ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

AION 『HUMAN GRIEFMAN』

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  • パワーシャウターを得て生まれ変わった実質的デビュー作
  • 怒涛の疾走感とジャパメタらしいメロディック要素も
  • オープニングは国産スラッシュ屈指の名曲!

 

先日ディスクユニオンに落ちていたのを見つけ、速攻でゲットしてきたシロモノ。

 

1989年にギタリストのIZUMIさんを中心に結成され、"DEATHRASH BOUND"という音楽スタイルを標榜したスラッシュメタルバンド・AIONのデビューアルバム。

 

ただ本作は真のデビューアルバムとは言い難く、本作以前に『DEATHRASH BOUND』というタイトルでアルバムを出していましたが、その時に所属していたヴォーカルが脱退し、ヴォーカルパートを新たに録り直したのが本作らしい。その新しいヴォーカルが現在VOLCANOや地獄カルテットで活躍するNOVさん。

 

本作発表当時生まれてすらいない僕には全然想像がつかないのですが、当時のバンドシーンでAIONはかなり有名な存在だったらしく、本作の存在もかなり知れ渡っていて、インディーズのチャートで1位を獲得したのだとか。こんなハードなサウンドが売れるとは、今のシーンじゃ考えられないな...

 

別にこの時代に青春を過ごしたかったというほどではないんですが、バンドブーム全盛の頃にライヴハウスへ通えていた人たちがちょっとうらやましく思えてしまいますね〜。メタルもパンクも熱かったんでしょうきっと。

 

さて、そんな本作についてですが、LOUDNESS二井原実さん、FLATBACKERの山田正樹さんを彷彿させるような、切れ味抜群のシャウトの使い手であるNOVさんのヴォーカルによって若干のジャパメタらしさを感じさせるものの、音楽的には超アグレッシヴなスラッシュメタルを貫いていてかなり強力。

 

バックのサウンドはほぼ完全なるスラッシュで、歌もシャウトタイプであるのにも関わらずメロデイー感を失っていない。この辺もまたジャパメタっぽさを醸し出す要因かも。

 

現在もVOLCANOにおいてギラギラの攻撃性を発揮しているNOVさんですが、本作当時からその味は健在で、これから30年以上経っていることを考えると、よくぞまあ声質を維持できているな〜と感心させられますね...

 

IZUMIさんによるギターも鋭く研ぎ澄まされたリフが高速で叩きつけられ、時折飛び指すピロピロ速弾きソロ、1分半ほどのインストナンバーにおいて、その実力をまじまじと見せつける。世界基準で見ても通用するほどの攻撃的プレイではないでしょうか?90年のサウンドだっていうのに。

 

しっかりと低音部をズンズンと響くラインで支える縁の下の力持ち的なベースに、強靭な疾走感を担保するドラムも文句なし、1stにして国産スラッシュメタルとして十二分に完成させられています。

 

全10曲、怒涛の30分を駆け抜けていくアルバムですが、やはりどれか1曲を挙げるとしたらオープニングであるM1「THINK EVER AFTER」!

 

ド頭から激烈なリフ、気合い入りまくりの"カモォォォォン!!"のシャウトでブチ上がり、攻撃性を失わない範囲でキャッチーに聴きやすく仕上げたサビで畳み掛ける怒涛の展開を見せる。ややテンポダウンしたあとのツインリードに、ヒステリックなシャウトからの疾走、クライマックスの超速バスドラ連打!そこからの爆発音による(なんとなくXの「オルガスム」を思い出した)圧巻のラスト!最高にカッコいいJ-THRASHアンセム!!

 

この曲の破壊力がズバ抜けている感は否めないものの、これ以降の楽曲も捨て曲などは存在しない。気が狂ったようなギターソロと爆走しまくるドラムでひたすら押すM5「JACK」に、ベースが前面に出て楽曲をリードし、やたら耳に残るリズミカルなヴォーカルとメロウさを目立たせたサビ、メランコリックなアコギによるソロも顔を出すM7「HUMAN GRIEFMAN」、正統派メタルのようなイントロのリフでスタートしつつも、速攻でスラッシュらしいスピードに切り替え、ハードコア的シンガロングと叫び散らすヴォーカルが熱すぎるM10「JUSTICE FOR DIE」が特にお気に入り。とにかくひたすらカッコいい。熱い。

 

現在はヴォーカルであるNOVさん含めメンバーがゴッソリ脱退し、ギタリストのIZUMIさんしか正規メンバーがおらず、実質的には活動休止のような状態のようです。今現在も曲作りなどはしているようですが、果たしてバンドの復活はあるのか...

 

 

個人的に本作は

"強力なヴォーカルと演奏、少しのメロウさを持ち寄り、怒涛のスラッシュチューンで攻めまくる超攻撃的アルバム"

という感じです。

 


www.youtube.com

この時代はこんなアグレッシヴ極まりないメタルバンドがこの規模の会場でプレイできていたのだなぁ...