ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

12/19 THOUSAND EYES Presents BLOODY SALVATION Vol.3

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今年最後のライヴに足を運んできました(ホントは12月はあと二本行きたいやつがあったんですが、どちらもチケット倍率がエグいほど高かったのであえなく惨敗...)

 

先日Graupelの熱すぎるライヴを観たばかりながら、すぐに帰ってきた渋谷CYCLONE。慟哭の暴君・THOUSAND EYESが、メタルコアの新星・Sable Hillsを迎えての激アツツーマンです。

 

こんなライヴが日曜日にやるというのなら、当然ながらチェックしなければならないのが日本のメタルファン。かなり早い段階からチケットを取っており、財布の中で若干シワがよってしまった券をようやく使うことになったわけです。

 

タワーレコードとカフェで時間を潰した後、開場時間ちょうどくらいに渋谷CYCLONEへ。オミクロンがどうこう言われている世の中ですが、だいぶ感染の波も落ち着いてきたからか、日曜の渋谷はだいぶごった返していましたね。

 

やはり注目度の高いツーマンだからか、キャパを絞った状態としてはほぼ満員と言っていい状態。僕は早くからチケットを取っていたので整理番号が若く、比較的前方に陣取ることができました。

 

 

Sable Hills

Earthists.とGraupelのスプリットEPが記憶に新しい、新進気鋭の若手メタルコア筆頭格であるSable Hillsが登場。下手側ギタリストのみ短髪でサポートメンバーであることがありありと伝わりましたが(笑)、ロン毛に黒で固めたルックスが硬派なメタルらしさを演出。

 

「正統派のメロディックデスメタルと、そのメロディックデスメタルに強く影響を受けたメタルコアの共演」とMCで語っていたように、彼らの音楽性はモダンさ以上に叙情メロデス風のリフ運び、メロウなコーラス、そして泣きすら帯びたリードギターが強み。そしてその魅力はライヴにおいても大いに活かされていました。

 

とにかくリードギターの旋律が鳴り止まない。メタルコアらしいブレイクダウンを多用しつつも、サビに当たるパートでは、終始メロディックなリードを奏で続けており、この辺はさすがメロデス影響下。ギターのRictさんは服装こそDYING FETUSのタンクでしたが(イカしてる)リードギターとしての才覚はかなりのものがありそう。

 

後半には短いながらもギターソロを挿入して、そのメロディーセンスを遺憾無く発揮。モダンヘヴィなリフももちろん良いですが、やはりメタルギターはこれですよね。

 

ヴォーカルのTakuyaさんは、煽り方、高音シャウトの質感、パフォーマンスなど、どこか元HER NAME IN BLOODのIKEPYさんを彷彿させる(彼に比べればだいぶ華奢ですが)アグレッションで、ステージに勢いを与える...というか、ドラム以外の4人みんな狭いステージ上をガッツリ暴れ回っており、ギターやベースのヘッドが頭に当たったりしないかちょっと心配になるレベル。

 

Messiah」「Crisis」といったMVになった楽曲から、Graupelがカバーした「The Chosen One」など、代表的な楽曲は一通りプレイしましたが、やはり個人的に一番熱くなった瞬間は、前述のギターソロから繋がる「Embers」「Recapture」の二連打でしたね。どの曲も熱き疾走とシンガロング、そしてそこに絡む哀愁のリードギターが素晴らしい!

 

 

THOUSAND EYES

Sable Hillsの熱過ぎるパフォーマンスに早速首が痛くなりかける中、いよいよ本日のメインアクトであるTHOUSAND EYESの登場。彼らのライヴを観るのはKalmahのツアーのサポートアクト以来だから、もう3年くらい観ていないことになる。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

その頃からはドラムのFUMIYAさんが脱退しており、後任にはUNDEAD CORPORATIONにも所属しているYU-TOさんが加入。その体制での彼らのライヴはお初です。

 

