ひとりごと ~Music & Life-Style~

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ICE NINE KILLS 『The Silver Scream 2: Welcome To Horrorwood』

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  • メタルコア meets ホラー映画の第二章
  • 映画的要素を取り入れつつも基本線はモダンメタルコア
  • ヘヴィさとドラマチックさの両立は完璧

 

アメリカ出身のポストハードコア/メタルコアバンド・ICE NINE KILLSの6作目となる最新フルアルバム。

 

このバンド、僕が知ったのは割と最近になってからで、過去作はほとんど聴いていないんですが、前二作の『Every Trick In The Book』『The Silver Scream』はシアトリカルなドラマチックメタルコアとしてかなり気に入っています。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

本作は著名なホラー映画をモチーフに楽曲製作を進めた前作の直接的な続編のようなタイトルとなっており、同様にホラー映画を基にして楽曲のカラー、バンドのヴィジュアルイメージ、ジャケットなどが凝らされています。タイトルからしてホラーウッドですからね。

 

本作のコンセプトとなったホラー映画は、『チャイルド・プレイ』『ヘル・レイザー』『死霊のはらわた』といったホラー映画には造詣のない僕でも知っている超有名作があるものの、『ホステル』『キャビン・フィーバー』などはピンとこなかった。まだまだ知識が足りん。

 

さて、楽曲に関してですが、名作と呼ぶに値する前作の続編となる本作においても、クオリティーの面に手ぬかりはありません。シアトリカルな世界観、ホラー映画的SEを巧みに盛り込みつつ、メロディアスなモダンメタルコアとして非常に高い完成度を有しています。聴くホラー映画と言うべき恐ろしげな雰囲気や、シアトリカルさを失わない中で、音楽性の根本はしっかりとヘヴィなメタルコアになっているのが、彼らの作曲能力の高さの現れ。

 

語りによるイントロを経て、静かなヴォーカルパートからシャウトと共にヘヴィリフで疾走するM2「Welcome To Horrorwood」が、本作の路線を象徴する名曲。実に美しくキャッチーなサビを持ちつつ、緊迫した映画のBGMごときスリリングさを併せ持ち、度迫力のリズム落ちパートも存在。クリーンとシャウトを巧みに使い分けるヴォーカルの実力も充分以上に発揮されています。シネマティック・メタルコアの本領発揮と言うべき素晴らしきオープニング。

 

そのまま勢いと不穏なムードを引き継ぐM3「A Rash Decision」も、勢い過多なのにどこか口ずさめるシンガロング、解き放たれたように爆発する流麗なサビの疾走が非常に気持ちいい名曲。やたら不気味な笑い声とコーラスが生理的嫌悪を呼び起こし、やはりキャッチーかつヘヴィに攻め立てるM4「Assault & Batteries」もこれまた名曲。しっかりヘヴィなリフやホラー的要素のSEを入れているが、サビはこれまで以上にエモーショナルで美しいM5「The Shower Scene(もちろんモチーフは『サイコ』です)と、前半から名曲の連打。

 

その他にもエモ的なクリーンヴォーカルがより引き立つM7「Rainy Day」やM10「The Box」に、CANNIBAL CORPSEのジョージ・"コープスグラインダー"・フィッシャー をゲストヴォーカルに迎え、残虐極まりないグロウルを炸裂させるM9「Take Your Pick」など、曲ごとに若干カラーは違えど、エモーショナルかつエクストリーム、それでいてホラーテイストは一貫して保っています

 

やはり軟弱さとは無縁ながらキャッチーさを決して忘れず、それでいて映画音楽らしいコミカルなエンタメ性を両立しているので、一本調子にならずに聴けるのが、他のモダンメタルコアとは一線を画す強みだということが再認識できますね。

 

しいて言うならラスト付近、前作は「Merry Axe-Mas」に「IT Is The End」という頭ひとつ抜きん出た破壊力抜群のキラーチューンが存在していましたが、それに比べると本作は、最後の方の楽曲が若干弱いかな...と思えるのが残念だったなと。もちろん捨て曲などでは決してないですが。

 

他とは異なる個性をしっかりと生み出し、かつここまでクオリティーの高い楽曲を連発できるこのバンドの凄さが改めて浮き彫りになる快作だなと感じます。Djentやエレクトロこそメタルコアシーンではよく見ますが、こういうドラマチックさを武器とするバンドってなかなか見かけないですからね。これからもこの個性を武器にしていってほしいです。

 

 

個人的に本作は

"前作に引き続き、ホラー映画のスリリングさと、エモーショナルなメタルコアを融合させたシネマティックメタルの傑作"

という感じです。

 


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