ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/26 Northern19 / MOVE ON tour 2021 at 新宿BLAZE

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あっという間に2021年もあと1ヶ月強になってしまった今、次なるライヴへと向かいました。2年連続良質のシングルを発表している実力派メロディックハードコアバンド・Northern19のレコ発ツアーファイナルです。

 

本来であれば去年発表した『YES』に伴うツアーを敢行する予定だったのですが、それらの日程が崩れ、ツアー期間を利用して新たにシングル『GOODBYE CRUEL WORLD』を製作し、今年に入ってやっとこさツアーを回るまでにに至ったとのこと。

 

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今週は気になる新譜の発売が重なっているので、始まる前にタワーレコードで物色しつつ、良い頃合いになってから会場の新宿BLAZEへと向かう。何度通っても歌舞伎町の雰囲気は恐ろしいな...。なるべくここ付近とは無縁の人生を送りたいところなのですが。

 

ご時世もありオールスタンディングではなく、キャパシティを絞った上で座席が用意されている。僕が入った段階ではまだ半分程度の客入りだったので、なるべく真ん中の前の方に座ろうかとも思いましたが、最後方を見てみるとPAのすぐ前、ど真ん中の座席がポッカリ。両隣と前に人がいなく、一段高い場所からPA近くの音響で会場を一望できるナイスな場所でした。良い席をゲットできて何より。

 

なぜかゴリゴリのブラックメタルが開場前SEとして流れる中待機し、時間を少し回ってから暗転。ステージ後方の照明が光り輝き、逆光でバンドメンバーの表情が見えない中、フロアには無数の手が上がっている。一望できる後方だからこそ見られるこの光景は、まさしくライヴ写真そのもの。

 

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こういうやつ

 

「新宿BLAZE!よろしくどうぞ!」と笠原さんが声を張り上げ、「GO」のコーラスを歌い上げる。個人的にこの曲は彼らの楽曲としてはちょっとポップさが強く、もうちょい哀愁を漂わせて欲しく感じるのですが、溌剌とした勢いに満ちていてツカミとしてはバッチリ。

 

そのまま「BELIEVER」「MORATORIUM」と定番のナンバーで会場を揺らす。やはりこの手の疾走曲でモッシュピットが発生しないのは物足りなさがありますが、制限の中でも数多く手が上がり盛り上がっているのが伝わります。

 

最初に注目したのは、やはり初めて観ることになったベースの敦賀壮大さん。ルックスやベースのプレイ自体はいたってスタンダードなバンドマンのそれで、とりわけ個性が強いというほどではない。

 

ただ前任者の井村さんも個性的なプレイヤーというわけではなく、Northern19はノーマルなメロコアスタイルを突き詰めているからこそ魅力的なところがあるので、ステージングの違和感などはなく、普通にハマっているような気がしました。

 

ただヴォーカルとしての存在感や、ステージングの見栄え、パフォーマンスの派手さなど、あらゆる面で笠原さんの方が上回っており(踏んできた場数が違うはずなので当然ではありますが)、良くも悪くもツインヴォーカルではなくバッキングコーラスのイメージが強い感じ。メインボーカルも「MORATORIUM」と「TRUTH」しかなかったし。

 

そんな中笠原さんは汗だくになりながらステージ上を飛び跳ね(敦賀さんはポーカーフェイスで落ち着いた感じなので発汗量に明らかに差があり、ドラムの馬場さんにテカリ具合が全然違うと言われていた)、足を開き重心を低くした状態で速弾きソロを連発。ザクザクした細かなリフワークも至極安定しており、改めてやはり良いギタリストだな〜と思いましたね。

 

もうアラフォーに足を踏み入れている彼ですが、ギタープレイから感じられるパッションはまったく衰えを知らないようで、ギターの充実度はかなりのものでした。「今回のツアーで根本的な部分はGet backできた」と語っており、ライヴができない期間を乗り越え、完全にライヴの感覚を取り戻したのでしょう。

 

MCでもしきりに「ライヴハウスは最高」「ライヴってイイ」「今が一番楽しい」としきりに語っていましたが、本心で言っているのがよくわかるパフォーマンスでした。

 

