ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

10/31 Graupel Japan Tour 2021-2022 at 千葉LOOK

f:id:Show_hitorigoto:20211101235536j:plain

Earthists.・Sable HillsとのスプリットEPのリリース、及びそれに伴う3マンツアーでメタルコアシーンの話題を呼んだ、若手メタルコア屈指の実力派バンド・Graupelのツアー初日に馳せ参じました。

 

件の3マンライヴ、どのバンドも個人的に非常に興味深くて是非とも観たかったのですが、東京公演は月曜日のド平日。しかもちょうどその週は自分が関わっている仕事がちょっとした山場を迎える週で、定時退社は絶望的なまでに忙殺されることがあらかじめ予想できていたため、ハナっから行くことは諦めてたんですよね。

 

Earthists.とSable Hillsは先日の下北沢LIVEHOLICで観ているので、Graupelもいずれ観てみたいと思っており、直近で観られるこの日に行くことに決めました。3マンツアーの刺激で脂が乗り、かつツアーの初日ということで、良いステージングが期待されます。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

会場となる千葉LOOKはかなり規模の小さい会場ながら、「千葉のライヴハウスといえばここ!」ってくらいに有名なハコ。壁一面にステッカーが乱雑に貼られ、狭小なスペースと合わせて、いかにもライヴハウスって見た目が素敵。

 

7年くらい前に一回来たっきりのハコで、千葉駅周辺もあまり来る機会がないため行き方なんて覚えておらず、ちょいと迷いながら会場へ到着。一人でソープランドばっかりの風俗街に迷い込んだ時には、得体の知れないプレッシャーに襲われました。

 

Prompts

日韓混合のメタルコアバンドという前知識のみで、音源は聴いたことがなかったバンドです。次に出てくるC-GATEもそうですが、CRYSTAL LAKE主催で開催予定だった(ヴォーカルのRyoさんの体調不良により中止に)TRUE NORTH FESTIVALの出演権をかけたライヴにエントリーしていましたね。

 

モダンかつかなり鈍重なリフを響かせるメタルコアで、ヴォーカルのシャウトも低音グロウルを主軸にかなり気合いが入っている。

 

ステージ中央に設置されたお立ち台に立って、仕切りに手を上げながら煽り、妙にクネクネした動きと猛獣ポーズを繰り出すヴォーカルのインパクトが一番大きく、このパフォーマンスの強さがライヴ映えという点でプラスに働いている感じです。その分ドラムはもうちょっとパワフルに叩いてほしかったかな...?(笑)

 

どこかアンビエントっぽい浮遊感と不穏な同期音源を用いて、スロー〜ミドルテンポによるリズム落ちが大半なので、ライヴでヘッドバンギングをする分には非常に向いている音楽性といえますが、個人的にはもう少し疾走感のある楽曲の方が好みかも。

 

あと韓流スターみたいな見た目のベーシストがたまにクリーンでサビを歌う箇所も散見されましたが、クリーンを使うならもう少しメロディーがキャッチーだとありがたいな。僕好みの哀愁、メロウさみたいなものはほとんど無く、ヘヴィなパートに比べるとやや魅力減なパートになってしまうのが惜しい。

 

ただルックスの良さ、ビジュアルのインパクトはなかなか大きく、ヘヴィな音で思いっきり頭を振り狂いたい人の欲求にはバッチリ応えてくれるアクトでした。

 

 

C-GATE

続いて出てきたのはC-GATE。Promptsと同じくライヴを観るのは初めてのバンドで、こちらもさしたる予習はしてこないままでした。同じくヘヴィなサウンドを武器とするバンドだとは知ってましたが。

 

先ほどのPromptsと比べると、メンバーのルックスも音楽性もハードコアの要素が強くなっており、疾走パートの多さもあってPromptsより好みのサウンドを鳴らしていました。帽子にフードを被って、ギラギラの目つきで中指を立てるヴォーカルのなりが、いかにもイキリ散らしたハードコアキッズって感じで見てて気持ちいいですね。

 

特に良い印象だったのがドラムで、上半身をフルに使って叩きつつ、結構な頻度でバスドラをツタツタ連打して疾走感を生み出すプレイがカッコいい。非常に狭いスペースながらブンブン腕と頭を振り乱して暴れるベーシストのインパクトも良し。

 