現時点での最新作のオープニングに倣い、「DAY OF SALVATION」からスタート。ここ最近はあまり多くのライヴをやっていなかったようですが、そんな事情を一切感じさせないタイトな演奏、ハードコアテイスト漂う魂の叫びは圧巻。僕が耳栓をしていたからか、ギターのハモリが若干聴き取りにくく感じる瞬間があったものの、概ねサウンドに不満はなく、怒りと悲しみに満ちた激情に不足なし。

 

AKIRAさんのやや潰れたようなデス系シンガロングに、このバンド最大の武器と言える泣きに泣いたギターソロ、最初から最後までそれが続く。

 

FUMIYAさんの後任となったYU-TOさんですが、さすがに突進力抜群のドラムパートを務められるだけあって、実力的にはなんの問題もない感じでしたね。要所で超高速のバスドラ連打を使い、加速度的にテンションを高めていく。どことなくV系チックな毒々しさを持ったFUMIYAさんとは異なり、キャップにタンクでワイルドに決めた風貌なので、ステージ上の印象は多少カラッとしたかな?

 

MCで曲の順番を間違える(4曲目にプレイした「LOST FOREVER」を1曲飛ばしてコールしようとした)など、ちょっとしたハプニングがありつつも、それがライヴのテンションを損なうことにはならず、ちょっとしたブレイクタイムになるだけで、3曲目にしていきなりキラーチューン「DEAD NIGHT, MOONLIGHT」がプレイされるなど、士気の高鳴りは止まることを知らない。

 

この曲順間違いに限らず、ヴォーカルのDOUGENさんは、しきりに楽しそうな表情を浮かべていて、スクリームの凶悪さと反してかなりフレンドリーな兄ちゃん気質を放つ。「本当は怒れるデスメタルヴォーカルみたいにやった方がいいんだけど、やっぱり楽しいからね!」と言う姿はまさに言葉通りでした。

 

そんな緩んだ空気と緊張感MAXの曲とのコントラストは最後まで続き、前述の「LOST FOREVER」のような比較的テンポを落とした楽曲から、慟哭の暴君の本領を発揮する「RAMPAGE TYRANT」のような疾走曲まで、ヒリヒリするような緊迫感と、咽び泣く極上のギター、怒りを迸らせるシャウトが折り重なり続ける。唯一「RAMPAGE TYRANT」のクリーンギターによるブレイクだけが再現されていなかったものの、不満らしい不満はそのくらい。

 

KOUTAさんとTORUさんによる時にピロピロとした速弾き、時に流麗なツインリードを弾き倒すギターの存在感はやはり絶大でしたね。派手なアクションこそないものの、積極的にステージ前方へ出て、絡み合う悶絶号泣必死なメロディーをかき鳴らす。DOUGENさん曰く「KOUTAさんはギターソロはあんまり弾きたくないとこぼしている」とのことですが、ここまでカッチリと構築されたソロを弾きこなす姿を見ていると、「ホントに弾きたくないの?」と疑わしくなるな。

 

アンコールでは、「BLOODY EMPIRE」をSable HillsのTakuyaさんをゲストヴォーカルに迎えて、ツインヴォーカルで披露。「メタルコアの貴公子とヘヴィメタルおじさんの共演(by DOUGEN)」が実現したわけですが、こうやって聴いてみるとDOUGENさんのスクリームの破壊力が如実に伝わってきますね。Takuyaさんも迫力十分なヴォーカルなのに、明らかに声量や通りの良さはDOUGENさんが上回っていることがわかりました。

 

そしてラストはもちろんバンド名を冠した名曲「ONE THOUSAND EYES」。ラスト1分半における劇的極まりないツインギターの応酬を一瞬たりとも聴き逃さないため、ここにきて耳栓を外し、いつまでも鳴り響く泣きの洪水に浸りました。やはりこのソロは泣ける!素晴らしい!

 

 

共にエクストリームメタルにカテゴライズされながら、ドラマチックなメロディーを武器とした二組の共演、非常に濃密な時間になりましたね。とにかく泣きのギターの魅力が尋常ではないこと!そしてパフォーマンスがタイトでカッコいいのなんの!

 

MCでも発表されましたが、THOUSAND EYESは来年に4枚目のアルバムを発表する予定だそうですし、まだまだ日本のエクストリームメタルの期待感は高まるばかりです。