ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BATTLE BEAST 『Circus Of Doom』

f:id:Show_hitorigoto:20220205235657j:plain

  • 前2作から大きく変わらぬ安心の正統派
  • メロディー面とヴォーカル面に手抜かりなしの充実ぶり
  • 安定してる分キラーと呼べるパワーメタルは無し

 

メインソングライターの脱退(解雇?)という危機に直面しながらも、大きくサウンドのクオリティーを落とすことなくコンスタントに楽曲を制作し続け、今や北欧メロディックメタルの代表格の一員というほどのポジションまで上り詰めた感あるBATTLE BEAST。前作『No More Hollywood Endings』より3年ぶりとなる新作です。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

現在はBEAST IN BLACKを率いるアントン・カバネンが抜けた穴を埋めるために、2016年からBrymirでも活動しているヨーナ・ビョロクトロが加入しましたが、そこから特にラインナップに変更は無く、バンドの基盤はしっかりと安定していることが伺えますね。

 

このメンツでも良い楽曲を提供してくれることは、すでに前2作で証明されているので、本作についても特に不安視などはしていませんでしたが、やはりこのバンドの実力は高いですね。期待にしっかりと応えてくれる、安心安定・高品質のメロディックな正統派ナンバーばかりです。

 

アントンがいなくなってから、元ACCEPTのウド・ダークシュナイダーのような金切りスクリームが聴こえなくなり、ギターリフをはじめ攻撃的で鋭い印象が丸くなってしまった印象があるのも前2作通り。これに関しては不満っちゃ不満ですが、もう今のBATTLE BEASTのスタイルだと割り切るしかないんでしょうね...

 

オープニングを飾るM1「Circus Of Doom」こそ、ダークでミステリアス...と言えば聞こえは良いものの、ぶっちゃけ彼らにしてはツカミの弱い楽曲で(このバンドには明朗でわかりやすいキャッチーさを求めてるので...)、「オイオイ、タイトルトラックが地味目だけど大丈夫か?」なんて思ってしまいましたが、そこは流石にBATTLE BEAST。その後のM2「Wings Of Light」がらしさ全開の正統派メタル。このキャッチーなメロディーを、ノーラ・ロウヒモのパワフルな歌唱が彩る様がこのバンドの真骨頂。

 

過剰な熱さとパワーを抑えて、メロディーの哀愁をグッと強めたM4「Where Angels Fear To Fly」は、彼らのメロディーセンスの良さがよりいっそ強く出たミドルチューンで、M7「Freedom」、M10「Place That We Call Home」のような勇ましく雄大で、パワー溢れる曲は文句なしにカッコいい正統派メロディックメタル。 ソウルフルなだけでなく、女性らしい柔らかな歌声も聴かせるM8「The Road To Avalon」のような曲も良いですね。これまたサビが絶妙にキャッチー!

 

必ずしもHR/HMの枠には収まらない風変わり枠も健在で、M6「Russian Roulette」はダンサブルとすら言えるような楽曲で、ダンスビートが気持ち良く鳴り響くハードポップ。メタル野郎としては捨て曲待ったなしですが(?)、個人的にはフックある歌メロが全編に渡って登場して、楽しい楽曲に仕上がってると思います。

 

前作収録の「The Golden Horde」のようなパワーメタリックチューンは無く、全体通して至極安定感がある代わり、良くも悪くも綺麗にまとまりすぎている印象はあるかも。もう少し爆発力というか、テンションが一気にグッと上がる瞬間はあっても良かったですかね。

 

とはいえ、そんな不満を大きな痛手には感じさせないほど、各楽曲の出来に手抜かりはありません。かつてほどの切れ味は薄れたとはいえ、まだまだ優れた正統派メタルバンドであることを主張する力作と言えます。

 

 

個人的に本作は

"強みであるメロディーセンスと実力派ヴォーカルで、高く安定したクオリティーとバンドの個性を両立した力作。ただしちょっと安定しすぎ?"

という感じです。

 


www.youtube.com


www.youtube.com