高音の女性ヴォーカル(こちらも同期音源)を使用したクリーンパートもありましたが、やはりこちらもメロディーのキャッチーさ、フックは物足りなく、これならデスヴォイスによるヘヴィなパートのみで押し切っても良かったかな...。やはりこの手のモダンなメタルコア/ポストハードコアにとって、クリーンパートはなかなか難しいですね。下手にキャッチーにしすぎるとダサくなっちゃうし。

 

最後になると、先ほどのPromptsのヴォーカルが乱入してきて、凶悪な二重のシャウトを披露。耳をつんざくばかりの凶悪なシャウトの交錯はなかなか刺激的で、良いクライマックスを迎えていたと思います。

 

 

Graupel

最後はメインアクトであるGraupel。荘厳なSEに導かれて颯爽と現れてからのオープニングナンバーは「Departure」。彼らの楽曲においても、特にギターのメロディアスさに比重が置かれた楽曲。

 

音源が非常に良かったから、きっとライヴも良いだろうと期待していましたが...いや、これは良いなんてもんじゃない。とんでもなくカッコいい

 

曲が始まった瞬間に、一気にボルテージが上がりましたね。ヘヴィさという点では彼らが本日(あくまで相対的に)一番軽かったとすら思えるサウンドなのですが、この胸かきむしる叙情性が爆発力を持った演奏とともに疾走した瞬間、たちどころにサウンドの虜になってしまう。気づけば腕を振り乱してヘッドバンギングに興じてしまいました。

 

やはり僕はメタルはメロディーありきで聴きたいリスナーなんだなと、彼らのライヴを観て再認識できたような気がします。体感的なヘヴィさでは上回っているC-GATEやPromptsもライヴバンドとして普通にカッコいいパフォーマンスを見せてくれましたが、やはりこのキャッチーさあふれるメロディーと、迫力を決して損なわない凶悪なサウンドの調和には胸躍る。

 

前二組と比べると、ライヴパフォーマンス自体はそこまで特徴的というほどではなく、モダンメタルコアとしては極めてオーソドックス。しかし演奏力の高さ、ヴォーカルのシャウトの安定感と華のある存在感、これらが一体となってオーディエンスを圧倒していく。動きがキビキビしてて、それでいて荒々しさもあるフロントマンっぷりが素晴らしいの一言。

 

サビで思いっきり宇多田ヒカルさんの楽曲をオマージュしたことで話題を呼んだ「Apathy」もプレイされましたが、肝心のサビ部分はシャウトオンリー(弦楽器隊がクリーンコーラスしてたかもですが、埋もれて聴こえてこなかった)だったので、予想より宇多田度は低かったな。

 

より叙情性を強めた名曲「Towpath」に、スローテンポで激情を演出するサビを持つ「Fade Away」をクライマックスに置いたセットリストも隙なしで、強靭な演奏とエネルギッシュなパフォーマンスと合わせて、怒涛のアクトでしたね。いや〜〜これは文句無しでしょ。間違いなく今の日本のメタルコア界のホープです彼らは。

 

MCではしきりに「全国各地を回って"日本のメタルコアは死んでない"っていうことを証明していく」と正面切って語っており、その姿勢も含めて頼もしいバンドでした。あれだけ叫び倒していたのに、MCになると途端に"THE 好青年"な印象になるのも良かったですね(笑)

 

アンコールはフルアルバムのタイトルトラック「Bereavement」で圧巻の締め。ド頭のキレた爆走っぷりに、中盤のキモであるブレイクダウンで一斉にヘッドバンギング大会開催。ただでさえ高まった熱量を押し上げる形でのフィニッシュを見せてくれました。

 

 

全3組どれもこれもヘヴィさ満載のステージングで、大量の重低音を浴びに浴びた一日になりました。どのバンドもタイト極まりない演奏を聴かせてくれましたが、Graupelの予想以上のライヴ力には感嘆させられました。

 

これだけのパフォーマンスができるバンドなら、もっと多くのオーディエンスの目に触れるべきですねマジで。小さいライヴハウスで少人数の前でしか演らないのはもったいなさすぎる(狭小なハコだからこその良さももちろんありますが)

 

ヘヴィミュージックを愛する日本のリスナーであれば、このバンドのライヴを観ない選択肢は無いと断言できます。これからツアーで色々なところ回るので、未見の人は観た方がいいです絶対に。