。これじゃ頭を振ろうにも振れんよ。

 

まあマルコとしては「ヘッドバンギングでメタルヘッズを興奮させる」のではなく、「アルバムのコンセプトを劇的なメロディーで味合わせる」というのが狙いなのだろうと思います。誤解を恐れない言い方をすればヘヴィメタルというよりは鑑賞音楽に近いかも。

 

国内盤付属のインタビューによると、「バンドで活動しているとどうしても妥協しなくちゃいけない場面があるから、このプロジェクトで思い描いたものを最後まで仕上げられる。理想のDerdianのアルバムの完成形はMAGIC OPERAサウンドだ」みたいなことを語っていますが、それでDerdianよりもメタル的エキサイトに欠けるのはどうなんでしょうね(Derdianも一般的なメタルヘッズを盛り上げるタイプの音楽ではないけど)

 

まあクサいメロディーに関しては一部の隙もないのは間違いないので、「とにかくクサメロで悶絶死したいんだ!窒息させてくれ!」というクサメロマニアの人は聴く価値ありのサウンドです。マニアというほどではない僕は、70分近くに渡るクサメロ洪水はさすがにクドすぎました(笑) M7「The Sacred Legacy」のイントロとか、バラードのM9「The Other Side」とか、特に耳を惹かれる瞬間もあるにはあるんですけど。

 

 

個人的に本作は

"クドさ満載、濃厚すぎるシンフォメロスピ。キーボードがクサメロ連発、ヴォーカルがクサメロ連発、他の楽器の見せ場はあまり無し"

という感じです。

 


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