バンドの屋台骨であり、ノーザンの武器である疾走感を担うドラムの馬場さんは、上半身のアクションこそ控えめながら、さすがとしか言えない高速の叩きっぷりでした。音自体が非常に力強く(スネアの音がデカくてメッチャ気持ちいい)、「MOVE ON」におけるブラストビートはかなりの迫力。昔のインタビューで「ブラストビートを見よう見まねでやってみたらケガした」みたいなことを言ってましたが、手首のスナップを効かせ軽々しく叩いており、「もうこなれたもん」というような感じ。

 

突進力抜群のツービートをひたすら続け、なめらかで力強く、手数の多いフィルインも連発。やはりこういう速いドラムは爽快ですね。これこれ、メロコアドラムはこうでなきゃ!

 

セットリストは新作二枚の楽曲をプレイしつつ(何故か「YES」だけなかったけど)、従来の定番曲を据えた形で、前半の山場はキラーチューン「STILL ALIVE」からの「DRAIN」、そしてノーザン史上最高レベルの哀愁を持つ「RED FLOWER」の流れ。ポップさを少し抑え、強烈に土臭くパワーあふれる楽曲の連打に胸躍る。

 

中盤は新作の「RECALL」「LETTER」「NEVER FORGET, SUMMER '20」など、メロウさ重視の楽曲で、ヒートアップした空気を少し緩める。「NEVER FORGET〜」は青の照明が実に楽曲の雰囲気にマッチしていて良かったんですが、キモであるラストのサビのバックコーラスがいまいち聴こえにくかったのは残念...

 

そして圧巻だったのは後半。「TONIGHT, TONIGHT」の爆発力で一気に熱量を回復させたあと、彼らの新たなスタンダードとなり得る名曲「NOTHING BUT MY HEART」、ポップさと哀愁のバランスが絶妙な「NOW IS FOREVER」、さらにさらに「NEVER ENDING STORY」をやったあと、「心の中で歌ってくれ!」と呼びかけての「STAY YOUTH FOREVER」と、彼らを代表する名曲を惜しげもなく連発。

 

「NOTHING BUT MY HEART」の時点で、「あ〜〜これがクライマックスでもいいな!」と思える楽曲なのですが、そこからさらにこれだけノーザンらしい叙情性抜群の楽曲のオンパレードですからね。名曲をいくつも持つバンドのライヴはすごいと再認識できました。

 

アンセムである「STAY YOUTH FOREVER」はもちろんオーディエンスが声を上げることはできませんでしたが、やはりただ聴いているだけでもシンプルにアガる。やはりこの曲が最後に一番ふさわしいですね。

 

「今日はアンコールはないからね」と事前にMCで言っていた通り、この時点で会場の照明が明るくなっていましたが、アンコールを求めるハンドクラップは鳴り止まない。正直「これだけ名曲の乱打やったんだから、このあと何かやっても蛇足になるよな...」と思っていました。

 

...が、そんな僕の考えに反し、案外すぐにメンバーが戻ってきて「まだ時間あるから、あと一曲だけやります!」とすぐさま準備に取り掛かり、オーラスとして飛び出したのは「CRAVE YOU」。出だしの"There's my heart is beating"のフレーズからタカが外れたかのような爆走を見せる曲で、一段落ついたテンションを一瞬にして爆発させてしまう。いや〜やっぱこの曲の最大瞬間風速は圧巻です。

 

バンドを代表する疾走曲の連発に、タイトにまとまりつつ荒さを失わない演奏を存分に堪能できたアクトでした。結成18年で、メンバーチェンジを経てもなお変わらない熱量が素晴らしかったですね。

 

特に後半、バンドの強みであるメロディアスな疾走曲を畳み掛けるライヴ構成が本当に強力で、あの高揚感は凡百の国産ロックでは再現できまいとすら思ってしまうほど。つくづくモッシュピットが作れない環境がもどかしいですが、そんな考えすら吹き飛ばすほど痛快でした。

 

10年くらい前と比べてメロコアを聴く頻度が落ちてしまったことは否めませんが、これだけのライヴが観れるというのであれば、まだまだ卒業はできませんね。カッコいいもん。