ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

TEMPERANCE 『Diamanti』

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  • トリプルヴォーカルによるメロディーのフックがさらに進化
  • 重厚で壮麗なシンフォアレンジがドラマチック
  • 疾走からバラード、ボートラまでキラーチューン連打の強力盤

 

男女混成トリプルヴォーカルという変則的な編成を持つ、イタリア出身のモダン・シンフォニックメタルバンド・TEMPERANCEの、前作『Viridian』より2年弱で届けられたニューアルバム。

 

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前作がかなり良質な出来だったので、本作の完成度もかなり高く磨かれたものになるのではないかと、発売前は結構期待していたのですが、これがまたその期待にしっかりと応えてくれる充実度。去年と今年と、2年続けてここまでのアルバムを制作できるとは。

 

もともとはAMARANTHEフォロワーみたいなエレクトロメタルらしかったようですが、本作における音楽性は、(前作の時点でそうでしたが)もはや完全にシンフォニックメタルと呼んでも差し支えないほど壮大なサウンドに。モダンな色を残しながら、楽曲のスケールをより大きなものへと変貌させるキーボードのアレンジが終始魅力的。

 

そして何より強力なのが、確かな歌唱力を持った3人のヴォーカルが織りなすメロディー。これが本当に素晴らしく、前述のスケール大の演奏と重なることで極上の高揚感を生み出す。ここまで歌メロが秀でたメロディックメタルはなかなかお目にかかれないと思います。

 

M1「Pure Life Unfold」こそ若干インパクトは弱いものの(もちろん捨て曲などではない)、続くM2「Breaking The Rules Of Heavy Metal」は、分厚い合唱を用いたサビがあまりに劇的で、かつ非常にフックに富んだ美メロが繰り出されるキラーチューン。そこから生まれた勢いを殺すことなく、ドラマチックなキラーの連打が止まらない。

 

アルバム中盤のM6「You Only Live Once」は、一際普遍的なキャッチーさが輝くサビに胸を躍らせるキラーで、そこからさらに美しさに舵を取ったM7「I The Loneliness」、シンガロングしやすいフレーズが駆け抜けるM8「Codebreaker」と続く流れは凄まじいの一語に尽きる。

 

そして前作でも魅力的だったバラードは本作でも健在で、後半に差し掛かる頃に繰り出されるM10「Fairy Tales For The Stars」は、彼らの美しいメロディーを充分以上キャッチーに聴かせるセンスが剥き出しになった一曲。バックの煌めくアレンジと加えて心に染み入りますね。

 

そんな余韻を残しながら、メタルとしてのアグレッションを忘れないM11「Let's Get Started」、メロパワばりの疾走感突き進むも、後半はまるでAVANTASIAかのような劇的展開へと持ち込むM12「Follow Me」で締めるクライマックスは圧巻です。本当に最後まで楽曲の粒が揃っています。

 

ボーナストラックであるM13「Set Yourself Free」は、DYNAZTYを彷彿させる王道のメロディックメタルナンバーで、これまた素晴らしい楽曲ではあるのですが、M12の荘厳な雰囲気のまま締めてもらいたかったので、曲順はもうちょいなんとかしてほしかったかも。というか、これだけの完成度の曲をなぜボートラにしてしまうのか。本編でいいじゃん。

 

とまあ、以上にように、モダンな質感を持ちつつも大仰に盛り上がるシンフォニックメタルとして、この上ないほど高い完成度を誇る名盤に仕上がっています。シンフォメタル好きはもとより、キャッチーなメロディックメタルのリスナーなら多くの人がその魅力をわかるであろう普遍性に満ちた楽曲のオンパレード。強力です。

 

 

個人的に本作は

"フックに富むメロディーと壮麗なシンフォニックアレンジを一貫して保ち続ける、サウンドもヴォーカルも秀逸な劇的名作"

という感じです。

 


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